東日本大震災から7年を迎えた2018年3月11日(日)、三菱地所レジデンスと三菱地所コミュニティは千葉県習志野市で進められている土地区画整理事業による約35ヘクタールの街「奏の杜(かなでのもり)」で、エリアマネジメント組織である一般社団法人奏の杜パートナーズと共に4度目の防災訓練を行った。隣接する戸建て街区居住者を加え、過去最大規模の約1,000名が参加した。宮本泰介・習志野市長も出席し、活動を称えた。
訓練は、三菱地所レジデンスが分譲し、三菱地所コミュニティが管理する「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」(721戸、2013年竣工)をはじめ全4物件1,943戸の管理組合と、隣接する戸建住民や集合住宅居住者が加わって実施された。
朝9:00から安否確認、避難訓練(防災バッグ持参)を行ったのち、参加者全員が「谷津奏の杜公園」に集合。はしご車による救出訓練、トイレ組立訓練、水消火器訓練、AED 訓練などのほか、東日本大震災語り部・山田葉子氏と復興応援団・佐野哲史氏の講演会も行われた。
安否確認訓練では対象となっている2,051世帯のうち1,113世帯が応答し、実施率は54.3%に達したことが報告された。
「谷津奏の杜公園」で行われた総評集会に出席した宮本市長は、「皆さまの導きでこのような素晴らしい防災訓練が行われていることに対し、市長として心から敬意と感謝を申し上げます。また、様々な地域の課題もあろうかと思いますが、市政としてきちんと対応してまいります。
さて、昨日3月10日は東京大空襲の日、今日3月11日は東日本大震災の日です。1年の中でいちばん犠牲が伴った2日間です。それぞれで思いをはせて、平和であること豊かであることに思いを募っていただきたい。防災訓練でいちばん大切なことは、皆さんがそれぞれ知り合いであるということです。結束力が生かせる地域という利点を生かし、顔を見合わせることを目標にし、理解を深めていただければ幸いです。素晴らしい街づくりをともにしていきましょう」と呼び掛けた。
近接する千葉工業大学大学の院生らと参加した同大学附属研究室共同研究員で新習志野教務課学習支援センター職員の青木和也氏は「この種のエリアマネジメント活動などに参加すれば単位が取得できるように来年度からなる」と話した。
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「奏の杜」の防災訓練を取材するのは今回で3回目だ。前回では、猛烈な風でメガネを吹き飛ばされた若い女性と遭遇し、パニックに陥りながらメガネをすぐ見つけたハプニングまで記事にしたことを、三菱地所コミュニティ関係者や管理組合理事の方々が覚えていてくれたようでとても嬉しくなった。
そして何より嬉しかったのは、記者もそうだが参加者の皆さんに余裕が感じられたことだった。管理組合の理事や三菱地所関係者のこれまでの努力が報われ、訓練はどんどん進化していることを実感した。
それは参加者の数と質に表れている。参加者は3年前の3倍増だし、先頭を歩く人は手書きのプラカード姿から立派な幟を掲げた〝隊長〟に変わっていた。どことなくぎこちなかった動きは一変していた。あってはほしくないが、いざというときこうした経験は間違いなく生きるはずだ。
取材に余裕も生まれた。参加者はもう他人ではなく、古くからの隣近所の友人のように思えてきた。AED訓練では「わたしは身内ならためらいなくやるでしょうが、若い女性の胸を触り、口づけをやる自信はない」などと軽口も叩けるようになった。
「あなた、やってみなさいよ」と勧められたのでやってみた。2度、3度ダメ押しされた。聞いていた通り、肋骨が折れるほどきつく押す必要があることを学んだ。しかも救急車が駆け付ける7分くらいの間ずっと、みんな交代でやらないといけないことも。
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