三菱地所ホーム
全棟長期住宅認定取得&「オリジナル HEMS」バージョンアップ
渋谷 モデルハウス
三菱地所ホームは4月23日、同社が2×4工法の注文住宅用に開発した高耐力壁の「ハイプロテクトウォール」の標準採用により全ての建物で耐震等級3を確保し、長期優良住宅認定を取得したと発表した。また、昨年4月に発売した「オリジナル HEMS」をバージョンアップし、これまでは手動での機能設定だったものが、自動的に機能を作動させることにより従来仕様より年間の冷暖房エネルギーを約 25%、金額にして約15,000円削減できるシステムを20万円で5月1日から販売する。
「ハイプロテクトウォール」は、従来の壁倍率4倍に対し、50%耐力をアップさせた壁倍率6倍の外壁。国内の森林保全と環境に配慮したトレーサビリティが明確な国産材の構造合板1級を採用し、壁倍率12倍の高耐力壁の設計も可能としたのが特徴。設計の自由度が高まったため、無柱空間を最大で72㎡まで確保できる。
発表会に臨んだ西貝昇社長は、「東日本大震災後、安心・安全とエネルギー問題についてのお客さまのニーズが高まっているが、長期優良住宅認定も『オリジナル HEMS 』も時代を先取りした商品で、お客様と楽しみながら建てられるのが特徴。先ごろオープンした『三菱地所レジデンス ラウンジ』の活用を含めてグループと連携を強化していく」と述べた。
「ハイプロテクトウォール」を採用したモデルハウスを4月27日(土)、渋谷ホームギャラリー(渋谷区神宮前)にオープンする。モデルハウスはリビング約29畳大で、天井高3m、3mハイサッシなどが特徴。
全館空調の自動制御機能付き「オリジナル HEMS」の年間販売目標は300棟。
渋谷 モデルハウス
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三菱地所ホームの記者発表会に参加したのは初めてだった。以前から、三菱地所レジデンスはマンションを年間 4,000 戸も 5,000 戸も供給しながらどうして建売住宅は供給しなくなったのか、三菱地所ホームはどうして三井ホームの売り上げの10分の1ぐらいの売り上げ(24年度は272億円)しかないのかずっと疑問に思ってきた。
その一方で、昨年、三菱地所グループが取り組むCSR活動の一環である「空と土プロジェクト」の稲刈り取材を行い、三菱地所ホームが山梨県と協定を結び、県有林のカラマツを構造材として積極的に採用していることを目の当たりにした。同社の構造材の国産材採用比率は業界トップクラスの50%に達する。森林・林業の再生が喫緊の課題だけに、同社の取り組みがきちんと評価されるべきだとも思った。
そこで、どうして売り上げが地所グループ全体の3%にも満たないのかなどについて、西貝社長らに質問した。西貝社長は、「リーマン・ショック前までは仙台や広島でも営業拠点を構えていたが、それ以後は首都圏と大阪圏の高所得者層を中心に集中的に営業活動をしているため」と答えた。国産材の採用については、「山梨に限らず北海道、岩手などでも協定を結び、今後も積極的に採用比率を高めていく」と話した。
また、注文住宅事業部門担当の同社常務執行役員・中津川隆士氏は、「当社の営業マンは100人弱。全社員の3分の1ぐらい。同業他社は社員の半分以上が営業マン」と、営業マンが少ないのが同業他社に後れを取っている理由の一つだと話した。
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なるほどとも思ったのだが、ならば営業マンを増やし、中堅層もターゲットとして取り組めば売り上げは飛躍的に伸びると思った。一定のシェアを占めそれを伸ばすのは大変なエネルギーが必要だが、現状は微々たるものだ。どこにも負けない技術力を持っているのなら数字を2倍、3倍ぐらいまで間違いなく伸ばせるはずだ。
「トレーサビリティ」は、家庭の主婦にとっては食材などを購入する際の最大の決め手になるはずだが、木材がそうはならないのは残念だ。