日本土地建物(事業比率55%)・三菱地所レジデンス(同40%)・三信住建(同5%)の3社JV「バウス武蔵境」を見学した。駅から徒歩9分の第一種低層住居専用地域(一部除く)に位置する全130戸。敷地面積約8,779㎡のうち約2,100㎡の都市計画道路区域をどう見るか悩ましいマンションだ。
物件は、JR中央線武蔵境駅から徒歩9分、武蔵野市境2丁目の建ぺい率40%、容積率80%の第一種低層住居専用地域(一部建ぺい率60%、容積率200%の第一種中高層住居専用地域含む。加重平均の全体容積率は約91%)に位置する敷地面積約約8,779㎡の全130戸。専有面積は54.60~77.95㎡、価格は未定だが坪単価は300万円台の前半になる模様。竣工予定は2020年9月下旬。設計・監理はSHOW建築設計事務所。施工は若築建設。販売開始は10月下旬。
現地は、アジア大学通り面している。低層住宅などが広がる第一種低層住居専用地域。対面は大京のフラッグシップマンション「ザ・ライオンズ武蔵野」。
敷地は南北軸が長い長方形で、敷地西側の約2,100㎡(幅約16m×長さ約131m)は都市計画道路の区域にかかっている。
建物は4棟構成。第一種中高層地域の道路に面するサウス棟が7階建て30戸、敷地西側の1低層エリアのグリーンプロムナード(公開空地)に面したウエスト・ノース棟が77戸、東向きのイースト棟が23戸。
1戸当たり土地持ち分は単純計算して約67㎡(敷地約1万㎡の1低層の住友不動産「インペリアガーデン」は約59㎡)もあるのが最大の特徴で、敷地には70種15,000本の植栽を施し、都市計画道路区域はグリーンプロムナードとして近隣住民も利用できる公開空地とし、住民同士がコミュニティを育むことができるサークルガーデン、コミュニティガーデンも配置する。
ブックラウンジや庭園の設置のほか、コミュニティの企画、チャイルドロック付きガスコンロなどが評価され、都の武蔵野市初の「東京都子育て支援住宅」に認定されている。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンター、リビング天井高2440~2510mm。日土地ブランド〝バウス〟オリジナル収納「コアクロ」(有償)を提案しているのも特徴の一つ。
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日土地の新ブランド〝バウス〟が誕生してから3年が経過する。〝バウス〟の頭文字「バ」は、三井不動産レジデンシャル「パークホームズ」、三菱地所レジデンス「(ザ)パークハウス」、野村不動産「プラウド」、東京建物「ブリリア」、東急不動産「ブランズ」(ほかにJR西日本プロパティーズ「プレディア」)と同じハ行。大手の一角に食い込むのかと期待したのだが、その後、数えるほどしか供給しておらず、見学するのは今回が初めてだった。
約71㎡の地下住戸を想定したモデルルームはよくできていた。約11㎡のテラスと約23㎡のテラス(ドライエリア)を合わせると奥行きは約6.1mあり、アウトドアリビングとして利用できるように提案していた。
洋室の一角に設置した2段組の「コアクロ」は約1.7畳大。上段を書斎や子ども部屋、下段をキャスター付きの収納にしているのもなかなかいい。ただ、堅牢なもので値段がかなり高くなりそうなのが課題(三菱地所が発売開始した60万円台の「箱の間」もやや高い)。
肝心の価格(坪単価)はどうか。同社は「未定」としているが、このところの中央沿線のマンション価格は高騰しており、坪300万円以下はありえない。大京「ザ・ライオンズ武蔵野」は坪単価330万円でもよく売れたので、かなり高くても売れるかもしれないが、問題は都市計画道路をどう見るかだ。
厄介なのは計画通り道路は出来るのかも全く不明であることだ。道路計画が都市計画決定されたのは昭和37年だから半世紀がとっくに過ぎた。
だから、グリーンプロムナードはずっと残るのかどうかも全く分からない。分からないものを評価するのは難しい。(都市計画道路に指定された場合は、固定資産税や都市計画税の減免があるはずだが)
三菱地所レジデンスは駅の反対側で単独マンションを計画しているので、強気な価格設定を希望するはずだが、日土地はどのように値付けをするか。記者は坪320万円くらいに落ち着くと見たがどうだろう…最終的に価格を決めるのはお客さんだ。
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