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2022/07/15(金) 10:29

マンション管理適正評価 3年間で12,000組合登録が目標 マンション管理協

投稿者:  牧田司

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高松氏

 マンション管理業協会は7月14日、コロナ禍で中止になっていた恒例の記者懇談会を3年ぶりに開催。任期満了に伴う役員人事で、前理事長・岡本潮氏(東急コミュニティー特別顧問)に代わって6月7日付で新理事長に就任した高松茂氏(三井不動産レジデンシャルサービス会長)は、「岡本前理事長体制を踏襲し、今年度が最終年度である中期事業計画で掲げたマンション管理業界の成長と発展、従事者の処遇の改善・社会的評価の確立に取り組んでいく。今年4月からスタートした『マンション管理適正評価制度』の普及促進に向け職員が一丸となって説明していく」と述べた。

 マンション管理適正評価制度は、マンションの管理体制、建築・設備、管理組合収支、耐震診断、生活関連の5つのカテゴリーから構成されており、総合点を★6つ(★5つからゼロ)の段階で評価する制度。高松氏は「国との連携も図り、国の認定基準である17項目を含め30項目にわたる客観的なデータに基づき評価制度を作成した。ワンストップで評価することができるので、区分所有者のメリットは大きい」と語った。

 同協会によると、現段階で★5つ(特に優れている)が1件、★4つ(優れている)が7件、★3つ(良好)が4件、合計12件が登録済み。向こう3年間で12,000組合の登録を目標に掲げている。

◇        ◆     ◇

 自分が購入を検討しているマンションの管理状況を★の数によって判断できるので、とても分かりやすい制度だと思う。いったい全国のマンションストックの9割以上をカバーしている同協会会員の受託マンション約627万戸・約10万組合(令和3年4月1日現在)のうちどれくらいが登録し、★6つの分布はどうなるのか。

 同協会が掲げる3年間で12,000組合が登録すると仮定すると約1割だ。三井不動産レジデンシャルサービスは全組合に説明を行っていると高松氏が話したように、登録するのは大手デベロッパー系のマンションが中心になるはずだ。★の分布は★5つや★4つが多数を占め、★3つを加えると圧倒的多数を占めると思われる。

 これらのマンションが中古マンション市場で高い評価を受けるのは間違いないが、近隣相場と比較してどれくらいの価格アップになるかはスタートしてみないと分からない。同制度と似たものではCASBEE(東京都はマンション環境評価制度)があるが、最高ランクの「S」(都は★5つ)は極めて少なく、価格にどれだけオンされているかは不明だ。(Sは相場より少なくとも1割高の価値はあると思うが)

 問題は、★2つ以下の〝劣等生〟の評価しか受けられない管理組合はどうなるかだ。常識的に考えたら、自ら劣等生であることをまず管理組合は表明しないだろうから、登録しないと予想できる。つまり、一部の〝優良〟マンション以外はグレーゾーンとして依然として管理状況を把握するのは難しいということになる。優良物件に対するインセンティブが大きくないのも普及促進の壁になる。

 記者が危惧するのは、★2以下の劣等生の烙印を押されたマンションはいつまでたっても「優」はもちろん「良」に浮上することは不可能で、管理不全マンションは根雪のように毎年積みあがっていくのではないかということだ。

 この点について、高松理事長は「管理不全マンションは一定数存在する」と話し、同協会専務理事・広畑義久氏は「協会としてはそれらの管理不全マンションには手が出せない。自治体などがどう支援していくかだ」と語った。

 識者らの推定によると、管理不全マンションは数%存在すると言われており、全国のストック約686万戸(2021年末時点)のうち35万戸以上、数千組合が該当することになる。

 これらの管理組合に自治体などがどのような支援を行うかだが、マンションは公共財の側面がないわけではないが、基本的には私的財産だ。公的機関が財政的な支援を行うのは税の公平性からいって難しい。記者はそれらのマンションを国や自治体が買い取って、セーフティネット住宅にすればいいと思うがどうだろう。

「マンション管理適正評価制度」スタート 第1号は東急リバブルのサイト(2022/7/5)

 

 

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