第一種低層住居専用地域(1低層)に位置する住友不動産の大規模低層マンション「シティハウス下目黒」を見学した。元東京学園高校跡地の全195戸で、林試の森公園には徒歩5分の立地。単価予想が悩ましいマンションだ。
物件は、JR山手線目黒駅からバス9分徒歩4分・東急目黒線武蔵小山駅から徒歩15分、目黒区下目黒6丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率70%・容積率150%)に位置する敷地面積約8,449㎡、地上4階、地下1階建て全195戸。専有面積55.24~100.35㎡、価格は未定。竣工予定は2021年6月上旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。分譲開始は2020年2~3月。
現地は、明治22年にわが国初の商業高校として開校された東京学園高校跡地で、明治から昭和の初めまで目黒競技場として利用されエリアに近接。その近接地には2013年竣工に竣工した同社の敷地面積約9,700㎡の「シティテラス下目黒」(175戸)があり、全49戸のほとんどが1億円以上だったにも関わらず人気になった三井不動産レジデンシャルの都市型戸建て「ファインコート目黒」もある。総面積約12.1ha、外周を歩くと約45分の「都立林試の森公園」には徒歩5分。
敷地はほぼ正方形で、3方接道。建物はロの字型。建築基準法第55条第2項の規定に基づき建物の絶対高さ規制10mの緩和を受けている。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチン天板、Low-Eガラスなど。
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価格は未定だが、単価予想は難しい。記者は信じられないのだが、商・工・住混在の坪単価400~500万円台の〝駅近〟億ションが飛ぶように売れている。
このマンションは、目黒駅から歩くのは大変で、しかもかなりきつい権之助坂もある。バス利用でも駅から十数分かかる。交通利便重視のユーザーは選択の埒外かもしれない。
その逆に、低層の良好な住宅地を最優先する人にとってはたまらない立地だろう。嫌悪施設などが禁止され、良好な低層の街並みが将来にわたって担保される価値は何物にも代えがたい。
いかに希少か。少し説明しよう。東京23区の場合、1低層の全用途地域に占める割合は平均19.4%で、もっとも比率が高いのは杉並区の64.1%だ。以下、練馬区58.5%、世田谷区50.7%、中野区40.7%となっており、目黒区は40.2%で5番目だ。逆に千代田区、中央区、台東区、墨田区、江東区、北区、荒川区の7区はゼロで、港区は0.1haが1低層だが割合は0.0%しかない。渋谷区は11.5%、文京区は10.7%、新宿区は6.6%、品川区は5.6%。ちなみに大阪市は1低層ゼロだ。
どうだろう。都心3区はともかく、住宅地としてポテンシャルが高いのは1低層が多いことが分かるはずだ。この希少価値を金額に置き換えたらいったいいくらになるか。価格は市場が決めることだからこれ以上書かないが、皆さんはどう評価するか。林試の森公園には外来種や雑種にどんどん浸食され絶滅するのではと危惧されているカントウタンポポが自生しているという。
参考までに、1低層のマンション記事を添付する。
一戸当たり土地持ち分67㎡ 日土地ほか「バウス武蔵境」 悩ましい都市計画道路(2019/9/11)
隣接するUR賃貸と一体となった3ha超の低層 住友不「シティテラス荻窪」(2016/3/2)
23区最大の第一種低層 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス上鷺宮」(2014/4/4)