三井不動産は11月6日、プロロジスと共同で開発を進めていた大型賃貸用物流施設「MFLPプロロジスパーク川越」の竣工式を行った。竣工時点で賃貸面積の約25%の入居が決まっており、来年の夏までには満床にする予定。
竣工式の前に行われた記者発表会で、三井不動産常務執行役員 ロジスティクス本部長・ 三木孝行氏は「世界最大のプロロジスさんと共同事業を行うことは、業界では画期的な出来事で、1+1は2ではなく、双方が競合するというのでもなく、相乗効果を期待できる。業界13社による協議会を立ち上げ国を動かすすごい渦を巻き起こしつつある」と話した。
プロロジス代表取締役社長・山田御酒(みき)氏は、「我々は物流のプロとしての自負はあるが、三井さんの街づくりのノウハウを生かした外構、デザインなどを学ばせてもらった」と語った。
施設は、西武新宿線南大塚駅から徒歩6分の敷地面積約60,000㎡、鉄骨造4階建て延べ床面積延床面積約130,000㎡。圏央道以南の関越自動車道沿いでは最大の物流施設。テナントはプラスロジスティクス、多摩運送、日本郵便が決まっている。
三井不動産は2012年に物流事業に参画。これまで稼働施設は19棟、今後14棟の開発・計画を進めている。プロロジスは物流不動産のリーディング・グローバル企業。世界で3,718棟、総所有・運営資産額は90,000百万ドル(約9兆9,000億円)。
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物流施設を見学するのは2度目か。全くの素人なので見学するかどうか迷ったが、三木氏に元気をもらいたくて取材した。
「大成功」「画期的」「渦を巻いている」-三木氏の話はいつ聞いても気持ちがいい。言葉に迫力があり勢いもストレートに伝わってくる。メディアに何を話せば受けるかしっかり計算しているのだろうし、口説き上手なのは間違いない。山田社長も会食の席で飲みながら共同事業を提案したのだそうだ。
三木氏は「(プロロジスに)買収されないようにして、IoTやAIなど投資事業で手を携える機会はあるかもしれない」と、今後の展開もほのめかした。
山田氏の名前がまた「御酒(神酒と意味は同じ)」。〝三木&御酒〟。満床になったら盛大なパーティもやるのだそうだ。
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素人ではあるが、「物流を制する者が市場を制する」というのだけは分かる。これだけグローバル化が進むと、物流コストはもちろんだが、物流戦略が雌雄を決することになるのだろう。三木&御酒氏はすでに有力なアジア市場で手を組むことを考えているのではないか。わが国は圧倒的に負けているからだ。
その資料の一つを示す。国土交通省が作成した「世界の港湾取扱貨物量ランキング」がある。2001年と2016年を比較したもので、2001年のランキングはトップがロッテルダム(オランダ)で313,764千トン、以下、シンガポール313,487千トン、サウスルイジアナ(米国)252,819千トンがベスト3。ベスト10は上海(中国)、香港(同)、ヒューストン(米国)、千葉、名古屋、ウルサン(韓国)、クァンヤン(同)の順。ちなみに横浜18位、大阪26位、北九州27位、東京29位、神戸30位とベスト50にわが国の港湾は7つ入っている。
ところが、2016年になると、上海が2001年比2.9倍の647,446千トンに増やしトップに踊り出ており、3位広州、5位寧波、7位青島、8位天津、10位大連と中国勢がベスト10のうち6港湾を占めている。ロッテルダムは47.0%増の461,177千トンながら7位に後退。シンガポールは2001年比2倍近く伸ばし2位を確保している。
わが国は、18位の名古屋が最高で、2001年比26.9%増の193,257千トンながら世界には大きく水をあけられ、24位千葉、40位北九州、41位神戸、47位東京、50位大阪と大幅に順位を下げている。
このまま地盤沈下が進むのか、巻き返しがなるのか。