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2020/02/06(木) 17:02

中古住宅も〝高嶺の花〟か 「顧客」は「選別」されるのか 2/3付週刊住宅の記事

投稿者:  牧田司

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2月3日付「週刊住宅」1面記事

 小生に他意は全くない。業界紙には度肝を抜かすような記事を期待しているのであって、決して揚げ足取りではない。だが、しかし、事実でない裏付けに乏しい、あれやこれやのマクロデータを駆使し、自ら語るのではなく〝専門家〟なる人のコメントで中身の薄さを補強する記事には我慢がならない。今度は2月3日付週刊住宅の1面記事について書く。これも何を言いたいのかよく分からない。

◇             ◆     ◇

 週刊住宅1面トップ記事の横1段見出しは「顧客選別の動き 加速か」とあり、縦4段見出しは「中古住宅も〝高嶺の花〟に 購買力を上回る価格帯」となっている。さらにまた、縦1本見出しには「成約好調の裏に潜む死角」とあり、「流通市場は健全に発展するのか」「切り捨てられる層の拡大」などと、既存住宅市場の将来性に疑問符を投げかけている。

 小生は既存住宅市場には疎いが、これらの見出しに少なからずショックを受けた。

 この記事を書いた記者や専門家の方々のコメントを読まなくても、新築マンション市場は〝縮小〟していることは分かる。確かに首都圏で年間3万戸台の前半という供給量は20年くらい前の3分の1くらいまで落ち込んでいる。

 だが、しかし、ユーザーがマンションであろうと戸建てであろうと、分譲であろうと賃貸であろうと、新築であろうと中古であろうと自由に選択できるのが望ましい市場だ。メディアが新築マンションの〝市場縮小〟に過剰に反応するのはいかがなものかと考えている。少子高齢化が加速度的に進んでいる現状を考えれば、供給が減るのは当たり前ではないか。

 小生はこのところ中堅デベロッパーの優れた商品企画のマンションを立て続けに取材しており、「新築マンション市場が息切れしている」(同紙)とは全く思わない。この記者の方は新築マンションの現場など取材しないのではないか。

 そのことより、小生は戸建てもマンションも新築は敷地・居住面積がどんどん縮小し、基本性能・設備仕様レベルがダウンしているのが気掛かりだ。これらが中古市場に流通する頃にはどのような評価を受けるのか…。

 さて、週刊住宅の記事に戻る。冒頭の見出しを読んでショックを受けたというのは、「中古住宅も〝高嶺の花〟」になり、「顧客選別が加速」するのではないかという指摘に対してだ。

 この記者の方は、どのような購買層を念頭に置いているか不明だが、所帯年収400~500万円台の層は新築であろうと中古であろうと取得は容易ではないのは理解できる。東京23区の新築マンションの坪単価は300万円を突破し、記事にもあるように中古でも23区平均で5,566万円というのは信じられない値段だ。

 しかし、それでも基本性能・設備仕様、顧客対応のあらゆる点で劣る賃貸から脱出したほうがいいと小生は思うので、エリア・価格を最優先しなければ持ち家は実現すると考える。郊外に行けばまだ坪200万円以下のマンションは買える。中古だったらなおさらだ。坪100万円前後ならリフォームしても3,000万円で買えるはずだ。それを〝高嶺の花〟と言ってしまえばそれまでだが…。

 「顧客選別」-これにも異論を唱えざるを得ない。この見出しは「顧客」が「選別」されるように受け取れる。〝庶民〟には中古住宅ですら〝高嶺の花〟なのだから、顧客は(不動産仲介会社)に〝選別〟されると読める。

 果たしてそうか。顧客をアッパーミドル・富裕層に〝絞る〟店舗展開として住友不動産販売の例が挙げられているが、三井不動産リアルティはもう30年以上前からそのような店舗展開をしているではないか。それのどこが悪いのか。むしろ逆だ。富裕層に特化したビジネスはまだまだ伸びる。ここに照準を絞るのは至極当然だ。

 だからと言って、一般顧客を排除するような動きを不動産流通会社は見せていないはずだ。三井不動産リアルティは「子ども110番」をやめていないはずだし、ナイスの仲介店舗はいい。ただでコーヒーを飲ませてくれるし、小さな集まりをするのもただではなかったか。

 書くのなら「顧客」の「物件選択」の幅が広がるような記事にしてほしかった。国もそのような取り組みをすべきだ。〝住宅貧乏〟はなくすべきだ。

 記者の方は最後に「加速する所得の二極化は東京と地方都市との比較にとどまらず、東京都内にあっても拡大している(都内のほうが激しいと小生は思う)。普通に一生懸命働いても家が持てる人と持てない人。そこに不動産業界が比較的高所得の給与所得者など市場の上澄みばかりに焦点を当てては、国交省が掲げる2025年までに住宅流通の市場規模8兆円目標は健全なマーケットとして機能しているのか危うさをはらむ」としている。

 富裕層向けビジネスを「市場の上澄み」とするのは言い過ぎだと思うが、小生も普通に働いて、通勤時間は1時間圏で、3人家族で75㎡のマンションが4,00万円くらいで取得できる世の中になってほしいと願う。

 この記者の方にひと言。担当かどうかは知らないが、国が推進している〝入居を拒まない〟セーフティネット住宅制度の出鱈目、いい加減さを追及してほしい。これこそ貧困ビジネスではないか。貴殿は現場に飛ぶ勇気はないか。小生は怖くて足がすくみ心臓が縮んだ。

意味不明の新報 〝天井破り〟!? 週刊住宅 身も心も陋習に分断されている業界紙記者(2020/1/31)

 

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