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2022/04/17(日) 14:37

VRモデルハウス キャラクター(アバター)が音声対応 スウェーデンハウス

投稿者:  牧田司

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右から木下氏、村井氏、野原氏

 スウェーデンハウスは4月15日、「コロナ禍で普及した住宅業界のオンライン関連サービスの今後」と題するブレスセミナーを開催。昨年4月に実施した「コロナ禍における住まいの意識調査」からさらに1年が経過して意識はどのように変化したかを再調査し、その結果を報告するとともに、昨年4月に野原ホールディングスと共同開発・導入した世界初の3Dキャラクターによる接客機能を搭載したバーチャル内覧サービス「VRモデルハウスウォークスルー」の進化形を公開した。

 セミナーでは、まず2022年4月に実施した「コロナ禍2年目における住まいの意識調査」結果を紹介。調査は1年前の「コロナ禍における住まいの意識調査」から1年が経過し、その意識がどのように変化したかを調べたもの。対象は20代から60代の男女500名。

 その結果、“家族の団らん”は直近1年間でも約3人に1人が増えたと回答。「住まいに求める具体的な要素」は「インターネット環境」が1位で、居住エリアでは「日常生活・買い物に便利なところに住みたい」が前回調査と同様、全体で43.5%と高い割合となった。求める居住空間では「空間の切り分け(仕事ができる空間・ワークスペースと居住スペースの切り分け)」や「プライバシー(1人でいられる/家族・パートナーのプライバシーが保たれる空間を充実させたい)」などの回答が目立った。

 全体として、コロナ禍における社会環境の変化が、都市部に住むことに固執しないライフスタイルを定着させたと報告している。

 「あなたは『メタバース』について知っていますか」との問いには、「知っていて使ったことがある」3.4%と「知っているが使ったことはない」30.8%を合わせ34.2%で、「住宅やマンションの検討」で使った人はゼロだった。「メタバースを使ってみたい」人は15.8%で、うち「住宅やマンションの検討」は15.8%だった。

 進化形の「VRモデルハウスウォークスルー」は、システムの事前利用で得たデータを盛り込み、顧客の質問にキャラクター(アバター)が音声と説明文で対応するもの。サービスは、同社の全国61か所のオンライン住宅展示場で5月13日から開始する。

 同社・村井秀壽社長は、「今期(2022年3月期)契約数は前期より25%、売上高は11%伸びたが、これは昨年導入したWEB対応の効果があったと理解している。今後、注文住宅市場はどんどんシュリンクしていくが、分母が小さい当社の伸びしろは大きい。商品力が高いので世の中の動きに影響されない。現在の主な購入層であるZ世代や次のアルファ―世代にはメタバースは訴求力があるので、これをさらに進化させ、宿泊も可能なサテライトモデルハウスを増やすなどリアルとオンラインのハイブリッド型事業を展開していく」と語った。

 また、同社執行役員 営業推進部部長・大川保彦氏は、「1年間のVRサービスについて、営業からはVRからモデルハウス来場への動線が今一つ分からないという声はあるが、これらを解決し、モデルハウス来場につながる取り組みを強化していく」と話した。

 ゲストとして参加した野原ホールディングス・野原弘輔社長は「昨年4月に開始したサービスに新しい機能を盛り込んだ。住まい手の未来をアップデートしていく」と、不動産営業とAIを結び付ける事業を行っているhomie執行役員・木下悠氏は「当社は2019年4月設立の若いテック企業だが、当社のAI・ホットリードを活用していただいている会社はスウェーデンハウスさんをはじめ50社450店舗に上っている」とそれぞれ挨拶した。

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村井氏

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左から野原氏、木下氏、大川氏

◇        ◆     ◇

 デモンストレーション動画も紹介された。野原ホールディングス建設DX推進統括部VDC事業開発部 ビジネスデベロップメントグループ ビジネスデベロップメントエグゼクティブ・井上淳氏が顧客役を演じ、3Dキャラクターにトナカイ「ムース先生」が井上氏の質問に答えるというものだ。

 「ムース先生」が人の話し声を理解し、答えられるというのは凄いことではあるが、課題も大きいことが分かった。

 先の意識調査結果からも、同社が示した「デモ映像」でよかった点は「住宅のイメージが具体的に伝わった」38.6%、「質問に答えてくれるのが良かった」32.1%、「時間を気にせず見られるので良かった」37.8%、「人と会わないので気楽に見られて良かった」35.0%などと高い数値を示したのに対し、「細かい部分まで見られて良かった」は18.0%、「実際のモデルハウスに行ってみたいと思った」は13.2%にとどまっている。

 また、キャラクターの音声はぎこちなく、合成音であることはすぐわかる。改善の余地は大きい。

 記者は、AIロボットの理想形は顧客の好きなタレント・有名人(小生でいえば吉永小百合さん)に似た人と会話を交わせることだと思っている。例えばこんな会話だ。

 「お宅は築30年の戸建てですか。浴室もトイレも寒い? そうでしょうね。ここは暖かいですよ。いま外気温は10度ですが、エアコンは一つ、21度に設定したままで浴室もトイレもほぼ同じ温度。ほら、わたしなんか下に何も着ていませんよ。透けて見えるでしょ。成約記念に私のサイン付き銅板手形をプレゼントしましょう」などと語りかけられたら顧客は舞い上がる。成約率は飛躍的に高まる。

 もっとも基本的なことにも「ムース先生」は答えられなかった。井上氏の「㎡単価(坪単価)はどれくらいか」という質問に対して、「その質問の答えは用意していません。コンシェルジュに相談してください」と答えた場面だ。

 住宅の㎡単価(坪単価)は必須要件だ。顧客がどの程度の予算を考えているかなど前提条件は必要だろうが、㎡単価(坪単価)を瞬時にはじき出せなければ先に進めない。同社のコンシェルジュ(スタッフ)は90秒以内に電話で答えることになっているそうだが、夜中でも対応できるのだろうか。

 これらの課題に対応できるまでどれくらいかかるか分からないが、実現したら初期対応の営業職はいらなくなる。あるハウスメーカーのトップセールスマンは「私は空気だって売ることができる」と豪語したように、AIロボットが市場を占領する時代がやってくるのか。それともAIロボット同士の戦いが激化し、お互いの破壊工作によって自滅し、結局は人と人の対応でしか最適解を見つけ出せない世の中になるのか。それを見極められるまで小生は生きていられるのか。

約300の質問に瞬時に回答AIアバター(♀)開発 東急リバブル+ウェルヴィル(2022/4/4)

スウェーデンハウス 世界初3DキャラクターによるVR内覧サービス モデル来場2.2倍(2021/4/21)

 


 

 

 

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