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2020/02/10(月) 16:51

管理適正化、再生、情報公開など提言 マンション政策小委員会「とりまとめ(案)」

投稿者:  牧田司

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住宅宅地分科会マンション政策小委員会(国土交通省で)

 国土交通省は2月10日、第4回社会資本整備審議会住宅宅地分科会マンション政策小委員会(委員長:齊藤広子・横浜市立大学教授)を開き「とりまとめ(案)」について論議し、ほぼ「案」通りとすることを了承した。

 「とりまとめ(案)」は、全国のマンションのストック数は約655万戸、1,500万人超が居住し、都市部を中心に居住形態として定着しているものの、築40年超のマンションは現在81万戸に達し、今後、急速に建物の老朽化と居住者の高齢化という「二つの老い」を迎える中で、維持管理等に係る意思決定に時間がかかり、区分所有者の多くは必要な専門的知識や経験を持っておらず、役員の担い手不足なども深刻化しているとし、専門家の活用、地方公共団体の支援強化、流通市場で適正に評価される制度や改修・建て替え促進を促す法整備を求めている。

 同省・眞鍋純住宅局長は、「委員の方々から『画期的』『一歩踏み込んだ内容』『網羅的』などと評価されて恐縮している。課題はあふれるほど山積しているが、できることから速やかに法制化作業を進める。専門家や地方自治体の協力を得ながら最大県の効果を発揮するものにしたい」と語った。

 以下、各委員の意見・感想を紹介する。順不同

 小林秀樹委員(千葉大学大学院教授) 重要事項説明書に盛り込む内容と一般に公開する情報は、誤解を招かないよう区別して考えるべき。案は現状を変える第一歩として評価したい。次の10年後先も考えないといけない

 深尾精一委員長代理(首都大学東京名誉教授) わたしの専門はハード中心だが、非常に勉強になった。建て替えなとは分かるが、その前に道路計画を見直すべき。道路計画を(無視して)大量に団地を供給してきたことも問題

 戎正晴委員(弁護士・明治学院大学客員教授) 充実したとりまとめ(案)だ。一歩踏み込んだ内容が盛り込まれている。団地の敷地分割を盛り込んだのは画期的。管理組合の義務も読み取れる内容だ

 野口貴公美委員(一橋大学大学院教授) マンション管理には法律が多岐にわたり関係者・団体が多く、合意形成が難しいが、情報公開など管理の適正化に誘導することを期待したい

 鎌野邦樹委員(早稲田大学法学学術院教授) 非常に踏み込んだ案となっており、全面的に賛成。法令の改正も必要だが、建て替えの後押しにも、修繕・改修の現実的な問題の解決にもつながる

 栗谷川哲雄委員(東京都住宅政策本部民間住宅施策推進担当部長) 都は4月から届け出制をスタートさせる。自治体への国の支援策もお願いしたい

 江守芙実委員(江守設計一級建築士事務所代表)  網羅的にまとまっている。より深堀りして好ましい管理の姿を示していただきたい

 齊藤広子委員長(横浜市立大学教授) 適正化法は頑張る人にはいいが、管理不全に陥り頑張れない人をどうするかという課題がある。今回の案は新しい時代への第一歩、第一弾というのが感想

◇       ◆     ◇

 具体的な法整備、取り組みはこれからだが、マンションの適正な維持管理、目指すべき市場形成などに関して網羅しており、「とりまとめ(案)」はとてもよくまとまっていると思う。各委員のコメントによく表れている。

 一つだけ言わせていただければ、これほどマンションの管理が社会問題になっているのは、だれも加速度的に進む少子高齢社会の到来を読み切れなかったからだし、デベロッパーも消費者もマンション管理に関心を寄せなかったからでもある。デベロッパーはマンション管理については後ろ向きだった。環境性能表示と同様の管理性能表示を分譲の段階で行うのも一つだと思う。

 喫緊の課題の一つでもある団地型のマンション再生について言えば、同じ間取りの同じ価格のマンションを同時に大量に分譲すればどのような事態を招くか容易に想像できたはずだ。深尾氏も指摘したように道路計画を含めてわが国の都市計画の是非、検証を行うべきだと思う。

 管理不全マンションの公開は両刃の剣だ。一つかじ取りを間違えれば、世の中から管理が劣悪なマンションは〝抹殺〟されることになりかねない。とはいえ、絶対的排他的土地所有の原則がある限り、国や自治体が支援するのには限界がある。専門家の活用にもお金がかかる。どうするのだろうか。 

とりまとめ案.pdf

管理費滞納、空き家・賃貸化など公開へ 神戸市 マンション管理支援制度で検討へ

 

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