当欄の5月3日付「『屋外でマスク付けていても感染相次ぐ』西村大臣発言 具体的数値・事例示すべき」記事に補足を加え、以下のように修正する。当社のスタッフから参考になるテレビ番組の記事を紹介され読んだからだ。その番組では、屋外でマスクを付けてはいたが、車座になってジュースを飲み、会話を交わして感染した事例が報告されていた。
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当初、メディア報道を聞いたとき、歩いていてもつまり空気感染も変異株はありうるのかと思ってしまった。
出掛けるのは週に1度か2度の取材のほかは、散歩、図書館(現在は貸し出しのみ)くらいで、人と話すのもヤクルトファンの酒屋の親父と「西武どうした」「ヤクルト強いね」(現在、勝率は西武より上)などと一言二言、お互いの傷口に塩をすり込むか、なめあうことくらいしかやっていないので、高齢者&糖尿の記者はよけいに西村発言にショックを受けた。
「屋外でマスクを付けていても感染する事例が相次いでいる」-屋外でマスクを付けていても、多くの人が車座になり、ジュース(あるいは酒)を飲んで会話するのは危険-というのは誰でもよくわかる。
大臣はそのような事例を念頭に置いて発言したのだろうと善意に解釈することにしたが、やはり言葉足らずだった。具体例を話すべきだったし、メディアも質問して正確に伝えるべきだった。
不正確だから誤解を生じる-これが今回の教訓だ。みんなストレスは極に達している。だからこそ政治家もメディアも事実に基づいて情報を発しないといけないということだ。
もう一つ、今回の西村発言で記者なりに考えたのは、間接的な濃厚接触を徹底して避けることが大事ではないかということだ。
家庭や職場、学校などでの濃厚接触は避けられない。しかし、これらの場でコロナは自然発生しないし、コウモリ説は根強いが犬や猫、ハエや蚊、肉や野菜などから感染した事例もないはずだ。感染源は間違いなく外にある。外から持ち込まれるコロナを入口で徹底して排除する以外はないということだ。
昨年の今ごろ、WHOは感染者の1割くらいが無症状と発表したが、最近は3~4割くらいではないかと専門家はいう。自覚症状がないまま多くの人を感染させるというのはやはり怖い。これは変異株との関連もありそうだ。
このことに関して、皆さんにもう一度注意を促したい。今年1月、都営地下鉄大江戸線の運転手間で39人ものクラスターが発生し、間引き運転をせざるを得なかった事例だ。
東京新聞は「東京都営地下鉄大江戸線が昨年末から今月11日まで間引き運行した原因となった運転士間の新型コロナウイルスの集団感染が、共同利用する庁舎の洗面所の蛇口経由で広がった可能性が高いことが14日、都交通局への取材で分かった。手をかざすと自動的に水が流れるセンサー式ではなく、手で回すタイプの蛇口だった」と報じた。
コロナ感染を防ぐための手洗いの蛇口が感染源だったとは。ここに悪魔的で狡猾なコロナの実態が垣間見える。
これを発展的に考えると、電車などの吊革に触らない、座席に座らない、外ではトイレを使用しない、エレベータに乗らない、ドアは足で蹴る、名刺交換はしない…えっ、皆さんはすでに実践している?
記者はタバコがやめられず、アウシュビッツのガス室のような公衆喫煙所をたまに利用するが、これはやめていただきたい。誰もいない公園、路上では吸ってもいいようにしていただきたい。
飲食はよくて、飲酒はだめと一律に要請するのも訳が分からない。酒が悪いのでは断じてない。飲む人が気を付ければ感染は防げるのではないか。こと細かに条件を付けて緩和措置を取るべきだろうと思う。ホテルの対策は涙が出るほど凄い。
厚労省は「リスクが高まる5つの場面」の一つに「飲酒を伴う懇親会等」を挙げ、「飲酒の影響で気分が高揚すると同時に注意力が低下する。また、聴覚が鈍麻し、大きな声になりやすい。特に敷居などで区切られている狭い空間に、長時間、大人数が滞在すると、感染リスクが高まる。また、回し飲みや箸などの共用が感染のリスクを高める」としている。
-まあ、これは身に覚えがある。酒で失敗した例は挙げればきりがない。帰りの電車がなくなるのはいいほうで、キャッチバーにつかまり十数万円の持ち金全部(帰りのタクシー代は勘弁してもらったが)を払わされたこと、街頭で〝女〟を買ってしまったこと、みんなと一緒に夜中の公園で大声を出して歌っていたら警官が駆けつけてきたこと(学生のとき、念のため)、銀座のど真ん中でお尻を出したこと、気が付いたら駅のベンチで寝ていたこと…しかし、飲まざるを得ない酒もある。彼女に捨てられ、一人寂しくやけ酒を飲み、滂沱の涙を流したことだって皆さんもあるはずだ。独りであるいは二人くらいで静かに飲む酒のどこが悪いのか。
ファシズムは気が付かないうちにわれわれを蝕んでいくと誰かが言った。本当に敵はコロナなのか。