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2021/07/20(火) 00:01

三菱地所「TOKYO TORCH」第一弾「常盤橋タワー」完成 緑の量と質に感動

投稿者:  牧田司

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常盤橋タワー全景(街区南側より)

 三菱地所は7月19日、東京駅前の再開発プロジェクト「TOKYO TORCH」の第一弾「常盤橋タワー」が6月30日に竣工したのに伴う内覧会を行った。冒頭、同社執行役社長・吉田淳一社長は「日本はもちろん世界に誇れる新しいシンボルの第一歩となるビルが完成した。日本を明るく元気にする、新たな価値を創造する場として育てていく」とあいさつした。内覧会には約90名のメディア関係者が参加した。

 現段階で丸の内・大手町エリア最高峰となる高さ212mの38階建て「常盤橋タワー」は、オフィスフロアのうち2フロアを就業者向けの共用空間として整備し、共用空間で人との出会いやつながりを生み出す就業者向けチームビルディング・マインドリッチプログラムの実施するほか、就業者専用アプリ「TOKYO TORCH App for 常盤橋タワー」を導入して館内共用スペースの予約/カフェテリアでの注文・決済/非接触セキュリティを可能にし、ロボット実装による施設管理の高度化を図り、「先進的なオフィストイレ」を導入する。

 街区中央に位置する約7,000㎡の大規模広場「TOKYO TORCH Park」には、地方と連携した「錦鯉が泳ぐ池」(新潟県小千谷市)、「佐渡島の金鉱石」(新潟県佐渡市)、「つくばの天然芝」(茨城県つくば市)、「うるおいある緑化空間」(静岡県裾野市)も設けられている。

 地階から3階の商業ゾーン「TOKYO TORCH Terrace」には、日本初出店1店舗/東京初出店4店舗/新業態5店舗を含む13店舗が7月21日から順次オープンする。飲食店舗は「TOKYO TORCH Park」を望むテラス席を備えている。

 環境配慮では、国内の都心複合ビル開発プロジェクト初のゴールド認証のSITES®予備認証、DBJグリーンビルディング認証(申請中)、SEGES、ABINC認証を取得している。

 入居テナントはクラレ、東京海上ホールディングスグループ、古河電気工業グループなど9割が入居決定済み。

 施設は、地上38階・地下5階建て(高さ約212m)延べ床面積約146,000㎡。着工は2018年1月。設計監理は三菱地所設計。施工は戸田建設。約8,000人が就業する。「TOKYO TORCH」の全体完成は2027年度。わが国最高峰の地上63階建ての「Torch Tower」の施工は未定。

 吉田社長は、「コロナの影響を受けリモートワーク、在宅勤務が増え、効率化、時間ロスをなくすよさが認識され、IT系企業を中心にオフィス面積を縮小する動きがある。しかし、ここにきて、社内外の人と心を開いてコミュケートし、オーブンイノベーションを起こす働く場、コミュニケーションの場、イノベーションを起こす場としてのオフィスの重要性がアメリカを中心に世界的に再認識されつつある。常盤橋タワーには時間、空間の過ごし方など人間性が発揮できるオフィスのあり方新しい提案、工夫を行っている」と語った。

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TOKYO TORCH Terrace(街区西側より)

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エントランスロビー

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2F オフィスロビー(天井高は5m)

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Hall &Kitchen ゾーン

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Hall &Kitchen ゾーン

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就業者専用ラウンジ

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ラウンジ内厨房

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ラウンジ

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「テラゾウ」

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「TOKYO TORCH Park」

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「TOKYO TORCH Park」
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「TOKYO TORCH Park」

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スマートフォン認証

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吉田社長

◇       ◆     ◇

 記者は、オフィスビルのことはよくわからないのだが、これまで取材した範囲内では最高レベルではないかと思う。

 何が最高かといえば、同社の丸ビルや新丸ビル、三井不動産の日本橋の一連のビルにも採用されている100尺(31m)デザインが美しいのもさることながら、約7,000㎡の「TOKYO TORCH Park」だ。規模としては東京駅丸の内駅前広場と同じくらいで、丸の内・大手町エリアでは同社の「ホトリア広場」や東京建物の「オーテモリ」など素晴らしい緑空間があるが、こちらの方が緑の量と質で圧倒する。差し渡し1m、樹高にして20~30mはありそうな既存樹のケヤキの巨木が10本以上植わっている。

 2027年度完成予定の「Torch Tower」との間の幅45m×長さ120mの通路も再整備され、隣接する常盤橋公園と合わせれば2haの屋外空間が生まれる。都心部の緑のネットワークでは虎ノ門ヒルズ(オーバル広場)-オークラ庭園-赤坂インターシティと肩を並べるかもしれない。

 吉田社長が「わたしは存じ上げないが、値段の高いものは1億円するそうだ」と語った〝泳ぐ宝石〟といわれる錦鯉がまたいい。50匹が放たれそうだ。「佐渡島の金鉱石」は重さ2トン。値段を聞いたら「値は付けられない」とのことだった。ただの石ころか金銀が含まれているのか、錦鯉もそうだがこっそり盗もうとする悪党からどうやって守るのか気になった。

 もう一つ、素晴らしいのは3階と8階の共用部分だ。床、壁、建具家具などに自然素材をふんだんに用い、観葉植物もフェイクは一つもなかった。フェイクだらけだった「大手町パークビル」内の同社本社オフィスとは対照的だ。

 オフィスの標準階の天井高2850ミリというのは低くはないが、高くもない「並」と評価したが、1階エントランスから2階ロビーの吹き抜け空間は高さ13.5mあり、白が基調の2階ロビーがいい。壁材には、セメントに骨材や顔料を練り込んで、研ぎ出して仕上げる左官技術の美しい「テラゾウ」が多用されている。

 TOTOと協業した3階の先進的なオフィストイレを提案した「nagomuma restroom(ナゴムマ レストルーム)」は、男女とも個室ブースは六角形で、手洗いと鏡が付いていたのには驚いた。

 個室ブースを六角形にしたらデッドスペースは生じないのか疑問に思ったが、それよりも、入ったきり出てこなかったらどうするのか気になった。そこでストレートに聞いた。6分くらい経過したらブース内の照明を明るくし、退室を促すそうだ(坂茂氏の公園トイレのように外から見えるということではなさそう)。空き状況も表示するが、これなどはそれこそスマホであと何分したら空きそうだとか確認できるようにすれはいいと思うし、いっそのこと時間貸しで利用できるようにすれば予約が殺到し、行列ができるトイレとして評判を呼ぶのではないか。

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「TOKYO TORCH Park」

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「錦鯉が泳ぐ池」(新潟県小千谷市)

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「佐渡島の金鉱石」(新潟県佐渡市)

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「つくばの天然芝」(茨城県つくば市)

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「うるおいある緑化空間」(静岡県裾野市)

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nagomuma restroom [撮影:傍島利浩氏]

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「羽田市場」

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オープン記念の特別価格1500円のキンメの煮つけの定食(見本。右は記者が注文して飲んだノンアル―コールのビール。水槽の貝はミルガイ、サザエ、アカガイ、カキ、ツブガイ、ホタテ、ホヤ、アサリ、ホッキガイ、ミルガイ、アワビなど)

三菱地所 常盤橋PJの街区名称「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」に決定(2020/9/17)

 


 

 

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