「ピアース旗の台」完成予想図
モリモトが3月末に分譲するコンパクトマンション「ピアース旗の台」の現地を見た。駅から3分、ワイドスパンが特徴。価格は全く見当がつかない。皆さん、考えていただきたい。
物件は、東急大井町線・池上線旗の台駅から徒歩3分、品川区旗の台二丁目の商業地域・第一種中高層住居専用地域に位置する敷地約384㎡、11階建て全48戸。専有面積は20.91~53.71㎡、価格は未定。完成予定は2020年2月中旬。設計・監理はスペーステック一級建築士事務所。デザイン監修は南條設計室。施工は小川建設。
現地は、駅北口から商店街を通って、中原街道との交差点を左に曲がった角地。敷地南側は3階建てくらいまでの一戸建てや共同住宅・ビルが建ち並んでいる。建物は1フロア3~5戸。アウトフレーム、内廊下、最大約10.6mのワイドスパンが特徴。
35㎡のプラン(中住戸でもスパンは約5.1m)
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この前、みかんの値段をかみさんに問われ「20~30円」と答えたら「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と怒られた。
まあ、みかんの値段が分からなくても大勢に影響はない。しかし、マンション記者が現地を見てモデルルームを見て価格が分からなければおしまいだ。だから、「価格は未定」でもいつも単価予想をする。
だが、しかし、このマンションの値段は予想がつかない。決定的(と記者は思う)な難点があるからだ。これまで〝ピアース〟はたくさん見てきたが、敷地面積が100坪強という規模はほとんど前例がないのではないか。北側の中原街道に面しているのもマイナス要因だ。高速に面し、坪単価300万円台の前半だった「ピアース初台」が売れたのには驚いたが、敷地はもっと広かった。
プラス要因はある。さすがモリモト。スパンは30㎡でも約5.1m、35㎡で約6.0m、53㎡は約8.6m確保していることだ。これは他社も真似ができない。
デザイン監修に南條設計室・南條洋雄氏を起用しているのもプラス要因。狭小敷地のマンションに著名な建築家を起用するデベロッパーなどまずいない。南條氏はパンフレットで「周辺と調和するのではなく、この地の新たなシンボルとなるようなスタイリッシュかつ主張的なファサードを目指します」と書いている。
さらにもう一つ、昨日書いた「木になるリニューアル」駅舎はマンションの坪単価に換算して1万円の価値はあるのではないか。
さて、価格。コンパクト事業担当の方々にお聞きしたい。いったいいくらなら売れるか、みなさんはいくらに設定するか。
近隣には事例がないと思うが、坪単価320万円くらいの三菱地所レジデンス「ザ・プレミアスカイ品川中延」、坪単価352万円の旭化成不動産レジデンス「アトラス品川中延」はよく売れた。地所レジの「不動前」はいくらなのか。
他のコンパクトでは、立地に恵まれ、高額以外は瞬く間に売れた三井不動産レジデンシャルの「幡ヶ谷」は坪単価400万円だった。
ヒントを一つ。モリモトの関係者は「うちはどこと戦っても負けない(商品企画だけでなく価格もという意味か)」と豪語していることだ。先月書いた「72㎡より64㎡のほうが有効面積は広い〟ワイドスパンで差別化 モリモト『高津』(2019/1/28)」の記事と合わせて読んで頂きたい。