東京都足立区は10月1日から、150㎡以上の宅地開発事業を対象に戸建て住宅の最低敷地面積を66㎡以上と定めた「足立区宅地開発事業調整条例」を施行する。
「良好な住環境の保全及び安全で快適な生活環境を形成することを目的」(同条例第1条)とするもので、建ぺい率が80%の地域(商業、近隣商業地域を除く)と建ぺい率が60%の地域(駅から概ね500m以内)は66㎡、建ぺい率が60%の地域(駅から500m以上)は70㎡、建ぺい率が50%の地域は83mとしている。
同一の事業者が宅地開発事業により戸建て住宅を建築し、検査済証の交付を受けた日から起算して3年以内に行う一体的な事業は、1の宅地開発事業とみなす。
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7月8日付で「狭小住宅」の取材を開始すると書いたが、この足立区の条例は全く知らなかった。今日(7月16日)、足立区に取材に行って初めて知った。それまでの「足立区環境整備基準」はあくまでも「指導要綱」だ。拘束力が異なる。
記者も賛成だが、これでは150㎡未満の敷地分割は防げない。仮に140㎡を3分割したら46.7㎡(14.1坪)だ。150㎡と140㎡の土地が連坦していたら、前者は2戸しか建てられないが、後者は3戸建つ。また、150㎡の土地を50㎡と100㎡に分筆して2業者に売れば、やはり50㎡の戸建てが3戸建つ。これで良好な住環境の保全が図れるのか。
記者が取材したいのは敷地面積が60㎡以下の狭小住宅がどれくらい建設されているかだ。相当あるようだが、全く見当もつかない。
各自治体はデータを持っているはずだが、「建築計画概要書」が閲覧できるのは場所を特定しなければならず、しかも1回10件以下の制限を設けている。本気で住環境の保全を考えるなら、いったい敷地が60㎡以下の狭小住宅がどれくらい建設されているのか広く住民に伝えるべきだと思う。
都心部で増殖する「狭小住宅」とは何か 「居住の自由」か居住環境の保護か(2019/7/8)