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2018/12/15(土) 17:03

住宅ローン控除 3年延長結構だが…はるかに効果大きい面積要件引き下げを

投稿者:  牧田司

 国土交通省は12月14日、来年10月に予定されている消費税率10%への引上げ後の平成31年10月1日から平成32年12月31日までの間に入居した場合を対象に、住宅ローン減税の控除期間を3年間延長(建物購入価格の消費税2%分の範囲で減税)することが平成31年度与党税制改正大綱で決定したと発表した。

 適用年の11年目から13年目の控除限度額は住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度)×1%と建物購入価格(4,000万円を限度)×2/3%のいずれか小さい額(長期優良住宅や低炭素住宅の場合は借入金年末残高の上限5,000万円、建物購入価格の上限5,000万円)。

 また、消費税率10%への引上げ時に採用されるすまい給付金は、対象となる所得階層を拡充し、給付額も最大50万円に引上げる。さらに、贈与税の非課税枠も最大1,200万円から最大3,000万円に引上げることも決まっている。

 消費税率引上げによる駆け込み需要とその反動減が生じた場合の経済に与える影響が大きいと考えられることから今回の決定となった。

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 住宅が景気の〝調整弁〟として利用されるのは不愉快だが、今回の措置によってこと住宅に関しては消費者の買い控えは減殺され、増税の影響は少なくなりそうだ。

 しかし、ローン減税制度の決定的な欠陥は取得住宅の50㎡以上という面積要件にある。

 不動産経済研究所の調査によると、首都圏供給マンションのうち専有面積が30~50㎡未満のいわゆるコンパクトマンションの供給比率をこの10年間でみると、最高だったのは2009年の10.5%で最低だったのは2014年の3.7%になっている。14年以降は増加傾向を示しており、2017年は7.5%に上昇。1戸当たりの価格も2018年上半期は4,466万円となり、前年同期比6.2%上昇している。

 首都圏マンション供給量の10%前後を占めるこれらの30~50㎡のマンションをローン減税対象外とするのは法の下に平等という憲法の原則からしても問題だ。このことは今年8月、不動産流通経営協会(FRK)が面積要件の引き下げを要求したときにも記事にしているのでぜひ読んでいただきたい。FRKが指摘する「住宅ローン減税制度などの面積要件が『一次取得時のハードル』を高くし、最低居住水準や誘導居住水準以下の世帯の住宅取得意欲を減殺するように働いている」ことは否定できないと思う。

 つい先日、中国の書道家・唐思領氏と話す機会があった。わが国の今年の社会全体を漢字一文字で表わすと「災」だと話したら、唐氏は「国としてもわたし個人としても漢字一文字で表現すれば『福』です」と語り、色紙に「福」と書いてくれた。このところの中国の躍進をみれば唐氏だけでなく多くの中国の人はそういうのではないか。

 一方のわが国の「今年の漢字」は過去13年間をみたら震・倒・毒・末・戦・災・偽・暑・安など暗いイメージのオンパレードだ。希望が持てるのは「愛」と「新」くらいだ。「福」などと言えばそれこそ〝袋叩き〟にあう。

 「景気の気は気分」というではないか。国民を前向きにさせてくれる、うそでもいいから猪突猛進してみたくなるような思い切った住宅支援策は打ち出せないものか。気分はシュリンクする一方ではないか。

不動産流通経営協会 住宅ローン控除の面積要件引き下げ要求に賛成 住宅貧乏なくせ(2018/8/6)

 

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