三菱地所レジデンス(事業比率50%)、NTT都市開発(同25%)、東急不動産(同25%)3社JVマンション「ザ・パークハウス 恵比寿南」を見学した。恵比寿駅から徒歩7分(スカイウォーク出口から徒歩2分)の全56戸で、坪単価は600万円台の半ば。〝ザ・パークハウス グラン〟に負けない〝パーク・マンション〟にどこか似ている商品企画がよく、設計変更などについてお客さんと話し合う50畳大の接遇スペースがよく考慮されている好物件だ。
物件は、R山手線・埼京線・湘南新宿ライン恵比寿駅から徒歩7分(恵比寿スカイウォーク経由)、渋谷区恵比寿南2丁目に位置する9階建て全56戸(事業協力者住戸4戸含む)。専有面積は60.55~155.12㎡、坪単価は600万円台の半ば。完成予定は2019年7月中旬。施工は西松建設。デザイン監修は「ザ・パークハウス グラン 南青山」を担当したアーキサイトメヴウス・今井敦氏。
これまで約500件の来場者を集め38戸まで契約のメドが立っており、販売は順調に進んでいる。
現地は、「恵比寿ガーデンヒルズ」から徒歩2分。恵比寿駅圏の高台で住居系エリアとしては隣接する三井不動産レジデンシャルの「パーク・コート恵比寿」以来の17~18年ぶりの物件という。
住戸プランはワイドスパンの70㎡台、80㎡台、85㎡台、105㎡台が中心。南向き、東向き、西向きがそれぞれ3分の1くらいか。エントランスラウンジに飾られる浅見貴子氏の和紙に描かれた水墨画アートがまたいい。
98㎡のモデルルームはヤマモモの突板リビングドア、ヒッコリーの挽板フローリング、リビング天井高2500ミリ、メーターモジュールの廊下幅など。オプションにトラバーチンの壁を用意している。
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今井氏がデザイン監修したマンションは数十物件は見てきているが、今回の物件は代表作の一つになるはずだ。隣接する三井の物件のように主張はしていないが、イタリア大理石のトラバーチンをふんだんに使い、外壁に市松模様など凝ったタイルを採用することでシンプルながら存在感のあるデザインに仕上げている。
内装にも今井氏は関わっており、モデルルームは全体として白が基調のカラーリングで、ドアノブを壁面まで後退させ、把っ手に黒を採用してコントラストの美しさを演出している。
そして何よりヤマモモの突板リビングドアが美しい。床はヒッコリーの幅広の挽板。トイレも通常よりゆったり取っている。
全体としてこれまでの〝ザ・パークハウス〟とはやや趣が異なるマンションだ。これもまた、同社が最近供給してきた都心型マンションの顧客の声を生かしているのだと思った。
最近の三井不動産の〝パーク・マンション〟は見ていないので何とも言えないが、デザインはそれを彷彿させた。〝グラン〟にも負けないレベルだと思う。
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感心したのは接客スペースだ。個室と様々なカラーセレクト、設計変更などに使用する建具・家具スペースと合わせ50畳大くらいはある。普通はほ本程度しか見られないが、ここはゆったりと座り、出来上がったときのイメージが湧くようにセットされている。
これは、単に今回の物件だけでなく今後、三菱地所レジデンスが分譲する都心部の高級マンションの商品企画にも反映させようという狙いがありそうだ。同社は近く青山にも常設の販売事務所・モデルルームを設けるとかで、赤坂とこの広尾の3カ所体制で高額マンションを販売するのだろう。
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販売を担当する同社第二販売部 都心コアユニット販売第三グループ長・坂田和生氏にはどこかで会ったような気がしたが、10年前に書いた丸紅の素晴らしいマンション「グランスイート六番町」の販売事務所でお会いしている。
以来、坂田氏は三菱地所レジデンスの「千鳥ヶ淵」「一番町」「三番町」「五番町」「西新宿」「恵比寿」など都心の高額物件ばかりを担当している。都心の市場を知悉している、なんともうらやましい人だ。
個人的なことは書かないという約束なので残念ながら書けないが、地所の高額担当として欠かせない人だと思う。
坪単価についても一言。商品企画はすばらしいが、立地・環境は恵比寿の一等地や代官山、広尾などには負ける。坂田氏も話したように富裕層が殺到するエリアではないのは確かだ。坪700万円の高値挑戦もあるかと思ったが、現状ではちょっと無理かもしれない。早期完売を狙うには丁度いい値付けではないか。