東京都の新型コロナ感染者のうち職業が不明の人の割合は35%に達することを昨日紹介した。今回は都のオープンデータの職業欄に記載がある4,470人の職業を年代別・性別に分けて紹介する。幼児や小学生などは男女の差がほとんどなく感染している一方で、他の職種では大きな差が出るなど就労、社会環境が色濃く反映されている。
それぞれの職業の定義は、医師や教員、タクシー運転手のように分かりやすいものもあれば、会社員、接客業、自営業、アルバイト、サービス業などあいまいなものが多く、主婦と無職の関係などもいま一つよく分からないが、もっとも多いのが1,629人の会社員だ。職業が記載されている全体の36.4%を占める。当然の結果か。
年代は男女とも20代から50代まで200人以上となっており、男女比では男性1,133人:女性496人と男性が圧倒的に多い。これは三密が避けられない業務の人が多いためか。
女性は20代と30代が100人台だが、40代以降は100人を切り、同年代の男性よりはるかに少ない。コロナの怖さをよく理解しているからと解したい。
無職の感染者も499人と多い。10代から80代にかけて幅広く分布している。女性の比率が高いのは中高年の主婦が「無職」と回答したためか。
227人の飲食業は20代から50代に感染者が多い。これも就業環境からしてやむを得ないのか。
176人の接客業と94人のサービス業の感染者を合わせると270人となり、飲食業を上回る。しかし、そもそも接客業、サービス業なる職業がよくわからない。これ以上触れない。
182人の医療従事者も少なくない。年代では20代女性が71人と、全体の39%を占め、男性20%:女性80%という比率は、女性が過酷な労働環境にさらされている一面が垣間見えるといったら、これまた言いすぎか。
118人の施設職員は、どのような施設なのか不明だが、介護・高齢者施設のことを言うのだろうか。こちらも男性より女性のほうが3倍多い。
医師は43人。多いのか少ないのか判断しかねるが、男性32人:女性11人の比率は気になる。
218人の自営業、35人のパート職員、74人のアルバイトなどはいったいどのような職種なのかまったく分からないのでコメントのしようがない。自営業、パート、アルバイトは経営・雇用形態を表わすもので職業ではない。厚労省の職業分類表にもない。
学生は男性64%:女性36%。体育会系のクラスターの発生が伝えられているのが数値に表れているようだ。ここでも賢明な選択をしている女性が浮かび上がると言ったら怒られるか。
10代や学生の感染者数と比較して意外に少ないのが教員だ。25人しかいない。51人の公務員の半分だ。オンライン授業の成果か。それで人材が育てられるのなら結構なことだとは思うが…。
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感染者から職業を聞き出すのは大変な苦労が伴うのだろうし、せっかく都がオープンデータに記載するようになったので批判はしたくないが、感染拡大を防止する観点からすればもう少し深く調査すべきだろうし、パート、アルバイトを載せるのであれば雇用形態はコロナ感染と関連があるのかどうかも探るべきだ。一括りに会社員、その他といっても様々な職種があるはずだ。
もう一つ不思議なのは、小学生、タクシー運転手、その他運転手、建設業(大工さんだけでないと思うが)などがあるのに、中学生、製造業などはなく、医師や教員はあるのに他の士・師業はないのはなぜか。サービス業、接客業もしかり。この世の中にサービス、接客を伴わない職業なんてあるのか。