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2022/10/09(日) 14:02

「木」を媒介とした取り組みに関する協定 三菱地所ホーム&玉川学園

投稿者:  牧田司

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加藤氏(左)と小原氏

 三菱地所ホームと学校法人玉川学園は10月8日(土)、「『木』を媒介とした取り組みに関する協定」調印式を同学園本部棟で行った。同社代表取締役社長・加藤博文氏と同学園理事長・小原芳明氏が出席し、協定書に調印した。

 協定は、同社が今年6月始動させた木造木質化を推進するプラットフォーム「KIDZUKI(キヅキ)」の「産」と、同学園が今年度に立ち上げた「Tamagawa Mokurin Project」の「学」の連携により人材の育成、森林・林業の再生・活性化、地球温暖化防止に貢献するのが目的。

 調印式で加藤氏は、「当社は再来年、創業40周年を迎える。三菱地所グループ会社として主に2×4工法による住宅事業を展開してきたので、『木』には強い思いがある。わが国は戦後、植林事業を進めてきたが、伐採期を迎えたいま、コストがかかることなど様々な問題から植林-伐採-利用の好循環が進まない状況にあり、CO2削減だけでなく水、災害、海などにも影響を与えている。この森林問題を解決しないといけない。三菱地所グループは、住宅はもちろん非住宅を含めた木質化を進めており、新たな工法も開発し、木材会社も設立した。そして、このようなハードだけでなくソフトでも木質化の動きを加速させるため立ち上げたのが『KIDZUKI』のプロジェクト。今後、様々な分野とコラボレーションし、木を媒介にいろいろなものに貢献していく。今回の玉川学園さんとの協定はその大きな一歩であり、教育の現場でも実践していく」と挨拶した。

 小原氏は、「40年前が転機だった。当時、理事長を務めていた父(小原哲郎・前名誉総長、1921-2011)が『世界の銘木を集めて木造の小学校校舎を建てたい』と言ったが、4階建ての木造は許可が下りなかった。以後、鉄筋コンクリート造にせざるを得なかったが、鉄筋は長持ちしない。せいぜい40、50年。それに対し、木造は修理も簡単で100年以上持つ。これからは、更新期を迎えた校舎などの木質化を考えている。木もまた更新期を迎えているが、樹木は廃棄するのではなく、炭化させてCO2を固定化し、畑の肥料としても活用していくとか、伐採材を子どもの工作に利用したりして教育現場にも生かしていく。今年4月には『Tamagawa Mokurin Project』も立ち上げ、マイナスカーボンの取り組みを進めている。今回の産学連携は、より幅広い活動につながると期待している」と語った。

 わざわざ休日のこの日を調印式に選んだのは、「十」と「八」を合わせると「木」になることから「木の日」に制定されていることにちなんだものであることも報告された。

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関係者らによる記念写真(手前の銘木は敷地内のケヤキで、職員や生徒が製作したもの)

◇        ◆     ◇ 

 玉川学園のキャンパスを外から眺めたことはこれまで2度あるが、構内に入るのは初めてだった。会見が行われた本部周辺にはヤマモモ、スギ、サクラ、ユリノキ、ケヤキなどの巨木か植わっていた。建物は低中層が多く、林間大学のような雰囲気を醸していた。

 1階のホールには、学園の創立者である小原國芳(1887-1977)による建学の理念「自然そのものが教育である」の言葉が掲出されていた。

 取材後、同学園に了解を得て、約1時間半かけてキャンパス内を散歩した。広さは約61.2haもあるのでほんの一部だが、敷地内にはユリノキ、ヒマラヤスギ、メタセコイア、ハナミズキ、ポプラなどの外来種も多いが、ほとんど手つかずの雑木林が広がっていた。

 散歩の途中、同学園の生徒さんに「こんな素晴らしい環境の学校はない。大学もここでしょ」とも声をかけたら、高校1年生の女性は「小学校からずっとここ。違う風景も見てみたい」と意外な答えが返ってきた。また、大学1年生の男性は「高校はここでしたが、大学は別。いま通っている大学と比べれば確かに自然環境は素晴らしい」と話した。

 キャンパス内に植わっている樹木の名前を言える生徒・学生さんはほとんどいなかった。銘板が掛かっている樹木は圧倒的に少なかった。

 キャンパス内の樹種などを同学園は調査中とのことだが、小原理事長、理事長の祖父の「自然そのものが教育である」という言葉はどうしたのでしょうか。すべての樹種の名前を付けてください。そうすれば別の大学を目指す生徒さんはなくなるはずです。

 ついでにもう一つ。ヤマモモは雌株で実がなり、先生方はジャムにしたりして収穫もするそうだ。記者は小さいころ、自分で木に登り採ったこともある。山は薪炭をはじめ食材、草花の宝庫だった。

 さらにもう一つ。取材の帰りに同学園の「サイテックファーム」で栽培した無農薬のレタスをお土産としてたくさんいただいた。「養殖アワビ」も実用化されていると聞く。ヤマモモとレタス、アワビを肴に酒盛りのイベントを行っていただきたい。酒は三菱地所の「空と土プロジェクト」で生産された純米酒「丸の内」がある。

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本部前のヤマモモ(樹齢は80年以上か)

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ケヤキの巨木

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カキだと思ったが、収穫しないのか

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建学の理念碑(真・善・美・聖・健・富)

木造木質化を推進するプラットフォーム「KIDZUKI(キヅキ)」始動 三菱地所ホーム(2022/6/15)

 

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