住友不動産は5月23日、大規模免震タワーマンション「シティタワー銀座東」が完成したのに伴う記者見学会を開催。「DEUX TOURS(ドゥ・トゥール)」にも設けた「SOHO」タイプも公開した。5月下旬から入居を開始する。
物件は、東京メトロ日比谷線八丁堀駅から徒歩5分、JR東京駅から徒歩20分、中央区湊二丁目に位置する22階建て全492戸(うちSOHOは88室)。専有面積は44.28~83.95㎡(SOHO34.54~44.99㎡)、坪単価は455万円。2019年1月29日に竣工済み。設計・施工は五洋建設。空地率を50%以上確保したゆとりある配棟計画が特徴。
2017年8月に販売を開始してからこれまで約2,020組の来場者を集め、全体の6割が契約済み(SOHOは約3割)。
マンションの契約者は30~40代(57.3%)のパワーカップルや60代以上(19.4%)のシニア層が中心。全体の5割強が2次取得者。用途は6割強が実需。従前の居住地は23区内が全体の6割強。
SOHOは、専用のエントランス、エレベーター、メールボックスなどを設け、宅急便発送やタクシー手配などの業務を取り扱う「コンシェルジュ」や、会議や打ち合わせに利用できる「ミーティングルーム」も整備。価格は4,529.4万~5,941.6万円。
契約者の年齢は30歳代(17.6%)、40歳代(29.4%)、50歳代(17.6%)、60歳代(35.4%)と幅広く、職業は会社役員・経営者(42.1%)、会社一般職(26.3%)、会社管理職(5.3%)、無職(26.3%)、現居住地は中央区(21.0%)、港区(15.8%)、23区他(15.8%)、その他(47.4%)。東京オフィスとして地方の人が利用するケースが多いという。
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SOHOにもっとも関心があった。設備仕様はほとんど普通のマンションと変わらない。ゲストルームやスカイラウンジも利用できる。
契約条件として、会社として登記する必要があり、不特定多数の人が出入りする職種や「居住のみ」は不可。契約者はSOHO利用として賃貸することも可能。賃料は17.5万円(坪1.6万円)/月。
約3割が契約済みというのは多いのか少ないのかわからないが、今後普及するのではないか。
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見学会では、同社広報担当者が「新築マンション供給戸数の年次別推移(1973~2018年)」「首都圏マンション平均価格と借入限度額の推移」「平均価格と基準金利の推移」「メジャーセブンの供給戸数とシェアの推移」の表をもとに、現在のマンション市況は決して悪くないことなどをレクチャーした。
「メジャーセブンの供給戸数とシェアの推移」では、メジャーセブンの供給シェアはリーマン・ショックまでは24~28%だったのが、2008年に29%に上昇、その後はどんどん比率を高め、この8年間は39~46%で推移している。供給会社は2001年が410社だったのが、2018年1~11月は112社になっているとしている。
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昨日も書いたのだが、同社の中期計画では、分譲事業は「量を追わず利益重視で販売ペースをコントロールしていく」「競争激化の用地取得環境が続く中、『好球必打』で着実に確保する方針は継続する」としているので、いったい「好球必打」とはどう意味か、西武ファンの記者はそれぞれロッテファン、阪神ファンの同社広報担当者に次のように質問した。
「好球必打のプロ選手はロッテにも阪神にもいない(双方のファンは怒るか)。西武の山川は本塁打をよく打つが、三振も多い。秋山も打率はせいぜい3割5分。いったい誰に例えればいいか」
返ってきた答えが面白い。「イチローさんは自分が好きなコースはボールでもヒットにする。それと同じ。うちが『好球』と判断した土地を『必打』するということ。三振? ありだと思います」
なるほど。同社が今後どのような用地を仕入れるか注目することにしよう。同社も「競争激化の用地取得環境が続く」と見ているように、マンションデベロッパーはみんな仕入れに苦労している。ストライクだけ狙っていたら、まず買えない。
それにしても、同社は今期計上予定戸数5,300戸に対し期首時点で約80%(前年約65%)が契約済というからすごい。三井不動産の75%を上回る。マンションデベロッパーの〝イチロー〟を目指すのか。