大和ハウス工業が10月中旬に分譲する「プレミストタワー白金高輪」を見学した。富裕層向けマンションはこの半年間1物件も見学していないので他社物件はよく分からないが、この物件は立地も設備仕様レベルも高い。価格を抑制気味なのは、全部で供給が2,000戸近くにのぼる大激戦エリアで他社に影すら踏ませない先行逃げ切りを目論む(後出しだからまくり一発か)戦略とみた。
物件は、東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線白金高輪駅から徒歩1分、港区高輪一丁目の商業地域に位置する35階建て全280戸(非分譲住戸127戸含む)。専有面積は33.06~117.15㎡、第1期(戸数未定)の予定価格は5,700万円台~26,600万円台(最多価格帯10,900万円台、13,600万円台、13,800万円台)、坪単価は650万円くらいになる模様。竣工予定は令和4年11月上旬。施工は西松建設。デザイン監修は建築家・光井純氏。ランドスケープ・外観照明デザインは近田玲子氏。販売代理は三井不動産レジデンシャル。
現地は、白金高輪駅から徒歩1分、国道1号線に接道。従前の「パシフィック高輪マンション」(1970年竣工63戸)と「トーア第二高輪マンション」(1979年竣工93戸)の共同建て替えマンション。同社は2017年2月、円滑化法に基づく建替組合の参加組合員として事業に参画した。
敷地はほぼ正方形で、総合設計制度の適用を受け、敷地四方を緑で囲っている。地下2階に車寄せとオーナーズサロン、地下1~3階は店舗、トランクルーム、自転車置き場など、3階の共用部には2つのラウンジ、オーナーズキッチン、インナーコリドーを設置。住戸は4階からで、標準階1フロア8~10戸構成。最上階は6戸。
主な基本性能・設備仕様は制振構造、Low-Eガラス、キッチン・洗面・トイレカウンター御影石、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、リビング天井高最大2800ミリ、コロンボ製ドアノブ、天井カセット型エアコンなど。
販売を担当する同社東京本店東京マンション事業部営業部第二課販売事務所長・宮本章司氏は、「(大激戦のエリアですが)他社に負けないよう都心部のプレミストシリーズの中で最高レベルに仕上げました。最上階の105㎡タイプは抽選になりそうです。第1期は40~50戸供給を目指しています」と自信をのぞかせた。
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コロナの影響で富裕層向けマンションのモデルルームを見学するのは半年ぶりだったが、基本性能・設備仕様レベルは間違いなく坪単価650万円に見合うどころかそれ以上の価値があると見た。
見学する前は立地条件からして高値追及するなら坪700万円もあると考えたが、ひょっとすると同社は競合関係、販売戦略など総合的に判断して坪650万円くらいに設定し、早期完売を狙うのではないかと予想した。つまり高値挑戦はしないと結論づけた。
その読みは的中した。いま分譲中の周辺物件より単価は安いはずだ。しかし、安いからといってレベルが低いかといえばそうではない(競合物件の取材は申し込んではいるが実現はしていないので断言はできないが)。物件ホームページにはモデルルーム、設備仕様などについては触れられていないが、いくつか写真を撮ったので紹介する。どこの億ションと比較しても負けないレベルにあるはずだ。
105㎡のタイプはオプション仕様だが、設えられている家具・調度品、面材などは全て一級品だ。玄関ホール、リビングダイニングに敷かれている絨毯はふかふかで、玄関ホールに掲げられているオブジェは息を吞む程だし、日本酒はフランク・ミュラー(小生は知らなかったが、かみさんは名前だけは知っていた…そのレベルか)、ガラス食器類はバカラ、江戸切子、カチッと閉まるドア、把っ手はコロンボ、食洗器はミーレ、キッチン天板はセラミックス、織り上げ天井、天井高2800ミリ…ひっくるめると数千万円だろう。中グレードの70㎡のタイプもほとんど標準仕様で、こちらもグレードは高い。
販売事務所(サロン)も、同社はこれまでも「六番町」「赤坂翠嶺」など豪華な造りにしていたのでそれほど驚きはしなかったが、白い色調のアールを多用したデザインが美しい。2階のモデルルームへの階段幅は2.5mくらいあり、天井には高価そうなシャンデリアがさりげなく飾ってあった。
競合物件も取材してレポートしたい。双方が面子をかけて戦えば戦うほど、得をするのは購入予定者だ。販売代理の三井不動産レジデンシャルは競合物件の売主に名を連ねているが、それぞれ物件担当者同士で激しいバトルが勃発するのか、こちらも興味がある。
大和ハウス工業 白金高輪駅1分のマンション共同建て替え284戸 着工(2019/7/29)