「東京ミッドタウン日比谷」を3月29日にグランドオープンする三井不動産は、開業に先立つ22日、報道陣向けに施設内覧会を開催した。1,000人を超える報道陣が駆け付ける見込み。
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マンションの見学会にはこの10分の1も集まらないのに、どこからそんなに記者が湧いてくるのか不思議でしょうがない。商業ビルのことはよくわからない。ビルの美しさは竣工時の記者見学会でも紹介したので、そちらを参照していただきたい。
次の「東京ミッドタウン」はどこかについて探りを入れ、おおよその見当はついたが、「書かないで」という約束なので書かない。
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株式会社アルファのクリエイティブディレクター・南貴之氏がコーディネートした3階の7つの異なるショップで構成される「HIBIYA CENTRAL MARKET」のコンセプトが最高に素晴らしい。
そのうちの一つ、理容「ヒビヤ」の3代目の店主・藤井実氏(50)は、「昭和のレトロな店構えだけでなく、昭和の時代には普通にあった憲法25条の理念そのもの、国のありようの根幹をなす公衆衛生の向上・増進をここで実践する。昭和の安心・安全をリスペクトする」と話した。床屋で憲法が学べるなんて最高にうれしい。床屋が大嫌いで、髪が相当伸びている。29日まで待つか。床屋はここに決めた。
記者は憲法第25条に何が書かれているか知らなかった。いま紹介すると「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とある。
有隣堂の「AND COFFEE ROASTERS」がまたいい。237坪のフロアに書籍だけでなく、雑貨や日用品を販売する「Fresh Service」、居酒屋「一角」、イベントスペース「Tent gallery」もあり、全体が昭和のデザインで統一されている。京王線に住む記者が利用するのは沿線にたくさんある有隣堂だが、酒も飲めるのに仰天した。「ここで酒が飲めるんですか」と馬鹿な質問をしたら、同社専務取締役・松信健太郎氏は「死ぬほど飲める」(ただとは言わなかった)と語った。
有隣堂(看板はまさに昭和)
一角
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地下1階の「BOSTON OYSTER&CRAB」の前を通ったら、真正面に美味しそうなカキが並べられていた。カキが大好きな記者はまさにパブロフの犬、食べずにはいられない。メニューをみたらわが故郷三重が誇れる世界ブランドの的矢のカキがあるではないか。さっそく1個450円のカキを注文した。(本当は3個くらい注文したかったのだが、この日はタダだったので遠慮した)3個もついてきた。的矢のカキと豊前一粒カキ、兵庫の坂越カキだった。
みなさんは的矢のカキをご存じないかもしれないので少し説明すると、的矢のカキはそん所そこらのカキとはレベルが違う。一言で言えば芳紀まさに18歳、鬼も十八番茶も出花、垂れ乳(垂乳根ともいう)の乳母桜か。小粒で身がしまっておりとても甘い。この前、広島に取材に行って食べたカキとは値段は同じでも雲泥の差だ。ついでながら、他の2つも的矢と甲乙つけがたい味だった。みんな美味しいということだ。
1階の「LEXUS MEETS」には黒山の人だかりができていたが、車にうとい記者はまったく理解できず。赤い車は1,450万円ということだった。高いのか安いのか、カキと違い比較のしようがない。
※この点について、ある同業の記者から「(住宅と自動車は)経済波及効果はいい勝負なのに、どうして住宅ジャーナリストは数が少ないのか? これは我々の問題でもあり、ジャーナリズムを育んでこなかった住宅・不動産業界の問題でもありそうです」とメールを頂いた。近々、自己批判を含めて業界紙について書く予定。
日比谷の新しい顔 曲線美に震えた 三井不動産「東京ミッドタウン日比谷」竣工(2018/1/30)