旭化成ホームズくらしノべーション研究所は6月29日、ZOOMによるオンライン記者勉強会「『ワーク・ワーク・バランス』を保つ新たな暮らし方を探る」を開催。ゲストに立命館大学産業社会学部教授・筒井淳也氏を迎え、同研究所顧問・松本吉彦氏とトークセッションを行った。
同勉強会は、旭化成ホームズと同研究所が4月上旬に行ったアンケート調査「在宅ワークスペースの現状とくらしの在り方を探る」結果を踏まえ、働くことによって対価を得られる有償の仕事と、家事など無償の仕事のバランスを意味するワーク・ワークバランスのあり方を探るのが目的。
トークセッションでは、アンケート調査の結果、在宅ワークによって家族と一緒に過ごす時間が増え、好きなタイミングで家事がこなせるなどのメリットがある反面、仕事とプライベートのON-OFFの切り替えが難しく、職場の人とのコミュニケーションが減少したなどの課題も明らかになったことを受け、筒井教授は通勤時間の削減により生まれた「自由な時間」をどう生かすかが求められると強調した。
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アンケート調査については、同社のニュース・リリースと記者の記事を参照していただきたい。
トークセッションは、同社のニュース・リリースを読んでいたのでとても分かりやすかった。システムの問題もあるのだろうが、一般の方にも呼び掛けて一緒に考える勉強会でもよかったのではないかと思う。
一つだけ引っ掛かったのは、雇用労働者の「有償労働」と、家事・育児(介護などもそうだが)の「無償労働」の関係についてだった。
「有償」と「無償」は賃金が支払われるかどうかで分かれるのだろうが(労働者は金だけで働かないのも事実だか)、「労働」の価値そのものは変わらないと記者は考えている。家事や育児が「無償労働」とされてきたのはわが国の家父長制の残滓でもある。「無償労働」の価値を正当に評価することが「新しい生活様式」につながるのではないか。〝専業主婦(または夫)〟(昔は婚期を迎えた娘さんや出戻り、後家さんは「家事手伝い」と呼ばれたが、今は死滅しているはず)などの言葉は死滅すべきだし、職と住の関係も問い直す必要があると思う。