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2018/06/28(木) 17:16

「指名買い増えた」ブランド力じわり浸透 売上、経常は過去最高 ポラス 2018年3月期

投稿者:  牧田司

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中内氏

 ポラスグループは6月28日、2018年3月期の決算説明会・記者懇親会を行った。売上高は1,995億円(前期比103.2%)、営業利益122億円(同92.4%)、経常利益148億円(同107.3%)、純利益42億円(同116.8%)となり、2期連続で増収経常増益を達成し、売上高、経常利益、純利益は過去最高となった。

 契約棟数は分譲住宅が2,300棟(同103.7%)、注文住宅が683棟(同84.6%)、マンションが256戸(同100.8%)で、その他賃貸などを含めた合計は3,313棟・戸(同96.8%)。分譲住宅は6年連続で2,000棟を超え、マンション売上高が100億円を突破した。

 このほか、プレカット事業は、佐賀工場の稼働で国内5工場体制となり、ロボット導入など生産性向上や非木造住宅の市場も開拓した効果もあり、構造材生産坪数が過去最高を更新した。

 説明会に臨んだポラスグループ代表・中内晃次郎氏は、「『西大宮』『浦和美園』など大型かつ特徴的な街づくり提案が市場の支持を得たほか、独自の耐震技術やデザイン提案で大型木造施設建築の受注を拡大し、プレカット佐賀工場の稼働や生産性向上を進めた結果」と、好調な業績の要因について話した。

 2019年度は売上高2,050億円、経常利益170億円を目指す。京葉地区での注文住宅の単独展示場を船橋に、柏に新規出展する。浦和美園、西大宮地区では戸建てとマンションの複合開発を拡大する。

◇       ◆     ◇

 いつも感心するのだが、同社グループは商圏とする都内の練馬、板橋、北、足立、葛飾、江戸川、墨田、江東各区や、さいたま・越谷・松戸エリアの36行政区のマーケットを把握している。自社で詳細な市場を把握し分析しているところは戸建て事業会社では同社だけかもしれない。

 2017年度の分譲市場着工戸数は22,025棟で、同社グループは2,439棟で、実に11.1%を占める。本拠地の越谷エリアでは18%くらいに達している。

 この市場調査能力の高さが、分譲住宅の価格が市場価格より500万円前後高いにも関わらず確実に伸ばし、シェアを拡大させている要因の一つだろうと思う。

 記者が注目したのは、中央住宅社長・品川典久氏やポラス コミュニケーション部マーケテイング部長・伊藤賀一氏が「指名買いの増加が特徴」と、全体として反響はそれほど伸びていないが、来場者に占める成約率の高さを強調したことだ。

 配布された決算単短信には「『ルピアコート川口戸塚』(全200戸)が、来場からの契約歩留まり28.9%と販売好調を維持し完売」とある。驚異的な数字だ。

 両氏はなぜそうなったかについて具体的に語ったわけではないが、戸建てでいえばリビング天井高を2.7m確保し、外構をしっかり造りこみ、挽き板など木のぬくもりをふんだんに盛り込む商品企画が突出しており、マンションでは「ピアキッチン」その他の設備仕様レベルが総じて高いからだ。

 さらに言えば、経営理念がしっかりしており、地域密着、農耕型経営、コミュニティ重視の街づくりなどが本拠地エリアだけでなくその周辺部にじわじわと浸透しているからだといえる。(浦和レッズのスポンサー契約は本業にどれほどの効果があるかは今度聞いてみよう)

 そのことを証明するかの発言を品川氏自身が行った。「『宮前平』のマンションだけは売れ行きが悪い」と話したのだ。戸数は33戸で、価格的には相場並みということのようだ。

 ひねくれ者の記者はこの発言に刺激された。「川口戸塚」では歩留まりが30%近くに達し、好調裡に完売したのになぜピアキッチンを盛り込んだ人気沿線のマンションが売れないのか-神奈川県で同社がマンションを分譲するのは初めてでブランド力がないと言ってしまえばそれまでだが、果たしてそれだけか。その要因を探れば同社の課題も見えてくるはずだ。近く見学してレポートしたい。

 同社には注文もある。報道陣から「郊外マンションは売れないのか」という質問に対して品川氏は「駅に近いのはそうでもないが、遠いのは売れない」と話した。

 その通りかもしれない。しかし、それでは同社の戸建ては駅に近いか。徒歩10分圏内の戸数比率は30%もないのではないか。それなのに年間2,000棟を成約している。

 〝駅近〟一色の市場をこのまま放置すれば、間違いなく大手にほとんどすべてを握られる。資金力があり、ブランド力がある大手に対抗するには商品企画以外ありえない。同社だったらできると記者は思っている。

 そもそも〝駅近〟はデマゴーグとまでは言わないが、一部の腕力のあるデベロッパーの極めて巧妙な世論誘導ではないか。それに乗っかったマスコミも悪いし、便乗しようとする中堅デベロッパーは自分の首を絞めるようなものだといったら失礼か。

 マンションは〝駅近〟しか売れず、マンションと同等の市場規模がある戸建ては〝駅遠〟でも売れるのか-これにまともに答えられる人などいないはずだ。

 駅から多少遠くても売れるマンションをつくるのがプロではないか。日照が確保されず、交通事故の心配が高く、空気も悪く、嫌悪施設だらけの犯罪の温床にもなりかねない、緑もない、しかも価格が高いそんな子育てに最悪の〝駅近〟マンションに、お金持ちならいざ知らず、生きるのに精いっぱいの庶民までが雪崩れ込もうとしている悲しい現象に歯止めをかけなければならない。国の責任も重い。

 品川氏からはいいことも聞いた。自前のマンション販売部隊を立ち上げる計画があるという。今後年間300~400戸を供給するのであれば、直接お客さんから声を聞くことが大事だと思う。これは絶対必要だ。

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木崎さん

 決算説明会のあとで、同社グループの新入社員で2016年度から浦和レッドダイヤモンズレディース の選手として活躍している木﨑あおいさん(20)が紹介された。埼玉県出身で、ポジションはMF。背番号13。同社広報に勤務する長嶋洸さんの後輩。(羨ましい。どうして同社の野球選手は紹介されないのか。この前、アラフィフの3人トリオが大活躍した)

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