RBA OFFICIAL
 
2021/04/03(土) 16:43

デザイン一新 藤沢翔陵高/不可解 防衛省補助金 青木茂建築工房リファイニングPJ

投稿者:  牧田司

IMG_9203.jpg
「藤沢翔陵高等学校 校舎改修事業」

 青木茂建築工房は4月2日、同社が設計・監理を担当した「藤沢翔陵高等学校 校舎改修事業」の完成見学会を開催した。見学会は3部構成(1部定員50名)で、ほぼ満席となった。

 同事業は、築54年(2017年:計画時点)の高等学校校舎3棟を一体化とするゾーニングと内外装一新を図ったもので、防衛省の防音工事と文部科学省の耐震補強工事の補助金を3か年に渡り受給するものだ。

 校舎は昭和38年3月に1号館が、同年12月に2号館と1号館と2号館を渡り廊下でつなぐ3号館がそれぞれ竣工。その後、増改築が行われてきた。

 校舎は防衛省の防音工事対象区域に該当することから昭和62年から昭和63年にかけて1号館・2号館の防音工事が実施されたが、老朽化による機能性・耐震性の低下などが見受けられることからリファイニングが実施された。

 校舎は、小田急江ノ島線善行駅から徒歩1分、藤沢市善行7丁目に位置する鉄筋コンクリート造地上4階、地下1階建て延床面積約7,789㎡。設計・監理は青木茂建築工房、金箱構造設計事務所、森村設計。施工は日本建設。竣工は2020年12月。

IMG_9200.jpg
3号館正面

IMG_9191.jpg
外観デザイン

IMG_9192.jpg IMG_9190.jpg
内観デザイン

◇      ◆     ◇

 この日は小田急線が人身事故のためダイヤが乱れており、記者が着いたときは説明会が半分くらい過ぎたときだった。教室は広く、最後尾に座ったためよく聞き取れなかった。

 青木氏の説明によると、建物の価値を下げず、開放的な空間にしたのが最大のリファイニングの特徴のようだった。不要な外壁、給水塔、空調ダクト、建具などを撤去し、耐震壁、袖壁などを新設することで、〝見えない〟部分にその技が注ぎ込まれたようだが、〝見えない〟ものは見えない。

 当たり前だが、説明を受けなくともよく見えたのはデザインだった。廊下壁、階段ステップ、サッシ周りにスクールカラーである「紫紺」のほか赤、青、黄などのアクセントカラーを多用し、従前はほとんど白一色だったのをカラフルな校舎に一新した。

 素敵なデザインだと思ったので、担当者に「受験者が激増したのではないか」と質問したが「分からない」とのことたった。

◇       ◆     ◇

 これは取材後に気づいたことだが、防衛省による補助金について。神奈川県には厚木、座間、相模原、横須賀などに米軍や自衛隊の施設があり、航空機の騒音対策として防音工事などに補助金が交付されるのはよく理解できる。

 ところが、記者が善行駅に降り、次の取材先に向かう1時間20分の間に、小鳥の鳴き声は聞こえたが、飛行機の音は全く聞こえなかった(加齢による難聴の影響もないはず)。そこで、地元の複数の人に聞いた。全ての人が「たまに飛ぶこともあるが、音はほとんど気にならない」とのことだった。

 さらに調べた。南関東防衛局の資料によると、厚木飛行場における住宅防音工事・移転対象区域図には善行駅の東側エリア、つまり藤沢翔陵高校がある善行7丁目などはその区域に入っていない。

 善行駅近くの不動産会社にも電話で聞いた。「厚木飛行場は9割方岩国に移転した。航空機の影響? 全くない。そもそも防音工事の対象エリアにも入っていない。重説? その必要もない」とのことだった。

 藤沢翔陵高校の1~3号館の校舎の全ての窓に2個のクレセントがついていた。数えたわけではないが、その数は1,000個をはるかに超えるはずだ。背が届かないようなところもあった。誰が開け閉めするのか。生徒にやらせるのか。夏冬はともかく、窓を開けっぱなしにしておいたほうが、学習効果は高まるのではないか。防衛省の補助金は誰のためか…。今年度の防衛関係予算は5.5兆円だ。

IMG_9186.jpg
クレセント

I'm fine 桜もハナニラも満開 青木茂建築工房「目黒」リファイニング完成(2021/3/22)

 

 

 


 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン