「サードプレイス街区」モデルハウス
一昨日のポラスグループ「アドバンスドプレイス船橋・北習志野 ヒーリング街区」に続いて「サードプレイス街区」(28棟)を紹介する。
「サードプレイス」については、一般的に職場・学校と家庭とは別の、かといって独立したものではなく、いわばつかず離れずの関係を保てる「第三の居場所」と理解されている。自分の時間が持て、かつ他人とも緩やかにつながり気兼ねなく過ごせる空間とも言われている。
最初に同社がその「サードプレイス」の考えを街づくりに取り込むと聞いたとき、どのようなプランを提案するのか想像もできなかった。家族それぞれが憩う場所とは別のスペースを設けることは、下手をすれば家族間をバラバラにし、「孤立化」を一層助長しかねないのではと心配もした。
そうした危惧を抱きながら2棟あるモデルハウスの一つ目に入った。玄関を入るとすぐ大きな「土間」空間が広がっていた。広さは約4.3畳大。上がり框があり、スライドウォールもあるので仕切ることはできるのだが、その奥の約20.7畳大のLDKとは繋がっていた。全体の広さは約24畳大だ。
初めて見るらしい同社の女性広報担当者は「凄い!」と歓声をあげた。記者はマンションにしろ戸建てにしろ、この種の大空間は高額物件で結構見てきているのでさほど驚かなかったが、確かに郊外の分譲住宅では珍しい、というより皆無かもしれない。敷地が30~40坪、建物が30坪前後の一般的な分譲戸建てに約4.3畳大の「土間」を設けることなど、普通の企画担当者はまず考えないはずだ。
しかし、だからこそその思い切った提案に声援を送った。お金持ちだけが享受できるこの種の大空間を一般住宅に解放した意味は大きい。近所の人との語らいの場、ギャラリーなど多目的に利用できる空間になる。
このプランを担当したのは、中央住宅戸建分譲設計本部設計一部部長・野村壮一郎氏であることを聞いて納得もした。万人向けの没個性的なプランを野村氏はつくらないことをよく知っている。
「土間」
もう一つのモデルハウスは、ポラスガーデンヒルズ設計部部長・安藤欣司氏が設計を担当。仕事場・書斎などとして利用できる中2階の〝フロートリビング〟、その下の玄関ともつながっている収納、2階の居室と繋がっているロフトを合わせれば3層、4層にもなる住宅だ。
記者はデザイン・カラーリングがいいと思った。黒、グレー、グリーン、ブルーなど結構色を使っているのだが、それぞれがよく調和してしっとりとした空間となっている。バーカウンター付きの対面キッチンの提案も面白い。
「サードプレイス街区」は、Wi-Fiアクセスポイントを標準設置。在宅ワークなどの「自宅のサードプレイス化」も視野に入れているのも特徴の一つだ。
モデルハウス
売れ行きについて。分譲開始からわずか5カ月で47棟の成約は驚異的だ。販売担当者は「5,000万円を超える住戸は成約まで時間がややかかるが、他社の物件などと比較して結局はうちの物件に戻ってきてもらえる」と話した。
なぜ売れるか。一言で言えば、商品企画が優れているからだ。今回見学した4棟で共通しているのは、1階のリビング天井高約2.7mの利点を最大限生かしていることだが、それぞれが微妙に異なる。中央住宅とポラスガーデンヒルズが共演している効果が表れている。
細かいことだが今回、玄関ドアにガラススリットが付いていたのに気が付かなかった。もちろん玄関サイドの下足入れの上にも窓はついているのだが、このガラススリットと窓があることによって、暗いときでも明かりを付けなくても済むという工夫だ。マンションやホテルなどで出かけるときや帰ったとき、スイッチや鍵の位置を探すのに苦労することがある。皆さんもそんな経験をされているはずだ。
同社の2018年3月期の契約棟数は、分譲住宅2,300棟と注文住宅683棟を合わせると約3,000棟に達する。圧倒的な実績を踏まえ、地域のニーズを熟知しているからこそできる芸当だ。
今回も細かいことだが、玄関ドアにガラススリットが付いていたのに気が付かなかった。もちろん玄関サイドの下足入れの上にも窓はついているのだが、このガラススリットと窓があることによって、暗いときでも明かりを付けなくても済むという工夫だ。記者などは一人で出かけるときや帰ったとき、スイッチや鍵の位置を探すのに苦労することがある。皆さんもそんな経験をされているはずだ。
玄関ドアのスリットと窓
最後に、この「アドバンス ド プレイス船橋・北習志野」が2018年度グッドデザイン賞を受賞した際の「一方で、せっかく街を作っているのに、フィジカルな部分に対してあまり言及がなく、風景としての豊かさに対してどのような思想を持つのか、より明らかにすべきであろう」という審査員のコメントについて。
これは記者も分からない。AIやらIoT、ビッグデータなどのサイバー空間に対して、現実社会という意味でフィジカル空間という言葉が用いられるようだが、そのサイバー空間とフィジカル空間が相互連携・融合したCPS/IoT社会や第5世代モバイル通信システム(5G)が本当に我々を幸せ・豊かにしてくれるのか。
英語で馬鹿を意味する「idiot」をGoogleで検索するとトランプ大統領が真っ先にヒットする時代だ。心配になって「牧田」で検索したらサブマリンの牧田投手が最初に出てきた。当然か。「こだわり記事」も上位にあった。「牧田 馬鹿」と検索したら、先月書いた「HARUMI FLAG」の記事が出て来た。
モデルハウス
設計担当メンバー写真左上から野村氏、中央住宅戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課課長・古垣雄一氏、同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課2係係長・山下隆史氏、写真左下から角張氏、安藤、工藤氏