明和地所「クリオ レジダンス八王子ザ・マークス」の商品企画がいいと先に書いた。販売担当の井野真利雄氏が商品企画は同社の女性が担当したことを明かし、「お客さまの評価も高い。間取りがいい」と自画自賛したマンションだ。
詳細は記事を読んでいただきたいが、〝男性優位〟のイメージが強い同社にあって、このような素晴らしいプランを編み出す女性はどんな人だろうと気にかかり、会わずにはいられなくなり、同社にインタビューをお願いしたら実現した。同社開発事業本部マンション事業建設二部 建設課課長・大竹佳織氏(45)だ。もちろん一級建築士。
大竹氏は平成6年入社。それまで同社には建築系の女性の新卒採用は行っておらず、「試験的に女性を採用することになったようで、プロパーとしてはわたしが初めての採用だった」ようだ。
いつも心がけているのは「お客さま目線」「特性に合った商品企画で、営業が売りやすいプラン」だ。「設備メーカーの新商品は必ずチェックし、現場にもよく足を運びます。営業マンとのコミュニケーションを密にしており、企画意図はしっかり伝えますし、営業マンの声もよく聞きます」と大竹氏は話した。
「八王子」の物件ではマンションとしては珍しい(記者は初めて見た)セラミックトップのキッチンカウンターを採用しているが、日ごろからメーカーとの良好な関係を構築できているから実現したにちがいない(相当高いはず)。
「用地を仕入れてから販売までを短期間で準備する制約がありプレッシャーになるが、お客さまや営業から喜ばれるのが何よりうれしい」と語った。
これまで担当した物件をいくつか挙げてもらった。「クリオ東小金井パークフロント」(89戸)「クリオ溝の口ガーデンコート」(78戸)「クリオ東神奈川」(74戸)「クリオ ラベルヴィ川崎南幸町」(37戸)などだ。
「東小金井」は記事にもした。いい物件だった。コンパクトの「川崎南幸町」も瞬く間に売れたと聞いている。
「溝の口」も「東神奈川」も売れ行きがよかったそうだが、知らなかったのでパンフレット・図面集を貰って眺めた。植栽・外構が優れている「溝の口」はともかく、「東神奈川」のプランがいいのにびっくりした。JR東神奈川駅から徒歩3分の商業地域に立地する11階建て74戸(坪単価300万円)だ。
プラン1~3を見ていただきたい。プラン1は北西向きの専有面積約66㎡の3LDKだ。専有圧縮型ではあるが、大きなポーチ、バルコニーを確保し、スパンは北西側が7,100ミリ、北東側が9,300ミリ。採光・開口部は6か所ある。
専有面積約66㎡の南西角住戸のプランが2だ。スパンは南西側が9,300ミリ、北西側が7,200ミリ。採光・開口部はこちらも6カ所。
プラン3は東南向きの専有面積約68㎡の中住戸だ。もっとも売りづらい住戸と思われるが、完全アウトフレームにすることで柱型が住戸内に出ないようにし、スパンも6,500ミリ確保している。このほか中住戸プランでは南西向き約70㎡と、北西向き約56㎡があるが、それぞれスパンは6,800ミリ、6,700ミリだ。
用途が商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)で高さ規制は31mなのでリビング天井高は2,400ミリ(2~11階)しかなく、収納が少ない、専有圧縮型という難点はあるが、それらを補って余りあるプランだ。
「クリオ東神奈川」プラン2
「クリオ東神奈川」プラン3
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「用地を仕入れてから販売までを短期間で準備する」というのは同社の〝伝統〟だ。もう20年くらい前からそうしているのではないか。当時、高杉仁専務から「うちは仕入れから半年で着工・分譲できるんだ」と豪語したのをよく覚えている。
この伝統はそろそろ改める時期に来ていると思う。同社には〝レミントンハウス〟〝ワイドスパン〟という歴史もある。もう少し商品企画に割く時間をとって〝企画の明和地所〟と評価されるような会社になってほしい。
〝タワマンに負けない〟商品企画光る 明和地所「クリオ レジダンス八王子ザ・マークス」(2017/12/11)
再開発進む駅前一等地&公園に隣接 明和地所「クリオ東小金井パークフロント」(2015/3/6)