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2019/01/09(水) 15:56

ピント外れの住宅新報1面 週刊住宅は東急の記事に拍手 冷たくないか全宅連

投稿者:  牧田司

 RBA野球が始まる6月までの毎週水曜日をどう過ごすかが小生の悩み、課題の一つだ。ほとんどのデベロッパーのマンション・戸建て現場は休みで、見学ができない。現場を見ないと禁断症状を起こし不安になってくるのは酒やたばこと一緒だ。これも一種の職業病か。

 そして今日は水曜日。はっきり言えば暇なので、わが業界紙「住宅新報」と「週刊住宅」(「日刊不動産経済通信」は購読していないので書きようがない)の新年号について書く。断っておくが、為にする記事ではない。住宅・不動産業界に役立つ記事を書いてほしいからだ。心底からそう思う。

駆け込み需要はあったほうがいいのか 住宅新報

 さて、業界紙批評。住宅新報1月1・8日号は、「展望住宅・不動産業 課題克服し前進を」という1面見出し記事で次のように報じた。

 「昨年の住宅・不動産市場における最大の懸念材料だった消費税増税に伴う住宅の駆け込み需要は、心配されていたほどの勢いはなく低調に推移した。秋の商戦ではその兆しもほぼ見受けられないまま年が明けた」「起こるべきと予想されていた駆け込み需要が消滅し増税後に需要減退をたどるのか…」

 この記事を読まれた読者の皆さんはどう理解されたか。記者は意味がさっぱり分からなかった。

 そもそも消費税率を8%から10%へ引き上げることは2016年の時点で予定されていたことで、今回、安倍晋三首相が予定通り2019年10月に実施すると表明したのは10月15日だ。その当否を判断する材料を小生は持ち合わせていない。リーマン・ショック級の一大事がなければ実施するというのだからその環境が整ったと理解したい。

 その決定をもって、新報は駆け込み需要が昨年の最大の懸念材料だったという。何を懸念材料とするのかは記者の勝手だろうが、明らかにピント外れだ。多くのデベロッパーは駆け込み需要を「最大の懸念材料」と見ていたとは思えない。強いて「懸念材料」を挙げるとすれば用地難・用地高、建築費高であり、需要減退であったはずだ。あるいはまた自社の商品力のなさか。駆け込み需要が発生するとすれば今年に入ってからというのが常識的な考えだろ。

 文脈からすれば、駆け込み需要はあってはならないと解されるが、あってはならないものが「勢いはなく低調に推移」「秋の商戦ではその兆しもほぼ見受けられないまま」「起こるべきと予想されていた」などと言われると、読者はまた裂き状態に陥る。支離滅裂といっては失礼か。

 駆け込み需要について。小生はこの言葉が好きではない。住宅は金融商品ではない。購入せざるを得ない様々な動機がある。ファミリーにとっては結婚、子どもの誕生、転勤などだろうし、高齢者にとっては老後の備え、足腰の衰えなどだろう。そして何より今住んでいる住宅(とくに賃貸)の質が悪いからだ。

 余裕があれば、だれだってそんな質の悪い住宅から脱出しようと考える。消費増税は住宅購入を後押しする材料の一つに過ぎない。買い急いだり、あるいは買い控えしたりできる需要層はそんなに多くないと小生は見ている。

 話題に事欠くマスコミはこれから何やかやと騒ぎ立て、住宅販売の現場でも「即入居可」「9月入居可」などと宣伝するはずだ。その結果、それを〝駆け込み〟と呼べば間違いなく販売・契約戸数は増加する。当たり前ではないか。

 その反動が怖いから住宅ローン減税の延長などの措置が取られる。小生はこれもあまり好きではない。どうして景気浮揚策の材料としていつも住宅が使われるのか。5年10年計画で無理なく取得できる環境を整備すべきだ。ローン減税も結構だが、住宅規模を50㎡以上としているのは、それ以下を望む人に対する差別だと思う。業界はこの不公平税制を改めるよう要望すべきだ。

◇       ◆     ◇

 「昔々」と同義語と思える新報の「このほど」が一向に改められる気配がないのは残念だ。石井啓一国交相の新春インタビューは日付が入っていなかった。おそらく1月4日の仕事始めの日だろう。「このほど」としなかったのは正解。もしそうしていたら、分刻みで動く温厚そうな石井大臣も激怒したのではないか。

 もう何度言っても効き目がないようなので書かないが、こんないい加減なことを放置していたら、そのうちに読者から見放される。

 もう一つ。細かいことだが見出しが変。「価値創造を拓く」は明らかにトートロジー。「持続成長社会へ」もおかしい。書くなら「成長持続社会へ」だろうし、「展望住宅・不動産業」もありえない。「展望 住宅・不動産業」とスペースを空けるべきだ。

質でしか争えない週刊住宅 全宅連の広告がない不思議

 2部建て28ページの住宅新報に対して、「週刊住宅」は14ページ。半分だ。劣勢は否めない。そんな業界紙を叩きたくはない。どう差別化を図るか考えてほしい。

 そのヒントは、5面の「東急不、ジャカルタ事業が拡大」という見出しの10段の半分くらいを費やしたレポート記事にある。一方の住宅新報が年末発行号で報じた同じ記事は、スペース的には週刊住宅の3分の1か4分の1くらいだった。

 新体制になって同紙が一つの記事でこれほどのスペースを割くのは1面を除き初めてではないか。先頭打者初球本塁打クラスの記事だ。ちょっと褒めすぎか。

 わざわざ現地まで足を運んで書く記事だ。しかも他紙より1~2週間後だ。十分スペースを取って伝えるのは当然。自分しか書けない、誰も書かない記者独自の視点で事象をとらえることが大事だと思う。量では勝てないのだから、質で勝負すべきだ。企画記事なら「このほど」など書かなくて済む。

◇       ◆     ◇

 住宅新報との比較では、同紙の広告には全宅連(系も含めて)が一つも入っていないのに驚いた。昨年末の「重大ニュース」に同紙は全宅連会長の交代を挙げていた。小生は〝業界妾のようなことをするな〟と批判したが、その通りだ。媚びを売って広告が入ると考えるほうがおかしい。

 しかし、それにしても全宅連は冷たくないか。業界紙を育てる気はないのか。盆暮くらいは支援の広告くらい出していいのではないか。あの蜜月はどこへ行った。

〝過ぎたるは…〟コピペの弊害 「R.E.port

 以下はおまけ。小生は年末にメールで送られてきた「年頭所感」をコピペし、解禁日に発信できるようにした。全部で10社。楽勝だ。一応全部に目を通したが、校正しなければならないものは一つもなかった。さすがわが業界の広報だ。

 業界紙の年末年始は休みなので、少なくとも10社の年頭所感は小生が一番早く発信した。

 そして7日(月)。不動産流通研究所のWeb「R.E.port」は何と25社も一挙に掲載した。小生と同じ全文で。…。

 だが、「R.E.port」はミスも犯した。「不動産および住宅会社や関連会社各社のトップは、下記のような年頭所感を述べた」とあるが、これは明らかに間違い。「大和ハウス工業株式会社では、2019年1月4日、仕事はじめの式典を行います。ここに、弊社代表取締役社長 芳井敬一の年頭所感を紹介します」と同社が事前に送付した〝前書き〟までご丁寧にコピペして紹介している。

 「述べた」などとしないで「年頭所感」とだけすればよかった。過ぎたるは…。風邪でもこじらせて出社できなかった社長はいなかったとも限らない。

毎週水曜日はマンション・戸建て見学会を開催して

 これから毎週水曜日は業界紙の記事について書こうかしらと考えていた矢先、某社から来週と再来週の水曜日(来週は金曜日も)にマンション見学会を行うというルールが届いた。小生の悩みを察してくれたわけではないだろうが、感謝感謝。ついでに他社にもお願い。時間をずらして1日に同じエリアで3件くらい見学できるようにしていただきたい。故・佐藤実紀雄先生はアポなしで1日4~5件はこなしていた。

欠けるのは「愛」 記者生活40年 業界紙に期待するもの 新聞は絵画と同じ⑤(2018/4/6)

 

 

 

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