RBA OFFICIAL
 
2021/11/18(木) 17:53

「柳屋」に勝てるか 旅館業&トレーラーがミソ 三井不「HUBHUB 日本橋人形町」

投稿者:  牧田司

IMG_0849.jpg
「HUBHUB 日本橋人形町」

01_HUBHUBロゴ.jpg

 三井不動産とグループ会社のShareTomorrowは11月18日、移動式ユニットを活用した「HUBHUB(ハブハブ)プロジェクト」を始動し、その実証実験施設「HUBHUB 日本橋人形町」を11月22日(月)から運用開始すると発表した。

 遊休不動産をリアルに集う場所として有効活用する新規ビジネスを指向したもので、宿泊ユニットのほか、パーティールームユニット、プールユニットの3種類のユニットを組み合わせた「泊まるだけ」ではない「遊べる宿泊施設」をコンセプトとしているのが特徴。

 施設は、都営浅草線・東京メトロ日比谷線人形町駅から徒歩3分、中央区日本橋堀留町1丁目の水天宮通りに面した敷地面積約178㎡(約53.95坪)、延べ床面積約85㎡(約25.95坪)。トレーラー6台で構成されている。東京都23区内で車両を使った工作物による旅館業営業許可を取得している事例は今回が初という。

 同日行われた記者内覧会でShareTomorrow新規事業部プロジェクトリーダー・佐藤貴幸氏は「2019年から始めた社内事業提案制度(「MAG!C」)から生まれたプロジェクトの一つで、期限付きのアセットを有効活用するのが目的。旅行客などではなく、近隣にお住まいの方などに利用していただけるよう宿泊できるようにしたほか、ホームパーティを開いたり、サウナを利用していただけるようにした。地型にもよるが、トレーラーハウスなので設置するのが容易で移動も簡単。用途の入れ替えも可能。しかも、建築物ではないので、建基法の制約も受けない。新しい生活スタイルを提案できる」と語った。

 HUBHUB 公式 LINEは次の通り。(https://liff.line.me/1645278921-kWRPP32q/?accountId=hubhub)

03_宿泊ユニット「GUEST ROOM」.jpg
宿泊ユニット

04_RECEPTION、パーティールームユニット「BBQ KITCHEN」.jpg
パーティルームユニット

07_プールユニット「BADE POOL」(ヒーティングルーム).jpg
プールユニット(ヒーティングルーム)

08_HBHUB日本橋人形町 全体図.jpg
全体像(右から「RECEPTION / BBQ KITCHEN」「BADE POOL」「GUEST ROOM」)

◇       ◆     ◇

 人形町界隈はこの10年間で様変わりした。マンションもたくさん分譲され、坪単価は瞬く間に400万円を突破し、立地が良ければ坪600万円はするはずだ。一方で、昔からの商店も多く、お金持ちとそうでない人が混在する街だ。人口増加率はとびぬけて高い。

 取材の案内が届いたとき、売上高が2兆円もある三井不動産ともあろうものがなんだか訳が分からないものを造るものだと、スルーしようと思ったが、ほかに取材もないので申し込んだ。

 それでも、コロナ禍でわざわざ記者内覧会をやるのだから、さぞかし立派な施設なのだろうと想像したのだが、何と敷地は間口2.5m(奥行き71.35m)しかなく、しかも2階建てのプレハブのようなものだった。容積(ここはいくつか知らないが)を余すどころかほとんど使っていないではないか。こんな敷地ではマンションもビルも建たない。周辺の土地をまとめるための一時しのぎの施設だと決めつけた。

 ところが、どうだ。佐藤氏の説明を聞いたとたん、胡乱な記者の頭がフル回転した。〝これは凄いビジネスになる〟と。

 何が凄いか。これは建築物ではなく、工作物であることだ。建基法の基準はよくわからないが、この法律に縛られないメリットは数えきれないほどあるはずだ。遊休不動産の活用にはもってこいだ。

 もう一つは、施設はトレーラーということだ。佐藤氏は「中国・大連で製造したもので、当社が購入して輸入した。6台で4,000~5,000万円。横浜港から現地に運び組み立てるまで2週間。ユニットはターゲットに合わせて自由自在に入れ替えることができる」と話したではないか。

 肝心の利用料金だが、宿泊ユニットは施設全て貸し切りで1泊60,000円(税込み、宿泊は4名まで)。ここから徒歩で10分くらいの1泊数万円はする「マンダリンホテル」と比較はできないが、仲間(8人まで可能)を呼んだら一人当たり1万円以下だ。べらぼうに安い。

 「客室」は広くはないが、ベッドはシモンズ製で大型テレビが備え付けられており、シャワー室、洗面・トイレ付き。同社の「ガーデンホテル」には勝てないが、安普請のビジネスホテルをはるかにしのぐ。

IMG_0837.jpg
佐藤氏

◇       ◆     ◇

 だが、しかし、この種の施設は同社の専売特許ではない。記者は昨日(11月17日)、取材の帰りに三菱地所が昨年に開設した新宿三丁目の「バスあいのり3丁目テラス」に行った。いま「福井美食フェア」を開催中で、抜群においしい「若狭ぐじゆず塩ラーメン」を食べるのが目的だった。着いたときは午後3時ころか。人気があるようで売り切れだった。

 何が言いたいか。ラーメンをほめるためだけではない。皆さん、三菱地所が伊勢丹の駐車場ビルに隣接した道路付けが悪く、わずか70坪しかない敷地で未来永劫、この種の施設を運営するはずがないではないか。施設は、今回の三井不動産と同じ移動式なので建基法の規制を受けていない。

 これがヒントだ。三井不動産も三菱地所も目先の利益だけでなく、もっと先のことを考えているに違いない。儲かることはないかもしれないが、運用を通じて得る知見はあらゆるビジネスに生かせるはずだ。

 ついでにもう一つ。東京建物は本社ビルの再開発工事を行っている。その一角に今年10月、野外フードコート「Beeat!!八重洲」をオープンした。タバコも吸える。これはいいのだが、周囲の工事の音がものすごく、耳が遠くなった記者でもより遠くなりそうだ。AIの時代だ。音を遮断するか共鳴させて静かに飲食できるようにすべきだ。

 言いたいことはまだある。三井不動産の取材が終わり、かみさんに言われた柳屋のたい焼きを買いに行った。12:05だった。お昼休み中で12:30からとあったので、仕方なく、たばこも吸いたかったので記者が大好きな三菱地所の「ロイヤルパーク」に向かった。驚いたことに1階のレストラン・バーは満席だった。カウンター席が空いていたので白のグラスワイン・シャルドネを1杯飲んだ。とてもおいしかった。そのあと、2階の喫煙室でタバコを吸ったのだが、ここも満室だった。

 そして、柳屋に戻った。間口は「HUBHUB 日本橋人形町」といい勝負か、むしろ柳屋のほうが狭い。とぐろをまくスペースもないので、20人くらいのお客さんは肩を寄せ合い2列(U字型)になって並んでいた。

 記者も並ぶことにしたが、ただでは起きないのが記者だ。時は金なり。計算した。記者は5個で900円(1個180円)。買うのに15分かかった。お客さんは1個買う人もいれば10個買う人もいた。一人平均5個として、180(円)×5(個)×15(分)=13,500円(税込み)。皆さんも計算していただきたい。年間にしたらいくらの売り上げになるか。

 さらに計算した。このたい焼き5個とシャルドネ1杯(1,500円)はどっちが安いか高いか価値があるか。カロリーはワインが100 kcalくらいで、たい焼きは200kcalか。糖尿の記者にとってワインは2倍の価値がある。この価値観は間違っていないはずだ。たい焼きは小さいころよく食べたが、ここ数十年来1個食べた記憶はない。食べられない。

 いい1日だった。コロナ感染者が激減したのでこんな行動がとれる。読者の皆さんには参考になる記事になったのかどうか。

01-⑥_「バスあいのり3丁目テラス」イメージ.jpg
「バスあいのり3丁目テラス」

IMG_0617.jpg
「Beeat!!八重洲」

IMG_0851.jpg
甘酒横丁(「柳屋」さんは右から2軒目)

絶品「若狭ぐじゆず塩ラーメン」 福井美食フェア11/1~11/30 首都圏76店舗(2021/11/1)

三菱地所「バスあいのり3丁目テラス」の課題/コンクリ打設工事 初めて見学(2021/3/27)

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン