ミサワホームは8月9日、同社初の所有権付きシニア向けマンション「LUMISIA(ルミシア)浦安舞浜」の見学会を行った。隣接する「スマートウェルネス拠点整備事業」として建設される医療・介護・子育て・住宅の複合施設「ASUMACI(アスマチ)」に隣接するもので、レベルの高いマンションだ。坪単価240万円は安いのではないか。
物件は、JR京葉線新浦安駅からバス9分、徒歩3分(運行予定のシャトルバスで約4分)、浦安市東野三丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する4階建て全88戸。専有面積は42.39~90.76㎡、価格は3,580万~1億円。坪単価は240万円。管理費は27,600円~。生活支援業務費は30,910円/月。レストラン運営金は15,625円/月。竣工予定は2020年2月末。企画・販売代理はハイネスコーポレーション。設計・施工は大末建設。
現地は、国土交通省「スマートウェルネス拠点整備事業」にも認定されている、医療・介護・子育て・住宅からなる4階建て延床面積約3,232㎡の複合施設「ASUMACI(アスマチ)」に隣接。
同施設は開院から40年以上が経過し、耐震強化や機能更新などの課題を抱えていた地元の浦安中央病院の建て替え計画検討をきっかけに、地域包括ケアや子育て環境の整備を検討する浦安市、街の活性化を図る京葉銀行、国のスマートシティ構想に取り組んでいきたいというミサワホームの4社が合意に達し、2018年に着工された。2020年2月に竣工する。
今回の「LUMISIA(ルミシア)浦安舞浜」は、「ASUMACI(アスマチ)」に併設される賃貸住宅を自ら居住用(投資用とは聞かなかった)として購入したいという人が現れたのがきっかけで、そのようなニーズがあることが分かったため隣接地を買収して建設することを決定した。
建物はロの字型で、内廊下方式。建築基準法55条の2により敷地内の空地率を一定以上に確保することで高さを12mまで建てられる緩和を受けている。主な共用施設は24時間対応のコンシェルジュデスク、レストラン、大浴場、個浴室、AV・ホビールーム、図書カウンターなど。専有部の主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2400ミリ、サッシ高2100ミリ、二重床・二重天井、食洗機、玄関引き戸、メーターモジュールの廊下、セフィオンテクトのトイレなど。
入居者の健康長寿・未病を支援するため、豊田通商が開発した健康管理システム「からだステーション」が採用される。運動データを計測する専用ウェアラブル端末「Karamo(カラモ)」と血圧計・体組成計を提供し、入居者の健康データを一元管理する。そのデータをもとに、スタッフが健康指導やカウンセリング、運動プログラムの提供などを行う。
見学会で同社執行役員・佐藤徹氏は「医療・地域などとの連携を図り、自由で資産性が高く、いつまでも元気で暮らせる住宅を提供する。購入に際して旧自宅の買取再販、空き家対策も行っていく」と話した。
また、京葉銀行法人営業部長・古屋秀氏は「リバースモーゲージにも特別枠で対応する。今回の成功事例を県内の他の地域にも広げたい」と、医療法人社団やしの木会浦安中央病院院長・髙須雄一氏は「病院単独ではこのような事業は出来なかった。入居者の方々が長く健康でいられるよう手伝っていく」とそれぞれ語った。
同社は、完成後の9カ月後の2020年内完売を目指す。中期経営計画でも2023年までに3棟建設する計画で、首都圏・関西圏で数多くの相談が寄せられており、仕掛け中のものもあるという。
物件について説明する同社開発事業部都市開発課長・山崎将仁氏(左)と同部分譲・事業推進課長・富樫昌生氏(山崎氏が「どうぞお撮りください」と話したので撮りました)
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坪単価は一昨日見学したフージャースHDの「デュオセーヌ豊田」と同じ240万円と読んだが、がその通りだった。設備仕様レベルは考慮しないで立地条件のみで判断)。物件をたくさん見ると単価が見えてくる。
総合的に判断して「いいマンション」だと思った。何がいいかといえば、第一に、入居に年齢制限がなく、何人住んでも誰と住んでも痴呆になっても〝排除〟されないことだ。記者は「シニア向け」が分譲されたときからそうすべきと思っていた。
いまは「シニア向け」が圧倒的に少ないからそう呼ぶのかもしれないが、居住者の平均年齢が65歳を超えるマンションは激増する。そうなれば「シニア向け」という言葉は死滅する時代が来る。
記者などはどんなに年をとっても、若い女性が住む街・マンションに住みたいと思う。姥捨て山のように隔離されるのだけは嫌だ。若い人も年寄りも一緒に仲良く住めるのが本来のマンションではないか。
第二は、商品企画だ。約73㎡のモデルルームもシニアだけでなく普通のファミリーが入居してもいいように設定されていた。玄関引き戸、メーターモジュール廊下、幅広のトイレドアなどはお年寄りだけでなく万人に使いやすいものだ。年齢制限をなくしたことと合わせれば画期的な提案だと思った。
これまでのシニア向けの購入・入居者は圧倒的にお年寄りの単身女性が多いはずだが、このマンションは夫婦の入居比率が高くなるのではないか。
だが、しかし、ファミリーの入居を阻む問題が一つある。管理費などだ。一般的なマンションの3~4倍はする。高いのはレストランや大浴場などの維持・管理に費用がかかるので当然なのだが、月額4~7万円となるとファミリーは二の足を踏む。管理費を二本立てとし、若年層は利用ごとに課金されるようにしたらどうか。お金を払ってでもレストランや大浴場を利用しようと考える若年層はいるはずだが…これでは費用不足になるか…。難しい問題だ。
同社も他社も今後は「シニア向け」を企画するなら、賃貸-ファミリー-サ高住など多様な世代が住めるサスティナブルな街づくりを目指してほしい。
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販売事務所や配布資料などに「ハイネスコーポレーション」の名が大きく出ていたので「ハイネス恒産」を思い出した。今の若い方はご存じないだろうが、バブル崩壊まで「ハイネス恒産」は住産協(現全住協)の中心メンバーだった。
関連はあるのかと聞いたら、同社ライフアドバイザー・東純二氏は「バブル崩壊後にハイネス恒産大阪支店から独立して設立された会社」と語った。
いまでは関西圏で供給されたシニア向けマンション約4,300戸のうち同社が分譲した7棟と他社物件の販売代理3棟を合わせると約1,700戸に上るトップシェアだという。首都圏での展開も検討しているそうだ。