日本綜合地所「ヴェレーナ横浜東寺尾」 管理コスト抑え健闘
「ヴェレーナ横浜東寺尾」完成予想図
日本綜合地所の「ヴェレーナ横浜東寺尾」がバス便のハンディを抱えながら、ランニングコストを抑制した企画が奏功し激戦の駅圏で順調なスタートを切った。
物件は、 JR 京浜東北線鶴見駅からバス約11分徒歩1分、または京浜急行本線生麦駅から徒歩13分、横浜市鶴見区東寺尾5丁目に位置する7階建て全80戸の規模。専有面積は68.26~75.40㎡、現在先着順分譲中の住戸(13戸)の価格は3,179万~3,499万円(最多価格帯3,200万円台)、坪単価は163万円。竣工予定は平成26年2月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。4月末から販売を開始し、これまで10戸に申し込みが入った。
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見学の目的は、昨年10月に会社更生手続きが終結し、再スタートを切った同社のマンションがどのようなものなのかを確認するためだ。会社更生手続き終結後では今回が3物件目だった。
鶴見駅圏はマンションの激戦地で、同社のマンションなど20物件ぐらいが供給されている。その多くは同社と同じような中小規模物件で、どのように他社と差別化を図っているかが最大の関心事だった。
まず、モデルルームを見て1階の6住戸に同社オリジナルの商品企画であるオープンエアリビング付き住戸があるものの、他は他のマンションと同等の仕様に思えた。しかし、これまで数多くの同社のマンションを見学してきた記者にとって、何か特筆すべきことがあるのではと思案していたとき、もらったチラシの「ランニングコストを抑えて、ゆとりある暮らしを実現」というコピーと、「管理費+修繕積立金=13,230円」の数字が目に飛び込んできた。
記者はこれまで管理費や修繕積立金の額についてはほとんど関心を払ってこなかった。坪当たり600~700円で、修繕積立金はその半分ぐらいが相場ということぐらいは頭に入っているが、どこも似たり寄ったりだと考えてきた。ところがこのマンションは70㎡で約13,000円というのは、少なくとも同じ規模のマンションとでは月額6,000円から7,000円は安いと睨んだ。
そこで同社と競合しそうな物件の管理費と修繕積立金の額を比較してみた。その通りだった。競合物件のそれは 70 ㎡弱で 18,880 円だった。月額 5,650 円の差があった。年額にしたら 67,800 円だ。
なぜ同社のマンションは管理費・修繕積立金が少ないのかを聞いた。一つは駐車場(特に機械式)を31台に抑えたこと、第二はエレベータを1基に抑えたこと、第三に共用施設を設けていないことが主な理由だという。
なるほどと納得した。断っておくが、管理費・修繕積立金の額の多寡はマンションの価値とはまた別問題だ。少なければいいというものではない。しかし、第一次取得層にとっては住宅ローンのほか、2~3万円の支出は大きいし、これに駐車場料金もかかってくる。80戸ぐらいの規模でエレベータを1基に抑えるのは許容範囲だと思うし、共用施設を設けていないのもまた理解できる。このマンションは〝贅肉〟をそぎ落とすことがコンセプトであり、それがユーザーにアピールしたということだ。
やはり、同社のマンションにはひと工夫があり、マンション激戦区である鶴見駅圏においてすでに10戸の申し込みが入るなど健闘しているのが分かる。
現地は、バス便ではあるがラッシュ時にはそれほど交通渋滞はなく、生麦駅までほぼフラットの道を歩けること、周囲にはなかなか立派なマンションが建っていることなどは地元のユーザーが一番よく知っていることだ。「東寺尾五丁目」では10年ぶりのマンション供給だという。
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同社が今年3月から分譲開始した「ヴェレーナシティ行徳」は1期1次、2次の全50戸を完売、ゴールデンウィークから1期3次を分譲開始し5月6日現在、20戸の申し込みが入っており、順調なスタートを切った。
完成予想図