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2021/10/19(火) 18:15

活発な法人間取引 「買い」が「売り」上回る 関東圏の中古マンション市場

投稿者:  牧田司

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国土交通省 不動産取引件数・面積データから

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は10月18日、季報Narket Watchサマリーレポート<2021 年7~9 月期>」をまとめ発表した。首都圏中古マンションの成約件数は前年比で7.8%減少し、5期ぶりに前年同期を下回ったが、成約㎡単価は前年比で9.3%上昇し、5期連続で前年同期を上回った。成約価格は前年比で6.6%上昇し、12年10~12月期から36期連続で前年同期を上回った。専有面積は前年比で2.4%縮小した。

 中古戸建ての成約件数は前年比で2.8%減少し、5期ぶりに前年同期を下回った。成約価格は前年比で9.4%上昇し、5 期連続で前年同期を上回った。土地面積は前年比で6.9%縮小し、建物面積は前年比で1.3%縮小した。

◇       ◆     ◇

 記者は1週間前の東日本レインズの月例速報Market Watchサマリーレポート(2021年9月度)でも記事にしたのだが、このところの中古マンション・戸建ての価格の上昇は〝異常〟だと思う。

 いったい誰が売り誰が買っているのか、手掛かりを得ようと国土交通省が毎月公表している所有権移転登記データを基にした不動産取引件数・面積データを調べた。これによると、今年の3月の全国の法人⇒法人取引は2008年4月にデータが公表されてから過去最多の取引件数を記録したことが分かった。個人需要もさることながら、不動産会社が介在しているのは明らかだ。

 データによると、関東圏の区分所有物件(ほとんどは中古マンション)の2009年の取引件数約9万件のうち、個人⇒個人は約3.7万件で全取引に占める割合は41.5%で、個人⇒法人は約1.3万件で13.9%、法人⇒個人が約3.6万件で40.3%、法人⇒法人は約0.8万件で4.1%だった。

 興味深いのは法人間の売買データだ。これは、個人⇒法人の「買い」から法人⇒個人の「売り」を差し引いたもので、2009年はリーマン・ショックの影響で売り一色となっており、差し引きトータルで約2.4万件の売り越しとなっている。その後、2016年12月までの関東圏の各月ごとでは買い越しは2か月あるのみで、売り越しがほとんどだった。

 2017年からは個人売買とともに法人間の売買も活発になり、直近の2020年は取引件数約10.4万件のうち、個人⇒個人は約4.7万件で45.5%、個人⇒法人が約2.4万件で23.3%、法人⇒個人が約2.9万件で27.7%、法人⇒法人が約0.4万件で3.4%となっている。

 2009年と比較して、個人⇒個人の取引か多いのは当然だが、個人⇒法人の件数は倍近くに増加し、比率的にも9.4ポイント上昇している。また、法人⇒個人は0.7万戸減少し、割合も12.6ポイント減少。法人⇒法人は0.4万戸、比率は0.7ポイントそれぞれ減少している。法人間の売り買いは差し引き4,595件の売り越しとなっているように、2009年とは様変わりしているのが分かる。

 今年に入っても法人の買い意欲は旺盛で、全国の今年3月の法人⇒法人の取引件数は811件となり、これまで最多だった前年同月の730件より81件多く、1か月間の取引件数としての最多記録を更新。関東圏でも1~6月の「買い」は約1.4万件で、約1.3万件の「売り」を上回っている。

 この差が大きいのか小さいのかよく分からないが、株の世界と一緒だ。投資が目的であれば買ったものは売らないと利益は確定しない。当分の間、中古市場から目が離せない。

バブルだ すさまじい中古マンションの値上がり レインズの9月のレポート(2021/10/21)

 

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