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2020/02/25(火) 22:29

川口元郷-現地-川口 徒歩30分 街路樹は1本もなし 「本当に住みやすい街大賞」?

投稿者:  牧田司

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川口元郷駅前は河津桜が八分咲き

 長谷工不動産が4月下旬に分譲する「ブランシエラ川口The Airy Site」を見学した。この記事を書く前に、川口元郷駅から徒歩14分の現地を見学し、食事を兼ねてタバコを吸おうと思ったら駅周辺には適当な店がなく、仕方なく川口駅まで20分くらいかけて街を歩いたときに感じたことを先に書く。

 「川口元郷」は、大京の「エルザタワー」を皮切りにこれまで数物件のマンションを取材している。個々の物件のレベルは高かったが、用途地域がほとんど準工業地域であるため緑が少なく、街全体が汚いという印象が強く残っている。

 この日(2月25日)は、駅前の河津桜が八分咲きくらいでとても美しかったのだが、よかったのはこの一角のみ。

 駅前にはクスノキが3本あった。無残にも高さ4mくらいでちょん切られていた。胴吹き枝・ひこばえだらけだった。こんなかわいそうなクスノキはほとんど見たことがない。怒りが込み上げた。クスノキは基本的に剪定が必要ではなく、そのままでも樹高20~30mの美しい樹形をつくる。

 そして、駅から北に向かって岩槻街道(国道122号線)を歩き、途中で交差する八間通りを眺めたが、現地まで街路樹は1本もなかった。14分も歩いて街路樹に1本も出会わない郊外住宅地など他にない。

 正確に言えば、街路樹らしきものはないわけではなかった。十二月田交差点から少し入ったタカラレーベンのマンション沿いに樹種は不明だったが、樹木が植わっていた。市の公園課に確認したら街路樹はイチョウで約100本あるとのことだった。

 しかし、そのイチョウは高さ3メートルくらいでぶった切られており、写真のように瘤だらけだった…イチョウには瘤があったか…イチョウではない気もする(街を歩く人数人にも訪ねたが、イチョウと答えた人は一人もいなかった)。

 〝これじゃマンションも売れない〟と落胆しながら駅まで戻り、タバコを吸う場所もないので仕方なく六間通りを歩き川口駅に向かった。この間も街路樹は一本もなし。この前書いた「八潮」と似たり寄ったりだ。

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こんな醜いクスノキは見たことがない(川口元郷駅前で)

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こんな瘤だらけのイチョウは見たことがない

◇       ◆     ◇

 マンション建設現場の道路を挟んだ東側には、ところどころに芝生のようなものが生えているだけのグラウンドのような朝日中央公園があった。高木はケヤキ5本のみ。「野球、サッカーなど球技は禁止」の看板。

 外周約300mはジョギングできるようになっていた。後期高齢者らしき男性に声を掛けた。「1週300m、30周が目標」とか。おばあちゃんにも聞いた。(何周走るんですか? )「…周」(えっ、50周? )「5周だよ、1.5キロ。50周走ったら死んじゃうよ」

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この広場はどのように利用するのか(朝日中央公園)

◇       ◆     ◇

 川口駅に着き、帰りの電車に乗ろうとしたとき、だしぬけに「本当に住みやすい街大賞2020」の看板が小生の眼を射た。どこかで聞いたような気がしたので社に戻り確認した。

 アルヒが選定したものだった。「住環境・交通利便・教育環境・コストパフォーマンス・発展性の5つの基準を設定し アルヒの膨大なデータをもとに住宅や不動産の専門家が参画する選定委員会による公平な審査」を経て選んだという。

 「川口」は、「銀座通り商店街の再開発が進行中、2023年には商業施設を含む地上29階の複合タワーマンションが完成予定、今後の更なる街の発展が期待できる。浦和や大宮駅に比べ東京都心に近いわりに、地価や物件価格がリーズナブル」というのが選定理由になっている。

 以下、赤羽、たまプラーザ、柏の葉キャンパス、入谷、王子、武蔵小金井、小岩、ひばりが丘、東雲の順でベスト10入りしていた。

 このランクを辿る途中、小生は嫌な予感がした。意図的というか恣意的というか、何やらきな臭いデベロッパーの匂いがしたからだ。案の定、審査委員長はわが業界ではよく知られているS氏で選定委員はO氏だった。

 これのどこが「公平な審査」なのか。S氏、あるいはO氏がそれぞれ「本当に住みやすい街」と書けば文句はない。誰がどこを「本当に住みやすい街」に選ぼうが勝手だからだ。

 だとしても、住めば都だ。住環境、交通利便、教育環境など「5つの基準」は人それぞれ、何を重視するかで評価は全く異なってくるはずだ。その根拠を示さないと、たまプラーザと柏の葉キャンパスの住民は〝どうして川口や赤羽が上なんだ〟と激怒するかもしれない。

 小生だって、(マンションの価格などで)たまプラーザと柏の葉キャンパスには負けるかもしれないが、ベスト10入りした街に総合力では絶対負けないと思う。(何をもって優れているかも問題だが)住環境で多摩センターに勝てる街があったら名乗り出てほしい。

 最後に、住んで18年の川口市民の男性(42歳)の声を紹介する。「川口はいいところですよ。人情味があって、大型ショッピングモールがあって、開発も進んでいる。市は教育にも力を入れている。学力が上がっている。子育てにはとても住みよいですよ」

 読者の皆さん、「街路樹が泣いている」と「RBA」で検索していただければ、小生の記事が少なくとも10本はヒットするはずです。ぜひ読んで頂きたい。街のポテンシャルを引き上げるのは緑だと確信するからです。

貧しい街路樹 低い緑被率 「緑」に対する市民の不満率44% 「八潮らしさ」を考える(2020/2/15)

 

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