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2019/01/19(土) 15:04

自社社宅跡地 公園借景取り込むプラン秀逸 旭化成不レジ「荻窪大田黒公園」

投稿者:  牧田司

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「アトラス荻窪大田黒公園」エントランス 完成予想図

 旭化成不動産レジデンスの同社グループの社宅跡地と、旭化成初代社長の研究所跡地で、双方が大きな公園に隣接する極めて希少性の高いマンション2物件を見学した。「アトラス荻窪大田黒公園」と「アトラス加賀」だ。どのような売れ行きを見せるか見ものだ。「荻窪大田黒公園」から紹介する。

 物件は、JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線荻窪駅南口から徒歩8分、杉並区荻窪3丁目の第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積約3,562㎡、地下1階地上3階建て全41戸(広告募集対象外8戸含む)。専有面積は64.31~112.69㎡、価格は未定だが、坪単価は460万円前後になる模様。完成予定は2020年2月下旬。設計・監理はアーキサイトメビウス。施工は森組。販売は3月上旬。

 現地は旭化成の社宅跡地で、敷地北側の杉並区が管理する約8,972㎡の大田黒公園に隣接。

 建物は公園に添うように東西軸が約100mもある細長い地下1階地上3階建て。ほぼ中央に内廊下を配し、住戸は雁行設計の南向きと公園に面した住戸がそれぞれ半分。立地・形状の特性を最大現に引き出すよう、白を基調としたデザインで、バルコニーは透明ガラス張り、スパンは最低でも7.9m、10m以上が24戸あり、最大は14mが3戸。

 4つの中庭を設け、中庭上部をガラス張りの吹き抜けとし、内廊下・空中廊下の実現で、各住戸ごとの独立性を高めているのも特徴の一つ。

 同社は「資料請求は11月末~12月末のわずか1カ月の間に550件に達しました」とリリースしたように、想定外の反響の多さだったようで、この日(18日)に見学したときもお客さんが見学中で、連日にぎわっているようだった。

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大田黒公園(物件ホームページから)

◇       ◆     ◇

 まず単価。記者は坪500万円を突破するのではないかと思っていた。昨年、三井不動産レジデンシャルが荻窪駅から徒歩7分のやはり第一種低層住居専用地域に位置し公園に隣接する「パークホームズ荻窪 ザ レジデンス」30戸を分譲して人気になった。坪単価は440万円だった。

 旭化成の物件は、同駅からほとんど同じ距離圏だが、敷地に「大田黒公園」が隣接しているのは三井レジより優位にあると判断し、設備仕様レベルを挙げれば坪550万円くらいでも売れると読んだ。

 ところが、三井レジの物件と比べそんなに高くならないことが分かった。まだ正式な価格は決まっていないようだが、平均すると坪450~460万円くらいに落ち着くのではないか。

 グループ間の土地取引がどのように税法上で処理されるのか分からないが、用地費が安く、この単価でも十分利益が出ると判断し、設備仕様を極端にハイグレードにしすぎないことで、早期に完売しょうという戦略なのだろう。仮に入札方式だったら坪500万円では済まなかったのではないか。

 プランは圧巻だ。モデルルームは公園に面した13mスパンの99㎡。リビング天井高は高さ規制もあるので2400ミリだが、バルコニー奥行きは最大で2.2m。ペニンシュラキッチンもいい。公園の借景はたまらないはずだ。

 大田黒公園についてはホームページで調べていただきたい。知る人ぞ知る公園のようだ。記者も名前だけは知っていたが、どのような公園なのか全然知らなかった。利用時間は午前9時から午後5時まで。夜間はシャットアウトされる。

 みんな1億超えだから即完売というわけにはいかないだろうが、公園隣接とその借景を取り込んだプランをどうアピールできるかだ。

 旭化成の関係者がどれだけ購入するかも興味深い。幹部クラスでないと手が出ないし、購入したらしたでお互い懐具合や性行を探られかねないので敬遠する人もあるかもしれない。旭化成の社長などは目立ちすぎるので買わないだろう。

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大田黒公園入口

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入り口すぐのイチョウ(樹齢100年とか)

◇       ◆     ◇

 アーキサイトメビウス・今井敦氏について。この日見た「荻窪大田黒公園」と「加賀」も三菱地所レジデンス「高輪フォート」もそうだった。

 記者は年間100件くらいのマンションを見学している。数えたわけではないし、同社が設計・デザイン監修した物件を優先的に見ているわけではないが、ここ10年、年間数件~10件くらいは同社がデザイン監修している物件のはずだ。突出した数だ。

 売主別でもっとも多いのはモリモトではないか。同社は年間5~6物件を供給しているが、最近はほとんど今井氏がデザイン監修を行っている。

 ほかでは、旭化成不レジもそうだが、三井不動産レジデンシャル、東京建物、野村不動産、東急不動産などが目立つ。記者が絶賛した鹿島建設の「センチュリーフォレスト」もそうだった。

 これでお気づきか。今井氏が関わった物件は間違いなくレベルが高いと言える。実施設計を行わないから可能なのだろうが、これほど多くの物件に関わっていたら寝る暇はあるのだろうかと考えてしまうほどだ。

 今井氏のデザインは、これ見よがしの派手なものはなく、シャープでシンプルなそして何よりも端正なものが多いのが特徴だ。とにかく美しい。

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建設現場

久々に1低層の〝パークホームズ〟 三井不レジ「荻窪」売れ行き好調(2018/12/9)

 

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