7月30日付の住宅新報は「HARUMI FLAG」の第1期分譲戸数は「SEA VILLAGE」の一部211戸と、「PARK VILLAGE」の一部389戸の合計600戸で、平均の分譲坪単価は302万円であると報じた。記者が知る範囲で600戸の平均単価について報じたのは同紙だけだ。これはクリーンヒットだ。
ただ、この単価は同紙が全600戸の販売価格を全専有面積で割って算出したというより、工業市場研究所の美濃部康之取締役がコメントしているように、おそらく工業市場研究所が計算したものと思われる。(間違っていたらごめんなさい)
記者は、第1期の分譲戸数はこれくらいが適当だと思う。単価については、オリンピック選手村として一時利用される特殊要因を考慮しなければしごく妥当な価格だと思う。
今回分譲される日本設計が設計を担当し、長谷工コーポレーションが施工している運河に面した「SEA VILLAGE」はもっとも優れていると思っていたし、日建ハウジングシステムと三井住友建設が設計し、三井住友建設が施工を担当している公園に面する「PARK VILLAGE」も条件がいいので価格(単価)が高くなっても不思議ではないというのが率直な感想だ。
販売戦略として価格が高いほうから売るか低いほうから売るかは一概に何とも言えないが、価格の高いほうから売るというのは正解だと思う。〝ここに住みたい〟という人は一定数いるはずで、そうしたユーザーに最前席を用意するのは当然だ。
今後の市況はいまひとつ読めないが、第1期以降に分譲される住棟は単価が下がるのではないかと思うので、4月26日付で書いた坪単価280万円予想を現段階で修正する必要はないと考えている。
一つ、新しいことを付け加えるなら、都とデベロッパーとの間に当初交わされた譲渡契約で「著しく利益が上がった場合は、譲渡金額について協議する」条項について、「著しく」とはどの程度かということが明らかになった。
小池百合子都知事が7月26日の記者会見で、記者団の質問に次のように答えているので紹介する。
「この条項については、全ての住戸の引渡しが完了しまして、収益が確定した時点で分譲予定収入、1%を超える増収があった場合には、敷地譲渡金額の変更について協議することといたしておりまして、その増収分については、経費などを除いて折半するという確認書を今年の5月に事業者側と取り交わしたということで…」
つまり、全住戸の販売が完了・引き渡しが終了した時点で、当初提出された計画より売り上げ・利益が1%以上上回ったら、その利益を折半するということだ。
1%とはまた厳しいような気がするが、双方とも批判にさらされたくないということだろうし、透明性を高めるのもいいことだ。
では、いったいどれくらいの上昇が許容範囲かということだが、記者は当初予想の250万円の10~15%増の275~287.5万円くらいと考える。
これくらいなら都民も納得するはずで、都も収入増となりデベロッパーも潤う。結果として購入者にも利益が還元されるということだ。三方よしとはこのことを言う。いま係争中の裁判でもこの1%ルールは都側に有利に働くと見た。
仮にこれ以上の利益を出したら、それこそ〝適正〟に売却価格をはじき出した不動産鑑定士の顔に泥を塗ることになり、法の存立そのものが危うくなると思う。裁判の行方だって分からなくなる。