「シティハウス下目黒」
住友不動産は8月27日、大規模低層マンション「シティハウス下目黒」が完成したのに伴い報道陣に公開した。目黒駅からバス便の坪単価480万円の高額物件だが、希少の第一種低層住居専用地域に位置する立地環境が評価され、全195戸のうち約6割が販売済みで、順調に推移している。
物件は、JR山手線目黒駅からバス9分徒歩4分、東急目黒線武蔵小山駅から徒歩15分、目黒区下目黒6丁目の敷地面積約8.400㎡の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する5階建て(建築基準法上は地上4階、地下1階建)全195戸。現在先着順で販売中の住戸(17戸)の専有面積は55.24~73.55㎡、価格は8,000万~13,000万円。坪単価は約480万円。竣工は2021年5月28日。設計・施工は長谷工コーポレーション。入居は10月から始まる。
現地は、東京学園高校跡地で、近接エリアには2013年竣工の同社の「シティテラス下目黒」(175戸)がある。「都立林試の森公園」には徒歩5分。
建物はロの字型で、公開空地を設けていることから建築基準法55条2項の規定により高さ規制10m⇒12mの緩和を受けている。住戸プランは55㎡中心の2LDKが3割、70㎡中心の3LDKが7割。アウトドアリビングを提案したテラス(専用庭)付き16戸を用意している。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンター、リビング天井高2400~2500ミリなど。
2020年3月から販売を開始し、これまで2,500件超の反響があり、約6割が販売済み。2020年6月から「オンライン見学会」やYoutube、SNSを活用した販売活動を行っており、Youtubeでは全体で20万件のページビューのうち同物件だけで1.5万件を占めるなどもっとも注目度が高いという。
購入者の約7割が30代・40代のファミリー、2割が60代以降のシニア層。勤務地は渋谷区、目黒区が多く、IT企業など在宅勤務を利用する業種が目立つという。物件選好の理由は「立地(通勤・生活拠点)」「目黒アドレス」「地盤の安定」など。
販売担当者は「コロナ禍で本格的に販売を開始したのは6月から。在宅勤務、テレワークが浸透したことから物件選好は〝駅近〟の呪縛から解き放たれ、その流れに乗ることができた。得難い希少の立地が評価されている。競合物件はほとんどない」と語った。
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この物件は、一昨年12月にモデルルーム・現地を見学し、記事にしているので参照していただきたい。その時は坪単価420~430万円を予想した。今回、約480万円と聞いてびっくりしたのだが、同時にさもありなんと思った。準都心部のマンション単価は軒並み坪400万円を突破してきており、駅近などは坪500万円、600万円以上になっている。それでも総じて売れ行きは好調だ。今後コロナの影響が経済面でどのような影響が出てくるか読めない部分もあるが、単価の上昇トレンドは当分続きそうな気配だ。
販売担当者も「呪縛から解き放った」とこれ以上ない的確な言葉で語ったように、物件選好もコロナ以降は様変わりしている。〝駅近〟オンリーでなくなった。これは、コロナが思考を変えたというよりは、本来そのようなものの見方・考え方をするよう気づかせたくれたというべきだろう。
記者は、3年前に「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」の本が発売されたとき、徹底して批判した。記事のアクセス数は1万数千件にのぼった。記者と同じような考えをする人も多いと溜飲を下げたものだ。
そのように考える人が多いのは理解もするし否定もしないが、マンションは金融商品では断じてない。消費者にアピールする商品企画であれば価格・単価が高い駅近物件と互角に戦えるようになってきた。結構なことだ。