「ONSEN RYOKAN 由縁 新宿」外観
UDSは4月23日、日本特有の「旅館」のよさを取り込んだホテル「ONSEN RYOKAN 由縁 新宿」を5月8日に開業するのに先立ちメディアに公開した。
「旅館」には日本のおもてなし文化が凝縮されていることから、客室の間取りやデザイン、サービスなどを現在の宿泊者ニーズや環境に合わせて編集した旅館。インバウンドも含めた観光マーケットにおける新たな選択肢を提案している。
エントランスには数寄屋門や四季を感じる庭園、手水鉢など伝統的な和のしつらえを取り入れ、ヒノキやスギなどの白木の無垢材、和紙、漆を模した天板などの「和」の素材で、「陰影」を意識した日本らしい繊細な表現を随所に施している。最上階の18階大浴場には、箱根「小田急 山のホテル」の自家温泉「芦ノ湖温泉 つつじの湯」から運ぶ温泉露天風呂を設けている。
客室は、雪見窓を多用し視線を低く集め空間全体に広がりを感じさせるデザインとし、コンパクトな空間でも快適に過ごせる工夫を凝らしている。
レストラン「夏下冬上」には、福岡県産の全長8mのイチョウの木をカウンターに採用。その上部は網代(あじろ)編みとし、テーブル上部にはスギの無垢材を渡すなど本物の素材を使用しているのが特徴。
物件は、東京メトロ副都心線・東京メトロ丸ノ内線新宿三丁目駅から徒歩7分、新宿区新宿5丁目に位置する敷地面積約1,034㎡、18階建て延床面積約5,521㎡全193室。客室は12㎡から51㎡までの7タイプ。宿泊料金はセミダブル(12㎡)9,000円から。開発事業主は住協。所有者はJA三井リース建物。企画・設計・運営はUDS。
◇ ◆ ◇
同社が運営する銀座の「MUJI HOTEL GINZA」を先に見学した際、デザインがいいと思ったので、今回のホテルも見学させていただいた。
「旅館」は嫌いではないが、何しろサービスがひどい。年をとってからほとんど利用しなくなった。朝早く叩き起こされ、強制的に食事を取らされ、10時には叩き出される(ずいぶん改善されているはずだが)。
このホテルは「旅館」のデザインなどいいところを取り込んでいる。客室は狭いが、これは最近の宿泊客のニーズの反映なのだろう。
レストラン「夏下冬上」がいい。8mもあるイチョウのカウンターなど最近はほとんど見なくなった。値段は200万円くらいかそれ以上するのではないか。ほんものの網代編みもいい。
陰影もテーマの一つのようで、デザインを担当した同社マネージャー・瓜生一雄氏によると、谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」は建築家、デザイナーの必読書だそうだ。三井不動産の「日本橋」のホテルには昔の体裁のその本が客室に置いてあった。
レストラン「夏下冬上」