三井不動産レジデンシャルは11月10日、フジタ本社跡地に建設中の「パークコート神宮北参道 ザ タワー」(471戸)の第1期販売2021年4月29日から開始し、第1期222戸のうち211戸(平均約2億2,800万円)が販売済みと発表した。同日、モデルルーム記者見学会を行った。
物件は、東京メトロ副都心線北参道駅から徒歩1分、JR代々木駅から徒歩6分、渋谷区千駄ヶ谷4丁目に位置する敷地面積約4,837㎡、27階建て全471戸。第1期222戸の専有面積61.35~237.49㎡、価格は1億2,880万~13億7,000万円。全体の平均坪単価は900万円弱になる模様。竣工予定は2023年6月下旬。設計・監理は清水建設。施工は清水・フジタ建設共同企業体。デザイン監修はホシノアーキテクツ。
10月31日現在の来場者は1,659組で、申込者の年齢は30代が約15%、40代が約25%、50代が約26%、家族数は1人が約23%、2人が約30%、3人が約14%、居住地は渋谷区が約17%、新宿・港区がそれぞれ約9%、その他都内が約48%。
現地はフジタ本社跡地で、「明治神宮・代々木公園」「新宿御苑」「神宮外苑」の3つの公園が眺望できる立地が最大の特徴。
デザイン監修に、同社の「TOKYO MIDTOWN HIBIYA」「パークコート渋谷 ザ タワー」などを手掛けた星野裕明氏を起用。「鳥や動物が羽を休め、生命を育てる安全で居心地の良い巣=NEST」に見立て、緩やかな曲線と編み込まれた形状を内外装デザインに採用。ランドスケープは、総合設計制度の認可を受け公開空地を確保しているほか、屋上緑化、基壇部の壁面緑化などの植栽にも力を入れている。
共用部には、屋上にフィーリングデッキ、パブリックビューイングや貸切パーティーを満喫できるスクリーンデッキを設け、地下1階~2階の3層吹抜け空間に5つの多層構造の共用空間を用意。このほかフィットネスルーム、ゲストルーム、パーティーラウンジ、ゴルフラウンジ、シネマラウンジ、ランドリーラウンジを装備。スポーツバイクのレンタサイクル、サイクルワークショップサービスも行う。
また、大建工業と共同で開発したCO2最大約48%削減が可能な冷暖房システム「AirLOGY」を3住戸に初採用。ZEH Orientedを取得している。
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フジタの本社跡地を空から見たら「明治神宮・代々木公園」「新宿御苑」「神宮外苑」に近いなどと考えたことは一度もない。「北参道」駅もこれまでほとんど利用したことがない。「代々木」駅といえば、代ゼミ、大京本社、共産党本部、NTTドコモビルのイメージしかない。そこにタワーマンションを建て、その眺望を最大限の売りにする同社の企画力・発信力には舌を巻くほかない。
坪単価900万円弱は、とてつもなく高いとも思うが、最近の新築・中古マンションの値上がりを考えると、こんなものかとも思う。
この単価でわずか半年の間に211戸を販売済みとしたのはやはり凄い。同社担当者も「好評」「連日満室」「想定外」「高い評価」などを連発した。約130戸ある1LDKタイプは未分譲だが、坪単価からして全て億ションにはならないようだ。
競合する物件は、同社の「パークコート渋谷 ザ タワー」はともかく、担当者によると「パークタワー勝どき」を観ている人が多いというのにはびっくりした。単価が全然違うし、住環境もまったく異なる。最近の〝お金持ち〟は何を考えているのかさっぱり分からない。
総合設計制度の適用を受け、屋上緑化のほか外周約370mにわたって基壇部の8割を壁面緑化し、明治通り沿いの公開空地は2列並木を配する計画としているのがいい。完成すれば見事な景観になるのは間違いない。
冷暖房システム「AirLOGY」は3戸にしか装備しないのは〝三井ともあろうものが〟と不思議に思ったが、コストを削減するためではなく、開発に時間がかかり間に合わなかったという説明だった。先行する三菱地所「エアロテック」、野村不動産「床快full」との比較を聞いたら、「いいとこ取り。冷暖房の効きが速い。今後他の物件にも採用していく」とのことだった。全館空調が当たり前の時代がやってくるかもしれない。期待したい。
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2つあるモデルルームのうち、スタンダードの90㎡は窓側がアール形状のLDK(34.7帖大)のほか「NEST Room」とホテルライクな主寝室(11.5帖大)や「Dressing Room」の提案はいいと思ったが、シート張りの建具・家具はやや拍子抜けした。
星野氏がデザインしたペントハウスの237㎡のタイプは白が基調。やはり窓側が曲線のLDK(80.2帖大)は「パークコート青山 ザ タワー」でも感じたのだが、正直目が回った。この種のデザインを好む人はどのような人種か。
この他、リビング天井高は最大3200ミリとしているほか、モザイクタイルを多用した壁面、Lavatory にはTOTOのネオレストNXを採用しているのが目を引いた。
一つ納得できなかったのがBette社製のLuxury Bathの浴槽だった。夜景も眺められるものだが、跨ぎは50cm以上あった(間違っていたらごめんなさい)。踏み台か手摺がないと年寄りは入れない。上層階だから周辺ビル・マンションから覗かれる心配はなさそうだが、ブラインドがないと女性は利用できないのではないか。貧乏人のひがみか。
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