わが国の初の〝見た目〟木造高層建築物が完成-三井不動産は11月12日、新国立競技場に隣接するホテル「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」の記者発表会・内覧会を行った。建築基準法では鉄骨・鉄筋コンクリート造13階建てだが、外観ファサードに反りを取り入れ、客室バルコニーの側壁と上裏(軒天)に本物のスギ材を張り巡らせていた。記者は感動のあまり〝杉乃木ホテル〟と命名した。11月22日に開業する。
物件は、都営大江戸線国立競技場駅から徒歩1分、新宿区霞ヶ丘町に位置する鉄骨・鉄筋コンクリート造13階建て362室。客室は18.5~50.9㎡(中心は24.㎡)。設計は日建設計、施工は清水建設。土地所有者は明治神宮。三井不動産が定期借地として賃借し、三井不動産ホテルマネジメントが運営する。
客室は扁平梁とガラスの手すりを採用することで、室内から眺める視界が広がる設計を採用。屋上にはルーフトップテラスを配置。1階には、RYコーポレーションが運営するモダンイタリアンレストラン「RISTORANTE & BAR E'VOLTA」(リストランテ&バー エボルタ)が出店するほか、一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティが提供する体験イベント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の常設会場が出店する。
発表会で同社ホテル・リゾート本部長 ホテル事業部長・小田祐氏は、「当社ホテルブランドの〝プレミア〟シリーズとしては5棟目。たぐいまれな緑に囲まれた都心のど真ん中に立地しており、関係者からは〝こんなホテル他にない〟と評価されている。あらゆる層にディスティネーション目的として利用していただけるよう価値向上を目指す」と語った。
客室単価は2万円以上を目指す。ルームチャージは最低26,000円からとなる模様。
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この日の発表会・内覧会を心待ちにしていた。どんなホテルになるのかと。現地は明治神宮外苑水泳場跡地。記者はその施設と隣接する飲食店をよく知っている。30年昔から取材しているRBA野球大会の会場となっている神宮外苑軟式野球場に通っていたからだ。いつも新国立競技場とこのホテルをJR中央線・総武線の車中から眺めている。ホテルの格子デザインが実に美しい。
しかし、木材を多用している新国立競技場に調和させる意図は理解しつつも、「木」らしき外装は〝フェイク〟だと決めつけていた。
この日の発表会・内覧会でも、次のように最大限の皮肉を込めて質問した。「内装材には本物の木を採用しているようだが、外観は(ケミカルの)パネルではないか。本物の木を使う勇気はなかったのか」と。
あにはからんや。小田氏は「わたしの説明が不足していました。外壁は本物の木です。スギ材です」といけしゃあしゃあとのたまうではないか。
これには仰天した。すぐ「申し訳ありません。大変失礼な質問をしました」と謝るほかなかった。穴があったら逃げ出したくなるような恥ずかしい思いをした。
しかし、ただでは起きないのが記者だ。すぐ態勢を立て直し、以下の質問を用意した。
①耐火・防火の法規制をどうしてクリアしたのか②内装・外壁にどれほどの木を採用しているのか③コスト・メンテナンスはどうするのか④このホテルはわが国の木造による中高層建築物の嚆矢にならないか-などだ。
現段階ではこの質問に対する答えは得られていないが、必ず施主の三井不動産、設計を担当した日建設計、施工の清水建設から聞いてレポートする。
その結果によっては、また大恥をかくことになるかもしれないが、〝見た目〟の本物の木造〝杉乃木ホテル〟(杉乃井ではない)と命名したのは間違っていないはずだ。杉板の厚さは3cmくらいか。バルコニーのデッキ床はケミカル製品だった。
客室、その他の設備仕様レベルは、これまで取材した同社の〝プレミア〟シリーズのなかでも最上クラスとみた。レセプションロビーのカウンター周りは名栗仕上げ、エレベータホールや壁は本物の木材が使用されていた。
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