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2021/10/12(火) 09:20

バブルだ すさまじい中古マンションの値上がり レインズの9月のレポート

投稿者:  牧田司

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は10月11日、月例速報Market Watchサマリーレポート(2021年9月度)を発表した。

 首都圏の9月の中古マンションの成約件数は3,176件で前年同月比4.6%減少し、3か月連続で前年同月を下回った。成約価格は3,985万円で前年同月比7.9%上昇、専有面積は64.13㎡で前年同月比2.8%減少した。

 新規登録件数は13,637件(前年同月比7.0%減)で、2019年9月から25か月連続で前年同月を下回った。在庫件数は34,742件(同15.5%減)となり、22か月連続で前年同月を下回った。

 成約坪単価は205.0万円(同11.0%増)となり、20年5月から17か月連続で前年同月を上回った。新規登録坪単価は220.0万円(同15.4%増)。在庫坪単価は226.4万円(同13.9%増)と44か月連続で前年同月を上回った。

 中古戸建ての成約件数は1,225件(同5.0%減)、新規登録件数は4,025件(同20.1%減)、在庫件数13,389件(同29.8%減)となった。成約価格は3,487万円(同9.8%増)となり、11か月連続で前年同月を上回った。

◇       ◆     ◇

 記者は中古市場のことはよく分からないが、成約件数、新規登録件数、在庫が減る一方で、坪単価は成約、新規登録、在庫のいずれの段階でも上昇しているのは市況が低迷しているというよりは、先高観を反映している結果だ。かつてのバブル時と同じように、実需のほかに買い取り業者の介在が見え隠れする。〝中古マンションにバブル発生〟という見方はそんなに的外れでないと思うがどうだろうか。

 レインズの地域別成約単価にそれは見て取れる。東京都区部は306.4万円(前年同月比12.4%増)で17か月連続、多摩は148.3万円(同4.5%増)で7か月連続、神奈川県の横浜・川崎市は184.5万円(同13.9%増)で16か月連続、神奈川県他は123.1万円(同12.7%増)で10か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。

 また、埼玉県は124.1万円(同11.6%増)で16か月連続、千葉県は113.1万円(同10.7%増)で14か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。

 これらを新築と比較すると、都区部は7掛け、多摩は6掛け、横浜・川崎は6.5掛け、神奈川県他、埼玉、千葉などは半値から5.5掛けくらいだ。

 これをどう見るかだが、上昇率はすさまじい。都区部は都心と準都心、城東・城北エリアで単価水準はかなり差があるので、もう少しエリア別に分析しないと何とも言えない。都心3区は坪400万円をはるかに上回っているようだ。

 多摩や横浜・川崎はいい水準だと思う。このほかの神奈川県他、埼玉、千葉は新築なら土地代がただでも建たない単価水準だ。かなり割り負けしていると思えるが、これももう少しエリア別にみる必要がありそうだ。

◇       ◆     ◇

 かつてバブルの発生時は、中古マンションが市場をリードした。マンション転がしという言葉が流行ったころだ。買い取り業者が中古マンションを買い漁り、2転3転どころか5転6転したのち最初に転売した業者に戻ってくると最初の価格より2倍以上に値上がりしているのは日常茶飯だった。億ションの代名詞の「広尾ガーデンヒルズ」の坪単価はバブルが弾ける直前には3,000万円まで跳ね上がった。

 新築はどうかというと、国土法の監視区域指定により一定面積以上の取引は届け出制になっており、価格上昇にブレーキが掛けられていたが、それほど効果を発揮しなかった。抽選が義務付けられていたいわゆる公庫融資付きマンションは、当選する確率を上げるため路上生活者を雇って販売事務所に並ばせるところもあった。競争倍率は軒並み数十倍に達した。公庫付きでない物件は、分譲開始とともに業者が買い占め、一般の手に渡らない事例が続出した。

 現在の中古マンションはどうか。いわゆる〝ヴィンテージ〟マンションの売り出し価格をいくつか調べてみた。

 記者が億ションの最高峰とみている「麻布霞町パークマンション」は最高値で坪1,543万円の値が付いている。2016年分譲の三井不動産「パークマンション檜町公園」の1戸55億円に抜かれるまで、わが国の最高値マンションだった1戸44億円の「ドムス南麻布」は坪945万円となっている。記憶は確かでないが、この物件は国土法違反で告発されたのではなかったか。売主の大建ドムスは届け出しなかったはずだ。パンフレットを当時の社長からこっそり見せてもらった。当時の坪単価で3,000万円を突破していたような気がする。

 このほか、さすがというべきか「広尾ガーデンヒルズ」は坪904万円だ。「虎ノ門ヒルズ」は坪1,607万円、「パークコート千代田富士見」は坪1,199万円、「ワテラス」は坪949万円、「パークマンション三田綱町」は955万円、「パークタワー浜離宮」は坪832万円、「ウェリス代官山」は1,031万円、「パークコート青山」は坪1,177万円、「プラウド白金台」は坪905万円などとなっている。

 1991年(平成2年)竣工の「有栖川ヒルズ」の坪2,947万円に抜かれるまで、わが国の新築高単価マンションナンバーワンだった1988年(昭和63年)竣工の坪2,913万円だった「ドムス南青山」は最高値で坪621万円だ。

 記者は、そんなにいい物件だと思わなかった「有栖川ヒルズ」を除きみんな納得の価格だ。(「虎ノ門ヒルズ」は見ていないが、まだ安いのではないか)

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