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2019/02/01(金) 14:51

〝先行逃げ切りだ〟 絶好調スタート ルネ総合 激化する本厚木のマンション販売戦 上

投稿者:  牧田司

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「ルネ本厚木」完成予想図

 〝マンション相模川の乱〟に突入-神奈川県央の中核都市・厚木市の小田急線本厚木駅圏で激しいマンション販売合戦が展開されている。昨年末にファミリー向け総合地所他「ルネ本厚木」222戸が第1期100戸完売の狼煙を挙げると、年初には〝駅近〟の三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス本厚木タワー」163戸が富裕層のプライドをくすぐる戦法で応戦。すると大和ハウス工業「プレミスト本厚木」144戸が〝癒し〟を旗幟に掲げ、DINKS、DEWKS層の心を揺さぶる作戦で参戦。さらにまた、大和と隣り合う中堅の雄・タカラレーベンは「レーベン本厚木THE TOWER of PEAKS」134戸を投入。1L・2Lの需要を独り占めしようと企図する。このほか戸建てトップの一建設も43戸を分譲する予定で、その数トータルで約700戸。

 相模川向こうの海老名駅圏でも約2,000戸のマンション販売が佳境に入っており、市場は何やら相模川を挟んだ陣取り合戦の様相を呈している。

 関係者は、厚木市は日産、ソニー、日立、NTTなどの研究所が多く、財政も健全で自立型の市場を形成し、ここ4~5年間はマンションの供給が途絶えていることからマグマは溜まっていると楽観視するが、相模川向こうの海老名市からの需要は見込み薄で、年間150~200戸が販売の限度という見方では一致しており、どこも自陣の引き締めに懸命で、他社の動向に神経をとがらせている。

 いったいどこが抜け出すか、割を食うのはどこか、それとも血を血で洗う乱戦となり最悪の共倒れになるのか。ここは高みの見物-おっと、これは失礼。みんながwin-winのハッピーな結果になることを祈りつつ、昨日(31日)見学した「ルネ本厚木」「プレミスト本厚木」「レーベン本厚木」の順に、見たまま聞いたままを紹介する。提灯持ちにはならないが、火に油を注ぐような記事にはしないつもりだが…。     

◇       ◆     ◇

 「うちは先行逃げ切り」-この日、メディア向けに「ルネ本厚木」の見学会を行った総合地所の広報担当者が本音ともとれる冗談を放った。そして販売責任者も控えめではあったが「腕」とつぶやいた。この二人の言葉に物件の特性、自信のほどが全て示されている。

 物件は、小田急電鉄小田原線本厚木駅から徒歩6分、厚木市田村町に位置する15階建て全222戸。第2期の専有面積は60.99〜82.27㎡、価格は3,538万~4,968万円(最多価格帯3,900万円台)。坪単価は195万円。竣工予定は2020年2月。設計・施工は長谷工コーポレーション。売主は同社(事業比率50%)のほか東急不動産(同30%)・西日本鉄道(同20)の3社。販売代理は長谷工アーベスト。

 現地の用途地域は容積率400%の商業地域。敷地は旧イトーヨーカ堂厚木店の駐車場だったところで、イトーヨーカ堂が閉店し、この駐車場に新たな店舗を建設する際に長谷工コーポレーションが敷地の一部を譲り受けて、同社グループの総合地所などがマンションを建設することになったもの。幅員約3.6mの道路(建設工事に伴い約6mに拡幅)を挟んだ南側は住居系用途。土地は戸建てなどに細分化されているため、高い建物が建つ可能性は少ない。敷地北側の隣接地は4層のイトーヨーカ堂の店舗が今春開業する。

 分譲開始は昨年11月。第1期100戸を完売したのをはじめ、これまでに供給した133戸のうち120戸が成約済みと絶好調。

 来場・成約とも約70%が厚木市内居住者。成約者の年齢層は30歳代が36%(来場は33%)、40歳代30%(同24%)、60歳代~18%(同23%)。年収帯は400万円台19%(同15%)、600万円台15%(同15%)、500万円台11%(同13%)。

 建物は東西軸に細長い全戸南向き。子育てファミリー層をメインターゲットにしており、共用施設には「育てるレジデンス」の意を込めた〝イクレジ〟として「知・食・読・音・色・遊・木・眠」の8つの要素からなる「八育」を盛り込む。

 また、イトーヨーカ堂と提携し、電子マネー「nanaco」の機能が付いた居住者限定カードを採用。様々な特典が受けられるようにしている。

 主な基本性能・設備仕様は、パッシブデザインの玄関ドア脇の窓、キッチンバックカウンター、扁平梁と連窓の2.15mハイサッシ、4本の柱全てアウトフレーム、可変間仕切りシステム「ウゴクロ」が2スパン(28戸)、ディスポーザー、食洗機など。

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キッズスペース

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 いつものことながら、微に入り細をうがつ説明資料を配布する総合地所の見学会に頭が下がる。今回は特に「用地取得額 非公開」とあったのに記者は敏感に反応した。これは間違いなく〝格安〟で取得できたのだと読んだ。

 スーパーの適正床面積は分からないが、イトーヨーカ堂は南側にマンションが建ったほうがコストを下げられ、事業採算もアップすると考えたのではないか。

 好調なスタートを切ったのもよくわかる。郊外型で外廊下側もアウトフレームにしているのは最近では極めて珍しい。スパンも全体的に広めで、角住戸はコーナーサッシ付きだった。

 「全戸南向き」も説得力がある。関係者から住宅地図を見せられたが、ほぼ全域が京都の町家のように東西軸が短く南北に長い区画割になっていた。つまり、これまで建設されたマンションは南向きが極めて少ないことを見ただけで分かるようにしていた。ここにも「腕」が隠されている。

 気になったのは、60歳以上の来場者比率は23%を占めながら、成約比率では18%に下がり、年収700万円以上の来場比率も12%だったのが、成約比率では11%未満になっていることだ。子育てファミリー層だけでなく、多様なニーズに応えるプランも盛り込んでもよかったのではないか。

 先行逃げ切りといっても、競馬に例えれば向こう正面、山なら五合目だ。勝負は4コーナー、八合目を回ったあたりだろう。そこでまた鞭を揮えるか。

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パーティ イメージ図

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 これはおまけ。どうでもいいことも。1つ目。77㎡のモデルルームはよくできていた。しかし、リビングのほぼ中央にフェイクであることが明らかな観葉植物が置かれていた。これは何度も書いてきた。本物とフェイクを並べたら、みんなフェイクに見える。いかがか。

 2つ目。玄関を入ってシューズインクロークを開けたら鳥の声が聞こえた。ウグイスでもホトトギスでもヒバリでもなかった。スズメではなかったか。マイクが仕込まれていた。寝室は麝香の香りがするかと予想したが、無音無臭だった。吉永小百合さんのシカの〝フン フン フン〟でも流したらどうか。

 3つ目。若い女性担当者が「八育」の説明をした。他の7つは全て音読みだったのに、「色育」だけは「いろいく」と湯桶読みした。記者はうろたえ恥ずかしくなった。周りの同業記者から「そんなに過剰反応するのはあなただけ」とたしなめられた。そうかなあ。

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建設現場(右がイトーヨーカ堂)

地元富裕層を中心に人気 坪単価260万円の三菱地所レジ「本厚木タワー」(2019/1/16)

 

 

 

 

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