RBA OFFICIAL
 
2022/02/02(水) 14:14

マンション価格10年間で5割上昇 延床、敷地狭小化も進む 東京カンテイ・国のデータ

投稿者:  牧田司

東京鑑定表.png

国土交通省表.png

首都圏マンショングラフ.png マンション同行グラフ.png

 東京カンテイは1月31日、「マンションデータ白書2021」を発表。首都圏の新築マンションの供給戸数は前年比7.2%増の41,409戸で、1戸当たり平均価格は6,304万円となり前年の5,641万円より11.8%上昇、平均専有面積は61.79㎡となり前年の55.07㎡より12.2%増加し、平均坪単価は337.3万円となり前年の338.6万円より0.4%減少した。

 また、中古マンションの平均価格は3,715万円となり前年の3,487万円から6.5%上昇し、平均専有面積は58.94㎡となり前年の61.95㎡から4.9%縮小し、坪単価は208.4万円となり前年の186.1万円から12.0%上昇した。

 新築マンションの価格が2ケタ上昇したのは、前年の2020年は新型コロナの影響で高額物件の供給が絞り込まれたことと、ワンルームマンションの供給比率が相対的に高まったためとしている。

 平均専有面積が拡大したのは、30㎡未満の供給比率が2020年は20.6%だったのに対し、2021年は13.2%に減少したことなどが要因としている。

 専有面積については、70㎡台の供給比率は過去三年間で38.7%⇒32.9%⇒32.6%と減少傾向を示し、50㎡台は7.6%⇒8.4%⇒9.0%と拡大しており、60㎡台も2020年の18.4%から2021年は23.0%へ増加しているとしている。

◇        ◆     ◇

 同社発表の供給戸数が先に発表した不動産経済研究所の33,636戸より7,773戸多いのは、不動研は調査対象を30㎡以上としているためで、その差が出たものと思われる。

 よって、この7,773戸がワンルームなど単身者用・投資用と思われるが、首都圏分譲マンションの着工戸数が年間5~6万戸台で推移(2021年は5万戸割れ)していることからして、1万戸以上がデータには反映されていない。その要因として、記者は再開発マンションなどの地権者向けや事業協力者向けに年間数千戸が充当されており、さらに分譲から賃貸への用途変更、リートなどへの一括売却も相当数に上っているからだと思う。

 不動研の記事でも書いたのだが、東京カンテイのデータでもマンションの質(専有面積はその一つではあるが)について言及がないのが残念だ。東京カンテイはその他の設備仕様などについても調査しているはずで、データを公表してほしい。

 マンションの質とは直接関連はないが、市場が確実に縮小していることのデータを紹介する。国土交通省の住宅着工データから、全国の市街化区域内の共同住宅(分譲住宅)の10年間の着工戸数、延べ床面積、敷地面積の推移を表とグラフに示したのがそれだ。

 年次によって多少の増減はあるが、ほぼ一貫して戸数も延床面積も敷地面積も減少していることがわかる。

 いずれも2012年を100とすると、着工戸数は85.3%へ減少し、延べ床面積は70.5%へ縮小、敷地面積は66.0%へ落ち込んでいる。

 〝駅近〟がもてはやされる一方で、戸数の落ち込み以上に延床面積(専有面積)、敷地の狭小化が進んでいることがデータにはっきり表れている。

 このデータと、不動研や東京カンテイの価格、面積の推移と比較していただきたい。価格も坪単価もこの10年間でほぼ5割上昇した。その一方で敷地の狭小化、さらに基本性能・設備仕様レベルのダウン・退行を考えると、この先が心配だ。

 住宅購入検討者が中古マンションに目を向けるのがよく分かる。中古マンションも玉石混交だろうが、いまの新築より立地、質が上回る物件がはるかに多いのは間違いない。

気になる質の低下 平均価格、単価とも過去最高2021年首都圏マンション 不動研調べ(2022/1/27)

 


 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン