ポラスグループの中央グリーン開発は6月19日、練馬区光が丘の分譲戸建て「東京5LDK@練馬光が丘」を報道陣に公開した。都営大江戸線光が丘駅から徒歩23分の立地と、新型コロナの拡大という大きなハンディを抱えながら、昨年末の分譲開始から現在までに全23戸のうち17戸が成約済みで、今年末の竣工までに完売する見通しだ。「afterコロナ」を先取りした商品企画がヒットした。
物件は、都営大江戸線光が丘駅からバス8分徒歩4分(徒歩24分)の建ぺい率50% 容積率100%の第一種低層住居専用地域に位置する全23戸。敷地面積は100.00~119.99㎡、建物面積は91.22~105.81㎡、価格は4,980万 〜 6,250万円。構造・工法は木造2階建(在来工法)。施工はポラテック。全棟完成は今年末の予定で、約半数が竣工済み。
昨年12月14日にモデルハウスをオープン。成約状況は12月が3棟、1月が1棟、2月が2棟、3月が5棟、4月が2棟、5~6月が各2棟。成約者は20歳代からの共働き夫婦が中心。物件ホームページへのアクセス数は同社グループでベスト3にランクされているという。広域からの問い合わせが多いのも特徴。
土地面積110.00㎡、建物面積100.19㎡、価格6,250万円のモデルハウスは17畳大のLDKとキッチンから見通せる位置に3.5畳大の書斎コーナーを設置し、2階には6畳大の主寝室(隣接する5.2畳大の居室と一体利用できるよう提案)、4.7畳大、4.5畳大の居室を設置。居室は夫と妻がそれぞれ自分の居場所として利用できるよう家具などを配置。価格は家具付き。
同社ブランディング課マネージャー・杉山秀明氏は、「用地を取得した1年半前から企画を練った。社内からいろいろ声を集めた結果〝部屋は子どもに取られ、テレビの主導権も奪われる。自分の居場所がない〟ことがヒントになった。ならば、自分の居場所をつくろうではないかと。5LDKは多くの社員の共感を呼んだ。間取り変更は可動間仕切りで十分対応できる。テレワークも想定したスペースを盛り込んだモデルハウスは、コロナ禍が結果的に追い風になった」と話した。
設計を担当した同社設計部企画設計課参事・諸橋健二氏は、「一低層の建ぺい率、斜線制限のほか緑化基準など厳しい条件があったが、多様なニーズに応えられるよう全棟バリエーションを変えた」と語った。
販売を担当する同社和光事業所営業課課長・三瓶良樹氏は、「当社の光が丘駅圏の物件供給は10件目で、駅から遠いのは最初に説明するが、コンセプトを説明し、納得してもらっている。全世帯の方から〝間取りがいい〟という評価を得ている。都内の物件は月に1棟の成約スピードだが、この物件は月に3棟ペース。残りも順調に推移するはず」と販売に自信を見せている。(三瓶氏はRBA野球に参加しているポラスグループの6番打者で3塁手。
ポラス延長制す 三瓶が決勝打 岩瀬3度の満塁しのぐ エイブル11残塁(2016/7/14)
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モデルハウスを見学する前、一服を兼ね、いつものように価格予想をした。工事中の職人さんと「皆さんは夜の街行きます? 」「全然行かない」などと談笑しながら、「これ、いくらですかね。わたしは5,000万円くらいなら売れると思いますが…」と話したら、ほぼその通りだった。
驚いたのは、やはり「東京5LDK」だった。言うまでもないことだが、首都圏の分譲戸建ては、たまに3LDKもあるがほとんどが4LDKだ。5LDKなど聞いたことがない。ファミリーマンションは3LDKが主力だが、居住面積が確保できないので2LDKタイプがかなり増えている。
なので、建物面積約30坪で「5LDK」というのにはさすがにびっくりした。が、同時に納得もした。完全に盲点を突かれたと思った。本来考えないといけないことをズバリ指摘されたという意味だ。
富裕層には「東京5LDK」などは全然響かない。いわば当たり前だし、部屋数など問題ではない。しかし、このところの地価・建築費の上昇で、23区内のマンションは軒並み坪300万円となり、デベロッパーも売れないのが分かっているから、苦肉の策としてお蔵入りしていたはずの昭和の時代の3LDK=18坪をこっそりと引き出してきた。
庶民にとって「東京5LDK」は夢のまた夢だ。それぞれの居室は狭いが、ポラスは夢のまた夢を実現した。家を売る商売は〝夢を売る〟商売でもある。
「東京」もヒントだ。先にも書いたが、東京(23区)で普通のファミリーがゆとりある住宅を取得するのは絶望的になってきた。「東京」ではなく、〝越谷の5LDK〟だったら、果たしてここまで注目されるか。若年層に響くキャッチフレーズ、ネーミングも重要ということをこの物件は示している。
〝自分の居場所〟づくりというコンセプトはよく分かる。ミレニアル世代が何を考えているかはよく分からないが、夫も妻も(子どももそうか)一人になれる空間を求めている。ましてや新型コロナは否応なくテレワークを強いる。
モデルハウスは新型コロナを想定して作ったのではないというが、1階の書斎スペース(家具は約20万円相当)も2階の個室もafterコロナにぴったりだと思う。成約者全員が「間取りがいい」と評価したのもうなずける。