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2018/08/07(火) 13:53

住宅ローン控除の面積要件引き下げは大都市優遇か その真逆、冷遇、差別そのものだ

投稿者:  牧田司

 昨日(8月6日)、不動産流通経営協会(FRK)の住宅ローン控除制度の面積要件「50㎡以上」を「40㎡以上」に引き下げるよう2019年度の税制改正要望に盛り込んだことに賛意を示す記事を書いたら、早速、来年度の税制改正では見送られそうだという情報が入った。大都市優遇のそしりを受けかねないというのがその理由のようだ。

 しかし、面積要件はむしろ大都市居住者を冷遇する、差別するむごい措置だ。あらゆる指標がそれを物語っている。

 昨日も書いたが、東京都の誘導居住面積以上は40.0%で、全国平均の56.6%を大きく下回っている。大阪府の約100万戸ある民営借家(非木造)の26.5%は最低居住面積以下だ。

 公営住宅の家賃も多くの県が1㎡当たりせいぜい千数百円なのに対し、東京都は約3,500円で3倍近くし、神奈川、千葉、埼玉、大阪、愛知などは2,000円以上している。

 これまた昨日も指摘したが、杉並区永福、荒川区東日暮里などの「セーフティネット住宅」ではトイレも洗面も台所もない7㎡のワンルームの家賃が7.5万円(坪3.6万円)もし、杉並区永福でも坪3.1万円、足立区西新井、荒川区柴又でも2.7万円というのがある。記者は恐怖を覚えた。

 賃貸だけでない。分譲マンションも、都内23区では軒並み坪300万円を突破してきており、20坪(66)でも世帯年収の10倍を超える。郊外でも、20坪で3,000万円以下は絶望的になりつつある。保育園の送迎を考えると、子育てファミリーは都心勤務が難しくなりつつあり、職業選択の面でも不利益を被っている。

 もうこれ以上書かないが、かといって大都市居住者の所得が地方の2倍、3倍あるかと言えばそういうことはなく、生活保護受給率は大阪を筆頭に、福岡、京都、東京、兵庫、神奈川、広島などは全国平均を上回る。

 それでも大都市居住者はけなげに生きている。出生数は言うまでもなく、出生率も全国平均を上回っているところが多い。分譲戸建てといえば、まるで長屋のような〝猫の額〟の庭もない住宅で我慢し、子だくさんのファミリーは70㎡の4LDKマンションを求めているのが現状だ。

 来年度の税制改正では住まい給付金制度でお茶を濁すことになりそうだが、このままでは大都市圏の子育て世帯は労働と育児に疲れ果て、劣悪な賃貸から脱出することもかなわず、まさに〝生かさぬよう殺さぬよう〟の江戸時代に逆戻りするのではないか。いや、江戸時代の庶民はもっと豊かだったかもしれないし、お上にたてつく元気もあった。平成の〝労働者一揆〟はないのか。

不動産流通経営協会 住宅ローン控除の面積要件引き下げ要求に賛成 住宅貧乏なくせ(2018/8/6)

 

 

 

 

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