芳井社長がいたく感動した祝詞(部分)
既報のように、大和ハウス工業は10月29日、横浜市栄区の「上郷ネオポリス」で建設を進めてきたコンビニ併設型コミュニティ施設「野七里(のしちり)テラス」が完成したのに伴うオープニングセレモニーを実施したが、同社・芳井敬一社長が「(竣工式の)これほど心がこもった祝詞は聞いたことがない」と語った。
好奇心が旺盛でかつへそ曲がりの記者は、この言葉に素早く反応した。祝詞はこれまでも取材先で何回か聞いているが、そもそも〝神様 仏様 稲尾様〟とすがったこともあるが、〝どこに神や仏がいるのか〟と呪ったことも一度や二度ではなく、つまり神や仏など信じていないし、あの間延びし勿体ぶった「かしこみ かしこみ もうす」の詞は実に退屈でほとんど意味が分からず、だしぬけに「だ・い・わ・は・う・す・こ・う・ぎ・ょ・う・か・ぶ・し・き・が・い・し・ゃ・だ・い・ひ・ょ・う・と・り・し・ま・り・や・く・し・ゃ・ち・ょ・う・よ・し・い・け・い・い・ち・ど・の…」などと企業名やらの現(うつつ)が延々と述べられるのに違和感を覚えるのだが、数えきれないほどの祝詞を聞いているはずの芳井社長がいたく感動された祝詞とはどんな内容なのか、古酒のような味わい深い古典のようなものか知りたくなり、同社広報にお願いし、神主様からも了解を得て、全文を送ってもらった。
それを1時間かけてワードに書き写した。文字数にして1,000字強。そのまま紹介しても記者本人も読者のみなさんもちんぷんかんぷんだろうから、さらに2時間くらいかけて記者なりの解釈を( )書きで加えた。間違っていたらごめんなさいと謝るほかない。
さて、芳井社長はどこの部分に感動されたのか、これがまた分からない。当たり前だ。数えるほどしか経験しておらず、意味もろくに分からない、つまり馬の耳に念仏の記者に神の声が届くわけがないということをいまようやく分かった。何だか3時間もかけたのが徒労だったような気がしてきたが、一人でも二人でもこの祝詞を読まれて芳井社長のように感動される業界の人がいれば神主様のご厚意も同社広報担当者の努力も報われる。みなさん、どうか最後まで以下の祝詞を読んで頂くよう恐み恐み白す(か・し・こ・み・ か・し・こ・み・も・う・す)。
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祝詞(のりと 祭事に神道にのっとり神様に仕える神主が神様にささげる言葉・歌)
打見せる(接頭語か。ちょっと見たところ)物皆清く美しく装(よそおい)成れる是の野七里(のしちり)テラス新築工事(たくみのわざ)の広庭(美化語。おダイコンと一緒。実際は広庭と呼べるか微妙)の真中を厳(おごそか)の斎竹(いみたけ)注連縄(しめなわ)引廻らし刺立て(葉のついた青竹にしめ縄を張り、四方に張り巡らす)招ぎ奉る掛巻も綾に畏き(かしこき 畏れ多き様子)屋船二柱大神(やふねふたはしらおおかみ)袚戸四柱大神(はらえどのしちゅうのおおかみ)大地主大神(おおとこぬしのおおかみ)産土大神(うぶしなのおおかみ)と称え奉る思金(おもいかね)神社に鎮り奉り坐す八意(やごころ)思金大神下照姫神(したてるひめかみ 女神)等大前(おおさき 神や天皇の前を敬っていう語)宮司(ぐうし 神職)恐み恐み(かしこみかしこみ 謹んで)も白さく(もうさく 言う)現代の進み行く隋々(すみずみ)に社会の人等生活の状態(さま)も千々(ちぢ)に変わりつつ万に移り行くに伴い是の横浜栄区野七里に便利宜しき上郷ネオポリスの町作りの一還(一環の誤りか)として清き赤き(清き明きとも書く 清きさま)真心こめて奉仕の誠を尽し如何にしても実現せねばならぬと一念発起し上郷ネオポリス自治会・上郷ネオポリス町作り委員会が仲執(なかとり)持ちて関係ふ(かかずらう)諸人等深く思いを凝(めぐら)して相議(あいはか)りて其の甲斐(かい)在りて此の処に工事の鍬(くわ)を入れしは去(すぐ)る令和元年五月二十七日の事とは在りぬこれの町作は年号も変りし発(はじ)めの年五ケ月の間(ほど)にて大神等の甚(いと)も尊き御神徳(みいず)を蒙(こう)ふりて滞り事なく過つ事なくメーン(メイン)テナントなる施工主大和ハウス工業㈱代表取締役社長芳井敬一位(この位は名前の後についているが、「殿」とでもいうのか) 株式会社ローソン執行役員開発本部長千尋俊彦氏位 大和リビング㈱代表取締役社長明石昌位 山岸建設㈱代表取締役社長山岸邦太郎位 ピースアーキテクツ代表取締役浦野幸一位 上郷ネオポリス自治会の長家成栄子位 上郷ネオポリスまち作り委員会座長吉井信幸位 等を始め万の装(よそおい)設計(もくろみ)の如く今日はしも工匠等が巧に残し隈なく美しく造り竟(を)へぬるを以て歳の中に八十日日(やそかび) 多くの日。生まれて80日の赤ちゃんではない)は有れども今日を生日(いくひ)の足日(たるひ いい日のこと)と選び定める新室祝(ほがい)の御祭(みまつり)仕(つかえ)奉(まつ)らむを思もへば日の本の国は古しゆ(この「ゆ」の意味が分からないのだが、「田子の浦ゆ」と同じで、「古くから」の意味か)親は子の為子は親の為に結ぶ心の一筋に清く明るく人の心を思いやり生かさる生命の尊さを忠実にかしずき人の人たる道を厳しく受け継ぎ守り来たる時のうつろいに伴いて家族の在り方等が変りて縁(ゆか)りある人々ややかそけき(認知症など加齢現象が現れた)翁媼(おきなおうな 爺さんばあさん)の人等弥増し(いやまし 益々)加わる現(うつし)の状を見るに付けて聞くに付け此の良き甘し所(あましところ いいところ)に野七里テラスが竣工し住み良い町作り培(つちか)いて喜びて豊かなる心根をもちて集う上郷ネオポリス自治会まちづくり委員会の町民等が睦(むつ)び和(なご)みて病む事を忘れ嬉々(れいれい)遊びたわむれつつ優れたる世に成さしめ給い大前に御食(けみ)御酒(みき)海川山野(うみかわやまの)の種々珍物を弥益に沢々(つやつや 色とりどり)に置足らはしめて拝み仕(つかえ)奉らしめて給いて今日より往先築き建てたる柱の底つ磐根(そこついわね 地の底にある岩盤)堅く厳(いか)しく動く事なく取葺ける甍(いらか)のさやぎなく地震(なぬ)加具土(かぐつち 火の神様)の荒(災難のことか)が在らしめ給わず千代に八千代に守り幸へ給いて其の野七里テラス新築工事は晩秋の良き日(この日10月29日は大安)を頂いてみそぎの雨の中(この日はセレモニーの間ずっと雨が降っていたが、神様はそれを禊ぎの雨と捉えるようだ。なるほど)心穏やかに咲く黄菊花(ネットで調べても中国語しか出てこない。ひよっとしたら金木犀か)の梢に集う百鳥(ももとり 多くの鳥)のい群(一群か)如す(ごとしか)人々に賑いつつ行末ながく立榮へしめ給へと宇自物頸根突抜きて(うじものうなねつきぬきて 深くお辞儀をする様)恐み恐み(かしこみかとしこみ)も乞祷(こいのみ)奉(たてまつ)らむと白す(もうす)
皇紀二千六百七十九年十月二十九日(神武天皇即位の年を元年とする紀年法。西暦に660年を加える)
郊外住宅団地の再生モデルへ 大和ハウス「上郷ネオポリス」コミュニティ施設完成(2019/10/30)