三菱地所は9月17日、東京駅前で開発を進めている「東京駅前常盤橋プロジェクト(大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業)」の街区を「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」に、2021年6月末竣工予定の東京駅圏最高峰の高さ約212mのA棟を「常盤橋タワー」に、2027 年度竣工予定の高さ日本一となる約390m B棟を「Torch Tower(トーチタワー)」にそれぞれ名称決定したと発表した。
同プロジェクトは、東京圏の国家戦略特別区域計画の特定事業として2016年度に都市計画されたが、追加的に都市計画変更手続きを行い、「Torch Tower」に都心最高層クラスの展望施設、約100室の国際級ホテル、約2,000席の大規模ホールなどを整備するほか、1階から8階の外周部に約2㎞の空中散歩道と、屋上には約2,500㎡の屋上庭園を整備。街区全体では、約7,000㎡の大規模広場や親水空間、常盤橋公園など全体で約2.0haの屋外空間を創出する。
「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」という街区名称には、「Torch」のもつ「灯り」のイメージと、プロジェクトビジョン「日本を明るく、元気にする」想いが込められている。
発表会に臨んだ同社執行役社長・吉田淳一氏は、「10年以上前から検討してきたプロジェクトの概要がまとまった。現在はグローバルな競争が激化し、国内の社会課題も山積し、不確実性が増しているが、だからこそ停滞感を払しょくするためにも明確で分かりやすい〝日本を明るく、元気にする〟をコンセプトにした。日本一の高さ390mというシンボル性にふさわしい唯一無二の街づくりを推進していく」と語った。
「Torch Tower」は高さ約390m、地下4階地上63階建て延べ床面積約約544,000㎡。B1-6Fが商業施設、3F-6Fがホール、7Fがフィットネス、7F-53Fがオフィス、57F-61Fがホテル、62F・RFが展望施設。着工は2023年度、竣工は2027年度の予定。施工は未定。
「常盤橋タワー」は高さ約212m、地下5階地上38階建て延べ床面積約146,000㎡。B1-3Fが商業施設、3Fがカフェテリア、9F-37Fがオフィス、8Fがラウンジ。2021年6月末に竣工する予定。施工は戸田建設。
街区全体の設計監理は三菱地所設計が担当し、「Torch Tower」の頂部デザインには藤本壮介建築設計事務所主宰・藤本壮介氏、低層部デザインには永山祐子建築設計事務所主宰・永山祐子氏、広場デザインにはFd Landscape代表・福岡孝則氏を起用する。事業全体に占める同社の事業費は約3,500億円。
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コロナ禍でデベロッパー各社は〝自粛〟を決めているが、同社と同社グループは今回を含めて5度目の発表会を行った。プレス・リリースでは伝えきれない新しい事業や新商品の特性を経営陣が直に伝える姿勢がうれしい。今回も、報道陣と同じくらいの数十人のスタッフは全員SDGsのバッジを胸につけていた。
今回の発表会で記者がもっとも注目したのは「Torch Tower」の1階から8階の外周部に設置する約2㎞(往復4㎞)の空中散歩道だった。
ビルの高さが日本一というのは宣伝効果としては大きいかもしれないが、世界レベルからすれば問題にならない高さだし、約54.4haの延べ床面積も他に負けるし、全体で2.0haの屋外空間も、これより広いプロジェクトはほかにもあるはずだ。
しかし、ビルの外周にこれほどの空中散歩道を整備するのはわが国初ではないか。道路幅は約4mで、8階までの高さは約50mだそうだ。随所に緑も設置するという。マラソンのように走るのは禁じられるようだが、約5㎞の皇居一周とともに東京の新しい名所の一つになるかもしれない。
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