積水ハウスが2月1日に開設した「SUMUFUMU TERRACE」の第5弾、「SUMUFUMU TERRACE 青山(スムフム テラス アオヤマ)」を見学した。東京メトロ銀座線外苑前駅から徒歩1分の一等地に位置し、約70坪のスペースはガラス張りで、100本を超える中低木・シダ類が植えられており、アートギャラリーそのもの。デベロッパーが展開するマンションギャラリーやハウスメーカーの住宅展示場などとは全く異なる。唖然とするほかなかった。
「SUMUFUMU TERRACE」は、「家族みんなが住むコトに〝フムフム〟納得しながら家づくりをしてほしい」という想いを込めた〝新拠点〟で、「青山」は昨年11月にオープンした「新宿」「立川」「錦糸町」、12月に開設した「池袋」に続き5か所目。
施設デザインはデザイナー・佐藤オオキ氏が率いるデザインオフィスnendoが担当。〝庭〟に着目したガラスと植物で仕切られた回廊型の空間で、足を進めるにつれて家づくりのアイデアがどんどん膨らんでいく体験を得られる仕掛けを施している。
特徴の一つは、絵本作家の荒井良二氏や写真家の石川直樹氏、アートチームの目[mé]、東京藝術大学などの学生のアート作品などが展示されており、購入も可能になっていること。
場所は、東京メトロ銀座線外苑前駅1b出口から徒歩1分(数十秒)、港区南青山2丁目の「D-LIFEPLACE南青山」の1F。公開されている広さは約70坪。営業時間は10:00~18:00(休館日:火曜日・水曜日・夏季休暇・年末年始)。入場は無料だが、原則として予約制。コーヒーなどの飲み物のサービスも受けられる。
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見学を申し込んだのは、佐藤オオキ氏がデザインを担当していることをプレス・リリースで紹介されていたからだ。見学する前は、デベロッパーの総合マンションギャラリーのようなものだろうと想像していたが、全然そうではなかった。冒頭に書いたようにアートギャラリーそのものだった。すぐ賃料を計算した。坪5万円はくだらないはずだ。
それ以上に驚いたのは、〝売らんかな〟の雰囲気が全くなかったことだ。申し込めば家づくりや家探しなどの相談にも応じるとのことだったが、営業担当がぴったりとくっつき、手八丁口八丁の売り込みをするイメージが強いマンションギャラリーなどとは天と地ほどの差があった。
アート作品は、好みもあるので何とも言えないが、記者は東京藝大の鈴木萌恵子氏の1点6.6万円、全6点の作品にほれ込んだ。(記者は油絵を描くので多少の審美眼はあると思っている)
目の玉が飛び出し、息が詰まりそうなほど驚いたアートもあった。「目[me]」の「matter α」作品だ。
撮影は不可だったので、もらったパンフレットのコピーをそのまま紹介する。「一見してどこにでもありそうな石。しかし、実は、目[me]によって極めて精緻に、長い時間をかけて、別の実在する石から手でトレースコピーされた驚愕のオブジェクト。注文が増えれば、その数だけ同じ〝どこにでもありそうな石〟が、複数の家に同時に出現します。アートとは、オリジナルとは、価値とは何か? を揺さぶる目[me]らしい作品」とある。
サイズ・素材はH65×W160×D120ミリ、砂、石、岩の粒子ほか。納期は約3か月。価格は990,000円(税込)。
皆さん、価格は桁違いではない。0の数は間違っていない。何と1個99万円だ。コピーには〝一見してどこにでもありそうな石〟とあるが、何度見てもどこにでも転がっていそうなただの石だ。広大な砂漠の中からダイヤモンドを探し出すことはほとんど不可能であるのと全く逆だ。ただの石ころ(砂岩のはず)に99万円の値段を付ける目に物見せる目[me]とは何者だ。神をも恐れぬ所業として断罪されても記者はしらないぞ。
だが、しかし、目[me]にも言い分がある。やはりパンフレットから引用する。「制作の始まりは、川へ行き、無数に転がる石の中から、思い描く形の完璧な〝普通の石〟を探すこと。それをオリジナルとして、もう一方の石は、砂を硬化させて形を作り、体積、苔、傷、模様など細部にいたるまですべてを模倣し(彼らはその工程をレタッチと呼ぶ)、まったく同じ〝石〟をこの世に存在させる。また、その中で、オリジナルと、制作した石をシャッフルし、ひとつを川に投げる。彼らでさえも、いま手元にあるのがオリジナルか、制作した石なのか分からないのだ」
ン? 99万円の価値があるのはオリジナルの石なのか、それとも模倣の石なのか。化学分析したらすぐ分かるのではないか。
「目[me]」アーティスト・荒神明香氏、ディレクター・南川憲二氏、インストーラー・増井宏文氏 写真:阿部 健(Takeshi Abe)氏
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