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2021/08/28(土) 17:25

木造戸建て住宅に占める木住協会員シェア20% 飯田グループの加入はないのか

投稿者:  牧田司

 木造軸組工法住宅の普及と健全な発展に寄与することを目的にしている日本木造住宅産業協会(木住協)は8月25日、「木住協 自主統計および着工統計の分析報告書」オンライン報告会を開催した。

 令和2年度の新設住宅着工戸数は812,164戸(前年度比8.1%減)で、このうち戸建て住宅は463,350戸(同10.7%減)、木造戸建て住宅は414,072戸(同9.9%減)だった。

 これに対し、木住協会員の新設住宅着工戸数は86,652戸(同0.7%増)、戸建て住宅は82,647戸(同1.8%増)となり、住宅着工の木造戸建て住宅に占める木住協のシェアは20.0%となった。20%台になったのは平成28年度以来。木造3階建ては8,650戸(19.2%増)と大幅に増加。全体に占める割合も前年度より10.8ポイントアップの35.5%となった。

 「設計評価住宅」は21,785戸で全体の26.4%、「建設評価住宅」は14,748戸で全体の17.8%となり、「設計」は前年度より増加したが、「建設」は戸数、率とも減少した。

 「長期優良住宅」は28,318戸で、全国統計100,628戸に占める木住協シェアは28.1%、木住協戸建て住宅に占める割合は34.3%(前年度は38.1%)となった。

 「太陽光発電搭載住宅」は20,447戸で、新設戸建て住宅の24.7%を占めたが、前年度の23,251戸、29.5%からそれぞれダウンした。「ZEH適合住宅」は10,877戸で、前年度から1.8%増加した。

 オンライン説明会で同協会・越海興一専務理事は「住宅着工が2年連続して減少しているが、木住協会員の戸数は令和2年度は増加に転じるなど逆風の中で頑張っている」と総括した。

 「報告書」は、A4判53ページに上るもので、令和2年度の住宅着工戸数、3階建て、品確法に基づく設計・建設評価住宅、長期優良住宅、太陽光搭載住宅、ZEH住宅、増改築、3階建てなど国のデータと木住協会員のシェアなど数値を比較できるようにまとめたもの。調査対象は木造軸組工法住宅事業を展開する465社で、回答は80.4%の374社だった。

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 〝木造ファン〟の記者は、越海専務も総括したように健闘していると思う。3階建てが大幅に増加したのは、敷地の狭小化が進んでいる都市部では、鉄筋造の単価が上昇している一方で木造はそれほどでもなく、価格的に優位性を保っているのと、耐火・防火技術の向上、木のよさが消費者にも浸透している当然の結果ではないか。

 参考までに令和2年度の他の構造などを紹介すると、非木造の鉄筋は222,123戸(前年度比3.6%減)、鉄骨は117,552戸(同12.5%減)、プレハブ住宅は木造が10,566戸(同10.9%減)、鉄筋が2,404戸(同44.5%減)、鉄骨が94,718戸(同12.6%減)、ツーバイフォー住宅も89,580戸(同16.5%減)とそれぞれ大幅に減少している。

 木住協会員会社が「頑張っている」のは嬉しいのだが、いつも不思議に思っていることがある。

 木造戸建て住宅に占める木住協会員のシェア20.0%についてだ。このシェアが高いのか低いのかよくは分からないのだが、わが国の木造軸組住宅を先導する業界団体としては少ないように思う。単純比較はできないにしろ、分譲マンション市場では大手デベロッパーで組織する不動産協会会員の首都圏供給シェアは83.5%(平成30年度)に達しているし、全住宅着工に占める割合が11.0%のツーバイフォー住宅も、日本ツーバイフォー建築協会会員シェアは高いはずだ。

 よく言えば、軸組工法はそれだけすそ野が広く多様性があるということだが、逆に言えば玉石混交、まとまりが悪い業種・業界ということでもある。会員になることがステイタスとなり、消費者にとっては安心・安全につながる団体にならないといけない。

 その〝不思議〟の象徴的な存在が飯田グループホールディングスだ。同社グループ主要6社は木住協の会員ではないが、全体の2021年3月期の分譲戸建て売上棟数は46,620戸だ。全国の分譲戸建て市場の約3割を占める。

 この飯田グループ各社が木住協に加入したら、平成2年度の戸数は199,267戸となり、シェアは20.0%⇒31.2%にアップする。

 同社はまた、今年度から住宅性能評価制度8項目全て全棟最高等級を取得すると宣言した(「設計」か「建設」が明らかではないが、「設計」だと思われる)。これも加えると、全体に占める「設計」割合は17.8%から一挙に34.3%にアップし、逆に「建設」は17.8%から7.4%へ10ポイント以上減少する。同様に「長期優良」「ZEH」などの数値も大幅に減少するはずだ。

 その是非は分からないが、木住協は倫理憲章で「法令遵守と公正・透明な事業活動」「地球環境への貢献」「地域社会への貢献」「安全で快適な居住環境の確保」「人材育成」を掲げている。

 飯田グループもこの倫理憲章には賛同できるはずだし、何よりも木造戸建て住宅の現状と課題が消費者にも伝わることになる。

 記者は報告会で「分譲戸建ての全国シェア3~4割を占めるガリバー企業は加入していないが、加入したらデータは大幅に変わってくるが…」と質問したら、越海専務理事は「私どもは門戸をいつも開けている。(ガリバー企業に)加入していただいたらありがたい」と答えた。

 なので、記者は飯田グルーフHD広報に加入する意向の有無について問い合わせた。回答が得られれば報告したい。

 木住協には、積水ハウス、ミサワホーム、住友林業、一条工務店、オープンハウス、ケイアイスター不動産、ポラス、アキュラホーム、ナイスなど主な戸建てハスウメーカー・デベロッパーが加入している。

〝木の時代へ〟 木住協の季刊誌「木芽」公的データを再編集して〝見える化〟(2021/7/17)

 

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