プレハブ建築協会は10月29日、環境行動計画「エコアクション2020」の2018年度実績を発表し、大手ハウスメーカー8社の注文住宅のZEH供給比率は51.4%となり、国の掲げる目標を2年先行して達成したと報告した。
調査は、同協会が設置している20社からなる住宅部会のうち供給シェアが高い大手メーカーなど8社で構成されている環境分科会の供給戸数を対象にしたもの。
この結果、8社が2018年度に供給した戸建て注文住宅49,663戸(前年度比6.9%減)のうちZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)供給比率は51.4%(前年度比14.3ポイント増)となり、「2020年度までに過半数」という国の掲げる目標を2年先行して達成した。同協会は「2020年度までにZEH供給比率70%」を掲げている。
このほか、太陽光発電システムを設置する戸建て住宅の供給率は、買い取り価格の低下などの影響を受けつつ、ZEH住宅の普及に伴い59.7%(前年度比3.8ポイント増)と4年ぶりに上昇した。
「エコアクション2020」は、「低炭素社会の構築」「循環型社会の構築」「自然共生社会の構築」「化学物質の削減」「良好なまちなみ形成」の5つを柱に掲げている。
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ZEH供給率が高まっているのは結構なことだ。だが、しかし、他方では時代の流れに逆行・退行している憂慮すべき事態が進行していることも明らかになった。
同協会は、住宅地の緑化を推進するため、敷地面積の40%以上を緑化した建売住宅の供給比率を2020年度までに50%に引き上げる目標を掲げている。2012年度では、会員各社が分譲した建売住宅4,654戸のうち1,935戸、41.6%がこの目標をクリアしていた。
ところが、2018年実績では前年度比8.5ポイント減の22.1%しか達成できなかったことが報告された。
全体の供給戸数は報告されなかったが、建売住宅市場は一部の〝ガリバー企業〟が供給シェアを高める一方で、大手デベロッパーやハウスメーカーはシェアを伸ばせていないと思われるので、2012年度と同じかそれより減少しているものと予想される。(2012年度の全国の建売住宅の着工戸数は125,694戸で、2018年度は138,394戸)
これは何を意味するか。やや乱暴だが、仮に、緑化率が高い住宅を質の高い建売住宅とするならば、〝ガリバー企業〟が供給する建売住宅の緑化率は限りなくゼロに近く(ZEHも同様)、他の大手・中小のデベロッパー、ハウスメーカーの緑化率も高くないことが予想されるので、明らかに良質な建売住宅は減少傾向あると断言できる。
記者は、嫌な気分にさせられるのでもう見なくなったが、一般的な建売住宅を見ていただきたい。もはや〝ミニ開発〟〝猫の額の庭〟は死語と化した-みんなミニになり、庭などなくなったから、敢えてそう呼ぶ意味もなくなった-。敷地はコンクリで固められ、ぺんぺん草も生えない〝長屋〟のような建売りがシロアリのように増殖し、せっせせっせと地球温暖化に〝貢献〟している。
先日、ある建売住宅を見学した。緑が全くないので「これはいかがなものか」と聞いたら、「(コンクリを)剥がせば木は植えられる」との答えが返ってきた。分譲価格は間違いなく安かった。これを甘受(あるいは享受)する消費者がいることも言わなければならない。