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2021/12/01(水) 12:04

住宅市場は好調だが コロナ禍で増加する住宅ローン リスク管理債権

投稿者:  牧田司

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 新築分譲住宅市場も中古住宅市場も好調に推移している。新型コロナの影響が心配されたが、ウィズ・アフターコロナを見越した在宅勤務・テレワーク・フレックスの浸透により、郊外部のマンションや戸建ても売れ行きはむしろコロナ前よりよくなっている印象を受ける。

 このまま堅調な市場が続くのかどうかはいまひとつ読めないが、コロナの打撃を受けている飲食業、旅行・観光業、その他サービス業などの経済への影響はこれからと思われ、住宅ローン破綻が懸念される。

 別表は、住宅金融支援機構のここ10年間のリスク管理債権推移を見たものだ。住宅金融公庫時代の直接融資による既往債権貸付金残高は平成23年度は21兆4,972億円だったのが平成27年度には11兆4,692億円とほぼ半減し、年々積みあがっていた買取債権貸付金残高(12兆8,323億円)と逆転した。その後も、既往債権は減少し続け、令和2年度は6兆1,837億円となっている。買取債権は増加し続け、令和2年度は18兆64億円となっている。

 一方、既往債権のリスク管理債権額は平成27年度に1兆1,373億円となり、貸付金残高に占める割合は9.92%と10%を割り、その後も比率は徐々に減少していたが、令和2年度は9.14%と前年度の9.05%から0.09ポイント上昇している。

 買取債権のリスク管理債権比率は、平成28年度から令和元年度までは1%以下で推移していたが、令和2年度は1.53%と前年度より0.67ポイント上昇。

 令和2年度の既往債権と買取債権を合わせたリスク管理債権額は8,414億円(前年度比10.2%増)で、貸付金残高24兆1,900億円(同1.3%増)に占める割合は3.48%(同0.28ポイント増)となっている。

 この数字をどう見るかだが、東京商工リサーチの調査によると、全国107行の2021年3月期のリスク管理債権は7兆6,831億円(前年度比16.0%増)で、4年ぶりに7兆円台に乗せ、リスク管理債権比率は1.33%で、前年の1.19%より0.14ポイント上昇している。

 この東京商工リサーチの調査結果からして、同機構の既往債権のリスク管理債権比率は極めて高い水準にある。令和3年度がどうなるか注視する必要がありそうだ。一方の買取債権比率も令和3年度はコロナの影響で高まるのは間違いない。今後の景気・金利動向から目が離せない。

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