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2022/05/30(月) 15:43

敷地南側は公園に隣接 大和地所レジ「練馬ぬくいの森」/環境価値の可視化を

投稿者:  牧田司

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「ヴェレーナ練馬ぬくいの森」

 大和地所レジデンスが6月中旬に分譲する「ヴェレーナ練馬ぬくいの森」のモデルルームを見学した。西武池袋線富士見台駅から徒歩13分の全61戸で、敷地南側は「ぬくいの森緑地」に隣接。同社初の国土交通省「こどもみらい住宅支援事業」にも認定されている。

 物件は、西武池袋線富士見台駅から徒歩13分・同線中村橋駅から徒歩16分、都営大江戸線練馬春日町駅から徒歩18分、練馬区貫井四丁目の準工業地域に位置する5階建て61戸。第1期1次(9戸)の予定価格は4,600万円台〜7,500万円台、専有面積は61.80~86.82㎡。竣工予定は2023年7月中旬。設計・監理はプラスデコ 一級建築士事務所。施工は大洋建設。デザイン監修は小寺源太郎氏。

 現地は、環八と目白通りの交差点から一歩入った準工エリア。南側、東側、北側にそれぞれ接道。敷地南側は歩道3mを挟んで3層分くらいある傾斜地の「ぬくいの森緑地」に隣接。敷地東側は5m道路を挟んで一戸建て、西側は低層倉庫など。

 主な基本性能・設備仕様は、逆梁ハイサッシ(東向き)、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、食洗機、浴室タオル掛け2か所、ミストサウナ、天然御影石・フィオレストーンキッチン天板、メーターモジュール廊下(一部)など。オープンエアリビング&プライベートガーデン付きは12戸。

 「こどもみらい住宅支援事業」認定(省エネ性能)を受けていることから、60万円/戸の補助が受けられる。

 同社営業マネージャーは、「沿線の大規模物件とは一部競合していますが、当社の物件は設備仕様が高く評価されています」と語った。

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◇        ◆     ◇

 予定価格について。この前書いたパラダイスリゾート「調布ワンダーランドプロジェクト」と比較していただきたい。調布市と練馬区・富士見台の街のポテンシャルはどちらが高いか。記者は調布市だと思うが、選ぶのはお客さんだ。これ以上書かない。

 モデルルームを見た印象(この日は大雨が予想されており、現地は確認していない)では、小寺源太郎氏のデザインもそうだが、何といっても「ぬくいの森緑地」に隣接しているのがいい。この緑地を享受できるのは25戸だが、計り知れない価値がある。

 少し長くなるが、練馬区の緑被率と「ぬくいの森緑地」について。同区の緑被地は約1,160ha、緑被率は24.1%で23区内トップ。一方、23区のみどり率は平均19.8%(練馬区は不明)だ。みどり率とは、緑被率に「河川等の水面が占める割合」と「公園内で樹木 等の緑で覆われていない面積の割合」を加えたもので、緑被率より高い数値を示す。都は今後、みどり率を緑化指標にする予定だ(このほか、緑視率という指標もある)。

 米国などでは緑の価値を貨幣価値に置き換える手法が普及しているというのに、情けないかな、わが国は緑の価値を分かりやすく伝える指標がない。

 同区は平成23年5月、練馬区景観条例を施行した。目的は「区の自然、歴史、文化等の地域特性を反映した景観の形成を図り、もって区民が誇りと愛着を持って住み続けられる、魅力あるまちの実現に寄与すること」となっており、基本理念に「ア 良好な景観は、区の個性であるみどり豊かな自然、歴史、文化および地域の特性に応じたまちなみの調和により形成されなければならない。イ 良好な景観は、現に存する良好な景観を保全することのみならず、まちづくりを通じて良好な景観を新たに創出し、区民共通の資産として次世代に引き継いでいくことを旨として形成されなければならない」と掲げている。

 素晴らしい。ところが、「ぬくいの森緑地」についての情報はほとんどない。面積は1,404 ㎡と分かったのだが、どのような地形・形状で、どのような樹木、草花が鑑賞できるかの資料・データは公表されていない。区民に豊かな緑の実相を伝えないで、どうして次世代に引き継ぐことができるのか。

 わが多摩市は市内の全公園リストを公表しており、公園にどのような樹木があるか分かるサイト「木を知ろう」にたどりつけるようにしている。ここが違う。

 その「木を知ろう」には「ぬくいの森緑地」の樹木の情報がきちんと提供されている。コブシ、サクラ、コナラ、エゴノキ、クヌギ、マユミ、ゴンズイ、ツバキ類、アブラチャン、ムラサキシキブ、クルメツツジ/キリシマツツジ、ハナミズキ、ナンテン、カエデ類、ヤツデ、アジサイ、イヌガヤ、キョウチクトウ、オオムラサキツツジ、ヤツデ、ネズミモチ、チョウセンアサガオ他があると記されている。

 小さい公園だが樹種は豊富だ。記者は「マユミ」を初めて知った。昔はこの木から弓を作ったそうで、将棋の駒の材料になるとある。なるほど。

 そこでマンションデベロッパーに提案。デベロッパーはマンションを通じて〝幸せを売る〟のが商売だ。制度はつくっても魂を入れない自治体任せではよくならない。

 敷地内に植樹する草木はパンフレットなどに記載しているが、周辺の公園や街路樹にはどのような樹木があるか詳しく書かないし、販売担当者も木の名前など知らないから詳しい説明をしない。これではだめで、しっかり調べて環境価値を可視化することだ。そうすれば、来場者に〝ここに住めば、心が豊かになりますよ〟といえる。歩留まり率は間違いなくアップ(ダウンする街もあるが)するはずだ。

 書き忘れた。同社は完成在庫を残さないデベロッパーだが、前期末で4戸が残ったそうだ。それでも4月までに全戸完売したという。同社には大手に負けない、互角以上に戦える商品企画の武器がある。

大激戦地で販売好調 デベロッパーの良心を見た パラダイスリゾート「調布」(2022/5/25)

 

 

 

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