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2022/09/30(金) 11:22

「目からうろこ」益田審査委員長/「温故知新」赤池副審査委員長 キッズデザイン賞

投稿者:  牧田司

 第16回キッズデザイン賞の審査委員長・益田文和氏が、表彰式後のシンポジウムで「目からうろこ、大発見」と称えた受賞作が3つあった。こどもたちを産み育てやすい部門優秀賞を受賞したUnited family「ハンズフリー電動さく乳器」(少子化対策担当大臣賞)、秋山隆浩建築設計事務所/Atelier HMC「町屋高架下保育園」(少子化対策担当大臣賞)、エバーセンス「パパninaru」(男女共同参画担当大臣賞)だ。

 「電動式さく乳器」は「ブラジャー内に装着することができ、ハンズフリーでさく乳しながら動けるというメリットは大きい」というのが、「高架下保育園」は「マイナスイメージのある高架下に違和感なく、しっかりと子どもの空間を作っている点」が、「パパninaru」は「妊娠から出産育児の必要な情報を、『パパ』に届けるという開発の視点の良さ」がそれぞれ高く評価された。

 記者も、「電動式さく乳器」なるものがあることなど全く知らなかった。最初は親子が牛の乳しぼりでもするのかと思ったほどだ。United familyの担当者によると、1日当たりの授乳回数は普通の人で8~10回、多い人は15回くらいあるという。その負担を軽減し、さく乳した母乳は冷凍保存ができ、必要なときに子どもに与えることもできるというスグレモノだった。

 「高架下保育園」は、言われてみればもっともふさわしい立地条件だ。音や振動は保育に支障はないということだった。記者などは都心部のガード下の飲み屋しか思い浮かばない。〝母になるなら〟〝父になるなら〟で子育て世代にヒットした流山市は、駅に近いところに保育施設を設置して話題を呼んだ。

 「パパninaru」は、夫婦お互いが直接話せないことをアプリが代弁してくれるもので、なるほどと得心がいった。

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 益田氏は「電動式さく乳器」の改良にも触れたが、記者は、赤ん坊の授乳はもちろんだが、冷凍できるのなら20年30年、あるいはもっと長期間保存して、子どもが成長してから母親の母乳を飲めるようにしてはどうかと思う。母親の母乳の味を記憶している人は皆無だろうから、これは価値がある。(まずくて飲めたものではないが)

 母乳といえば、モンゴルの馬乳酒はとてもおいしい。癖があるので慣れるまでは飲みづらいが、飲みだすと止まらない。小生は〝処女の酒〟と名付けた。〝騙し水〟とも呼ばれるのは、水はとても貴重で、馬乳酒は水の代わりとして日常的に飲まれているからだという。

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 赤池学・副審査委員長はシンポジウムの総括として、「提供価値を深めること」「凝然と観察すること」「当たり前のことを疑いの目で見ること」「温故知新を新しいものへつなげていくセンスが全てのことに共通する」などと含蓄に富んだ言葉を発した。

 その通りだと思う。小生もメディアの端くれだから、〝疑ってかかれ〟〝右向け左〟を実践している。

 その伝でいえば、キッズデザイン賞そのもののあり方も再検討してもいいのではないか。例えば、この前も書いた内閣総理大臣賞を始めとする大臣賞の冠の是非について。内閣総理大臣賞はスポーツ、ギャンブル、文化などの分野を中心に30~40ある。〇〇大臣賞を含めれば数百あるはずだ。毎日、何らかの大臣賞が授与されていることになる。これって、いったい何の価値があるのか、立ち止まって考えてみる必要があるのではないか。

 もう一つ。益田氏は、「これからはプレゼンを先にやって審査しようと言ったら、主催者はびっくりするだろうから言わないが」と話した。小生は冗談だと受け止めなかった。そうすべきだ。受賞作品の発表・表彰式を実施する前に、候補作のプレゼンを先に行い、消費者やメディアも参加できるようしたら、もっと盛り上がる。コロナ禍によるオンライン方式はそれを可能にした。〇〇大臣賞などのお墨付きより消費者や視聴者の評価のほうが価値ははるかに高いと思うがいかがか。

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